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ドラゴンソード ~殺戮の剣~  作者: 椎名 千尋
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龍王の剣

 俺は八神優斗、今年で二十歳になった、だが大学生でも社会人でもない、世間から見ればニートって奴だ、両親はいない産まれた時に額に第三の目を持っていたので両親は気味悪がってじいさんに預け蒸発した、要は逃げたのだ、俺は恨んでいる、一族の者も反逆者だと怒っている、見つけたら処刑らしい。

 

 じいさんには可愛がられ人並みの生活を送らせてもらった、第三の目は閉じると消えるのでちゃんと幼稚園から高校卒業までさせてもらった。

 

 うちの家系は他の家とは違う、八神一族と言って龍神の血が混ざっている、そのせいで産まれた時からいわゆる超能力と呼ばれるものを持っている。

 

 八神一族は全国にいる、俺は本拠地の京都に産まれた、京都の小さな街に一族が集まっていて、一族の血を絶やさないようにしているが、二十歳になると皆一族の街にとどまるか、別の地域で悪人退治をするか決めなければいけない、外に出る者には大金が渡される、俺は決めかねていた。

 

 金は欲しいが悪人退治は抵抗がある、しかしこの街で一生過ごすのも嫌だった。

 幼い頃から男女問わず剣術を叩き込まれ、十歳の誕生日に龍神から鉄扇を渡される、ただの鉄扇ではない、念じれば剣に変化する特別な鉄扇だ。

 

 この剣とは別に、遥か昔に竜王の剣と言う立派な剣を竜王から先祖に渡された、しかしこれまでに扱う事が出来たのはたった一人と言う剣だ、いくら俺達が龍人だとしても剣に認められなければ触る事すら出来ない、無理に持つと手が火傷するのだ。

 

 一族は皆二十歳になるとこの龍王の剣を触る事を義務付けられている、最近では龍王の剣じゃなくドラゴンソードと呼ばれている。

 

 俺は今日幼馴染で恋人の紅葉とドラゴンソードに挑戦させられる、八神一族の長老の俺のじいさんに連れられ古い蔵に入った。

 

「この剣は流石に無理だろうが、しきたりじゃ火傷しない程度に軽く触れるだけでいい」

「くっ、くれはから触ってくれ」

「優斗火傷が怖いの?」

「火傷は嫌だ」

「わかったわ」

 

 紅葉が台座に置かれているドラゴンソードの柄に軽く触れた。

 

「熱いっ、次は優斗よ」

 

 恐る恐る触れてみた、何も感じない、触る場所を間違えたのかもと思い触り直した。

 

「じいさん、熱くないんだけど」

「本当か? 効果が消えたのかもしれんな」

 

 と言ってじいさんが触った。

 

「熱い、優斗もしかして龍王に認められたのかもしれんぞ、剣を持ち上げてみなさい」

 

 俺はまた恐る恐る触れ、熱くないのを確認すると柄を握って持ち上げた。

 

「ちょっとそのまま待っていてくれ」

 

 暫くするとじいさんが一族の重役五人を連れて戻って来た、全員驚いている。

 

「優斗熱くないのか?」

「ぜんぜん熱くないよ」

「たまげた、お前は龍王に認められたみたいじゃな」

「持てたけど、どうすればいいの?」

 

 その時剣が光り龍が出てきた、じいさんも重役も驚いている、俺も驚いた。

 

「皆の者、私が龍王です」

 

 女の声だった。

 

「優斗は産まれた時から三つ目だったのを覚えてますね」

 

 じいさんがはいと答えた。

 

「優斗は一族の中でも特に龍の血が濃いのです、そして素質があるのでこの剣の主と認めました、三つ目の龍人は頂点に立つ者です、優斗が八神一族の本当の長です、わかりましたか?」

「はい龍王様、わかりました」

 

 じいさんが真剣な声で答えた、俺は龍王に尋ねた。

 

