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魔界王女  作者: 水色奈月
★Chapter 5
24/29

Part 5-4 Let's get this done

1666 White Plains Rd, Bronx, NYC 00:55


午前0:55 ニューヨーク市 ブロンクス ホワイトプレインズ通り1666番地




 ルチアーノ・ボンターレはシュタイヤーTMPを握りしめ正門前の見張りを仲間一人に任せ、二人来た増援と共に敷地外を時計回りに駆け出したメイドを追いかけた。屋敷の敷地の外は宅地が隣接しておらず、雑木林になっていた。枯れた木々が多いとはいえ枝の重なりあう草地は照明なしでは青黒い闇の様な視界だった。


 三人の男らは何度も木の幹にぶつかりかけて駆ける向きを急激に変えなければならなかった。それなのにあのメイドはライトも持たずに駆け続けていた。一向に女の枯れ草を踏みつける音が近づかない事にルチアーノは走りながらイヤフォーンマイクへ怒鳴った。


「気をつけろ! ボスが言ってた女が塀沿いに裏手へ行く!」


 彼がそう告げた瞬間だった。


 いきなり右後ろを走って付いてきてた兵の一人が激しく転倒し落ち葉を舞い上げた。ルチアーノは仲間が地面に露出した木の根に足をとられ転倒したのだと思った。その直後に今度は左後ろの兵の一人が激しく転倒してしまった。




 待ち伏せだ!




 咄嗟とっさにルチアーノは走る向きを変えて傍の黒いシルエットになっている子供の胴体ほどの太さをした木の陰に走り込んだ。刹那、彼が隠れた木の幹の外皮が弾け飛んだ。


 あの女が駆けながら手にしていたハンドガンにサイレンサーを付けたのだと彼は思った。だから自分らの足音にき消され至近距離から撃ってきたにも関わらずまったく射撃音が聞こえなかったのだ。それに駆けるのを先にやめた女の足音がなかなか近付かないのも納得した。


 だが、雑木林は恐ろしく静粛だった。


 この中で撃てば、いくらサイレンサーを使っていてもわずかな音が聞こえると彼は考えた。そうしてルチアーノは木の幹からわずかに顔を出して音を探ろうとした。その瞬間、またもや木の幹が削れ飛び彼は幹の陰に身を潜めた。


 あの女、この暗がりで見えるのかと彼が驚いた瞬間、敷地の裏手からサブマシンガンの気忙きぜわしげな銃声が聞こえ、それが止んだ直後、誰か、男の叫び声とも聞こえる声が遠目に聞こえてきた。


 そんなまさか、すでにあのメイドは裏手にいるとなると俺が相手をしてる──釘付けにしてる相手は誰なのだと、ルチアーノがおどろいている最中、落ち葉を踏み駆ける足音を耳にし、それが大きくなると複数の足音に膨れ上がり、メイドの女が戻って来たのだと──それを追いかけ仲間たちが来たのだとルチアーノが思った。


 その直後、また何者かが落ち葉の上に転んだ。そしてまた一人、続いてまた一人と人が転んだ。最後に倒れた者がうめき声を上げたので撃たれて転がっているのが男だと分かった。だが、今度こそメイドは近くにいる──そう彼が判断し再び幹の陰から様子を探ろうとわずかに、しかも音も気配も殺して幹の陰から顔をほんの少しだけさらした。


 その瞬間、いきなり首に背後から腕を回され締め上げられると腰の後ろに何かが触れた直後、一瞬で両足が地面を失い後方へ回転する様に意識がもっていかれた。直後、最初に失った地面を捉えたのは顔面だった。追いかける様に胴と足が落ち葉の下の乾いた地面に激突しうつ伏せに倒されるやいなや、背中側から連続して両方の脹ら脛(ふくらはぎ)を撃たれた。聞こえたのはホースから空気の噴き出すような連続した低い音と、メカニカルな作動音だけだった。ブレットは肉だけでなく両足の骨すら粉砕していた。その余りもの痛さに何で撃ったのだと彼が怒りを感じたその時には気配が急激に遠ざかって行った。




 あいつは殺し屋じゃないのかとルチアーノは自分が生きている事を信じられずに落ち葉から顔を上げ空気をむさぼった。その瞬間、今度は気配も感じさせずにいきなり起こし掛かった右肩を撃たれ、横へ転がるように彼は腕を振り回して背中から地面に倒れた。


 意識を失う瞬間、ルチアーノは“狙撃”の単語をひらめいたが闇に墜ちた。








"Fourth-shot! , Fifth-shot!"


(:四撃目! 五撃目!)


