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ホワイトマン  作者: 水見 あさや
4.事件
50/67

4-13


 シークを見送り、あたしはしばらく一人で留守番をした。

マージが不在にしている間にやってきた支配人とロキオには、あたしからハマナのことを伝えた。

会議から戻ったマージは、改めてハマナは失踪の可能性が濃厚だと言った。

シークに聞いたこと以外に真新しい情報はなく、ゴッデスのオーナーが血眼になってハマナの行方を追っているという話だった。



 その後出勤してきたアレルとジョーを加えて話をした結果、マクレーでも警戒を強めることになった。

今回と同じようなことが、今後起こらない可能性はない。

リスクを減らすために、しばらくはステージ後に男たちと接触するのを禁止する、ということだった。



「お客には、入場の際に俺からそう伝えるよ。物騒なことは伏せて、あくまでマクレーの都合で、とな。少なからず不満が出るだろうから、兄弟にもその場にいてもらえると助かる。がたいのいいお前たちがいれば、お客も多少は物わかりがよくなってくれそうだからな」

「ああ、もちろんだ」

「ありがとう。それでも終演後に外で待つ男がいれば、その時にも繰り返し説明しよう。

できる限り穏便に事を運びたい。人数に応じて、ここではイルに手を貸してもらう。

イルの奴は俺よりも口が立つからな。イルが来たら、改めて事情を説明する。

終演後のショーガールたちだが、ロキオとダズに手分けして車で送り届けてもらいたい」

「構わないよ。ダズには俺から言っておく。ただ、それなりの車を用意しないとお嬢さん方はうるさそうだね。やれ狭いだの乗り心地が悪いだの、ブーイングが車内に満ちてしまいそうだ」

「ああ、そうだな。とやかく言われないようにそれなりの車を手配しよう。全員、やることが増えてしまうがどうか頼む。少し窮屈になるが、ショーガールたちの身を守ることが最優先だ」



 不満の声は上がらず、誰もが真剣な表情で了承の返事をした。



 近所の店の子がいなくなったことは、マクレーのショーガールたちをも怖がらせた。

危ない男に心当たりがある子もない子も、支配人の話を二つ返事で受け入れた。



 噂話が好きな女たちの手にかかり、ハマナ失踪の話は何枚もの尾ひれがついて、ずいぶん仰々しいものになっていた。

複数の男たちに薬をかがされ手足を縛られて連れていかれたんじゃないかとか、そもそも部屋を出る時には意識はなかったんじゃないかとか、連れ出した男を悪く言っていたのは見せかけで本当はオーナーから離れたくて一芝居打ったんじゃないか、なんて憶測まで飛び交った。



 終演後、いつものようにステージをこなし身も心もハイになったショーガールたちは、ハマナの話に恐怖を抱いたことなんてすっかり忘れ、遊びに出られないことに口々に不満を言った。

それをうまいことなだめながら、ロキオが家の方面でショーガールたちを分けて二つのグループを作った。

あたしはダズのグループで、ロキオのグループよりも後に出ることになった。



 ダズのグループは、家の鍵が見つからないというショーガールのために出発が遅れていた。

一生懸命に鍵を探しているのはダズくらいで、他の子たちはイレギュラーな夜を楽しんでいるようだった。

鍵をなくした本人でさえ「いつもはもっと夜更かししてるんだからもう少しお喋りしていきましょうよ」と言ってダズを困らせていた。

あたしはその楽しみに最初だけ参加して、「出発できそうな頃に声をかけて」と屋上に上がった。



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