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ホワイトマン  作者: 水見 あさや
プロローグ
1/67

ホワイトマン


 こんばんは、あたしの可愛いハニーパイ。

お待たせしてしまったかしら。ごめんなさい。



 約束した時間までまだあるのに、ずいぶん早く来てくれたのね。

先を越されるとは思わなかったわ。

あたしも三時間前にアパートを出たのよ。大好きなあなたにプレゼントを買いたくて。

そう、この袋のことよ。



 箱の方がオーデコロンで、袋の方がネグリジェよ。

あなたがピンクで、あたしがパープルの色違いなの。

今度泊まりに行った時、これを着て一緒に寝ましょうね。

あたしのわがままで買ってきたものだから、遠慮しないで受け取ってちょうだい。



 それにしても久しぶり。

あたし、あなたが恋しくて、指折り数えてこの夜を待ったのよ。


 え? 三日前にも会ったって?

もう、そんなつれないこと言わないで。

あたしにとって、あなたに会えない日は一日がとても長いんだから。

本当は片時も離れたくないくらい、あたしはあなたに焦がれているんだからね。



 ああ、今夜のあなたも食べてしまいたいくらい可愛いわ。

冗談なもんですか。

あたしはよく嘘をつくし男を騙すけど、大好きなあなたにはいつも本音を話してる。

本当よ。



 あら、ジャズの演奏が始まったわね。

あたし、サックスとピアノ、ベースにドラムのカルテットが好きなの。

あなたもそうなの?

嬉しい。あたしたち本当に気が合うわね。



 あたしね、この店には昔から出入りしてるの。

初めて来た夜から、ここは何も変わらないわ。

まるでこの店の中だけ時間が止まってるみたい。


 ねぇ、今夜は遅くなっても平気?

そう、よかった。

なら、少し長い話をしてもいいかしら。

馴染みの店に来たせいで、懐かしい話をしたくてたまらない気分なの。



 ありがとう。

退屈になったらいつでも言ってね、すぐに口を閉じるから。


 さて、どの話を聞いてもらおうかしら。


 大枚をちらつかせる鼻持ちならない男を、一晩で一文無しにしてやった話?


 何かと突っかかってくるいけすかない女を、子供みたいに大泣きさせた話?



 それとも、夜毎男を魅了する売れっ子ショーガールの、初々しい恋の話がいいかしら――。



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