「龍王、わかったけど今の世の中、剣を持ったまま出歩くと捕まるんだ」

「心配いりません、普段はあなたの体の中に入って隠れておきます」

「それならいいが、俺は龍王に認められて何をすればいいんだ?」

「ヤマタノオロチが復活すればこの剣で退治しなさい、復活しなければこの世の悪人を退治して平和な世の中にしなさい、資金を渡しておきます、好きなところに住みなさい」

「わかったけど、悪人は殺さず痛めつける、それとヤマタノオロチなんて大昔にやっつけられたんじゃないのか?」

「あぁいう化け物は何度でも蘇ります、今のところ蘇る気配はありませんが」

「そうかわかった」

「それと紅葉、あなたも愛し合う者同士行動を共にしなさい」

「はい、ありがとうございます」

 

 龍王が消えた。

 

「資金はどこだ?」

 

「優斗そこに落ちてる通帳じゃない?」

 

 俺は通帳を拾い上げた、俺の名義の通帳に大金が入っていた、みんなが確認した。

 

「お前達はとりあえず家で待っててくれ、わしらは話し合いをしてくる」

「わかった、紅葉行こう」

 

 剣を体の中にしまい、家で紅葉とコーヒーを飲んだ。

 

「私達どうなるのかしら? 龍王に愛し合う者同士って言われたわ、嬉しいわ」

「紅葉落ち着け、じいさん達の話も聞かないと駄目だし」

「わかったわ」

 

 小一時間程でじいさんが帰って来た。

 

「優斗、これからはお前が八神一族の長だ、わしはこの街の龍神会の一族の長老だ」

「ややこしいな、肩書なんていらないよ」

「だが龍王様もおっしゃってた」

「わかった」

「龍王様の言ったように好きなところに二人で住みなさい、一族からの資金も渡す」

「はい、おじい様」

「それと優斗、わしの息子お前の両親だが見つけたら焼くなり煮るなり好きにしなさい、一族を裏切った罪は重い」

「いいの? 見つけたら殺してしまうかもしれないぞ?」

「構わんどうせ見つかったら処刑だ、わしももう息子だとは思ってない」

「わかった」

「紅葉の両親は二年前に交通事故で亡くなっていたな、優斗をよろしく頼む」

「おじい様、両親のいない私の面倒を今まで見ていただきありがとうございました、優斗と幸せな家庭を築きます」

「それでいい、二人でどこに住むのか考えなさい」

「はい」

 

 それから紅葉とネットで日本地図を見てどこがいいか話し合った、候補が三つ残った、名古屋か大阪か兵庫の神戸だ。

 

「明日、実際に見て回りましょう」

「そうだな」

「私はおじい様と晩ご飯の支度をするわ」

 

 紅葉が台所に消えた、俺がドラゴンソードに認められたのがまだ信じられない、ドラゴンソードを出して眺めた立派な剣だ。

 

 龍王がテレパシーで話しかけて来た。

 

『どう? 気に入ってくれた?』

『あぁ立派な剣だなと思っていたところだ』

『最近この剣をドラゴンソードと呼んでるみたいだけどどういう意味なの?』

『ドラゴンは龍、ソードは剣の事だ』

『そう、名前なんて何でもいいわ』

『斬れ味はどれくらいなんだ?』

『カミソリのように鋭利よ、斬れない物はないわ』

『そうか、それより龍王って怖い男の声だと思ってたよ』

『それは偏見だわ、たまたま私が女だっただけよ』

『そうかわかった』

 

 テレパシーが途切れた、同時に料理が運ばれて来た。

 

「優斗、家の中で剣を振り回しちゃ駄目よ」

「眺めてただけだ」

 

 剣をしまい晩飯を三人で食った、紅葉の両親が亡くなってから毎食三人で食べている、紅葉の家も近所だが紅葉は俺の隣の部屋で寝泊まりする事が多かった、もう家族同然だ、じいさんが寂しくなるなと考えた。

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