 寝静まった民家の庭先でささやく女の声が不気味だった。


 芝生に伏せプローンでハリス製バイポットに支えられたFN ヴァリスタのピストル型グリップを握りしめフルアジャスタブルのストックを肩付けしチークピースにほおを預け、ジェシカ・ミラーは覗くリューポルド製VX-Rパトロール3ー9x40mmライフルスコープのレティクルが交差する場所に浮かび出る赤いダット上の二番目のダッシュマークと横に四つ目のダッシュマークが交差するであろう場所に、ピカティニーレィル上に連結したAN/PVSー22ナイトヴィジョンが映し出す薄緑色のグラディエーションでピオニエレーネ・ファミリーの駆けて行く男達を次々に捉え狙撃し続けていた。


 200ヤードのブランクレンジのこの距離では.308Winの弾道はフラットに近くドロップダウンもわずかでホールド・オーヴァーも必要なく、むしろ御師匠を追い回すマフィアの連中が暗闇だというのにフラッシュライトも持たずに駆ける速さから、リード撃ちする方が難しく右に左にと横にダッシュマーク4つ分の余計なリードを取りPOI(:狙点)をずらさなければならなかった。


 彼女はポリマー製の弾倉を交換し次弾を装填すると、素早くスコープの視野にFOV(:光学照準器を通して見える視界)から視線を外す前のポイントを捉えた。その直後正門から回り込んできた新たな男一人を視認するとわずかな間に男の足取りと動線を読みトラッキングを開始するなり2ステージのトリガーをゆっくりと絞り込んだ。シャンパンのコルクを抜いた様な音の0.2秒後、対物レンズの遥か先で男がもんどり打って倒れるのを確認し彼女はつぶやいた。


"Sixth-shot!"


(:六撃目!)


 六人目をノンスレットィング(/Non-Threating:無害化)すると、彼女はボルトハンドルを素早く操作し空薬莢を静かにチャンバーから引き出し芝生の上に弾き落とした。そうしてリロードしボルトを閉じた。


 マン・ターゲットを連続して狙うのにフルート付きのバレルはコールドバレルを気にする事もなく、ブレットは楽に狙点に吸い込まれ、手のひらを躍らせる素早いボルト操作で連射し続ける事が出来た。


 シェアファイアのSOCOM762ーRCサプレッサは優秀でこれだけ連射の様に撃ってるにも関わらず、住宅の家人が起き出す事すらなかった


 続けざまに六人の男らを戦闘不能にしながらジェシカは誘引ゆういんと襲撃を交互に繰り返す御師匠があまりにも巧みで、呆れかえると同時に、六輪トラックで運んできて五百ヤード先の道路に待機させたあれ(・・)を使わずに事が済むかと期待していた。


 だがスナイピングには限りがある。御師匠が敷地内に侵行し本格的にCQBに移ったならサポートも危うくなる。百戦錬磨の魔神の様な御師匠に万が一の事があれば直ぐに駆けつけ支援出来る様にと彼女は芝生に伏せた身体の右手横に置いたHK337カービン銃をつかみ二百ヤードを駆けて行くつもりだった。


 だがジェシカはアンから大切な使命を受けていた。それがカービン銃の傍に置いた厚めの電話帳を三冊重ねた大きさのユニットだ。


 それを使い指差す様に“指示する”。そのためには決して屋敷には近づくなと彼女はアンから厳命されていた。




"NoW, I'm gonna break to the insidE, and Let's get this donE."


(:侵行しィ、片づけるぞォ!)




 イヤフォンから聞こえたアンのバーストの様な巻き舌が全く息を乱していない事にジェシカは喝采を贈りたくなりボルトアクション・ライフルのフォアエンドを左手の指で叩いた。








 正門から駆けてきた男が積もった落ち葉の上に激しい音を立て倒れるのを背後に聞きながら、アンは左手のブローニングHPを背中のホルスターへ腕を回しし戻した。そうしてほおの脇に回した細身のムーヴマイクへ中へ入ると告げ右手に握るハンドガンのスライドを口にくわえ肩幅に両手を広げ上げ背丈より高いフェンスの鉄筋のできるだけ上部を握りしめた。直後、彼女は蹴り込むようにひざ先の鉄筋をパンプスの裏で捉え、その足を次々に高い場所へ繰り出し、元の胸の高さに達すると曲げた両脚で凄まじい力を解放した。その一瞬、アンの下半身が両手を軸にフェンスから離れると腰が先にフェンスの上を回転する様に飛び上がり両脚が追いかけた。フェンスの尖った先で肩越しになった両手を鉄筋から放したアンは前に向かい回転し敷地内へ飛び下りた。ブロンドの長髪が躍り落ちてくると彼女はうつむいた顔を素早く引き上げ館へと振り向けた。地面は手入れがよく、外ほどは落ち葉や枯れ枝が落ちていなかった。アンはくわえていたブローニングを右手につかむと首に掛けているスリングで吊したハニー・バジャーのグリップを左手で握りカービン銃のバレルを振り上げた。


 その直後、フェンスの外に裏門から走ってきた二人の男らが二秒を切る短い間に、続けざま落ち葉へ倒れ込んだ。二人目はライフル弾がどこに命中したのか血飛沫(しぶき)の音がハッキリと聞こえアンはニヤつきながら背の高さの垣根が連なる庭先へと足を向けた。


 自分らはまだサプレッサー越しの射撃しかしてないが、すでに三人の男らがマシンピストルをフルオートで撃っていた。一番近くの住宅まで二百ヤードそこそこ、ハッキリと発砲音が伝わるには十分な距離だった。いずれ通報を受けNYPDの連中が確認に来るのは分かり切っていた。


 倒れたのは八人。まだ屋敷には二十人以上のマフィアの兵隊がいるのが衛星の赤外線画像で分かっていた。そこまでがうちの情報部の仕事だった。後は現場サイドがどうにでも好きな様にやる。




 CQBのテーブルで神がダイスを振るつもりなら、ありったけのベットを一番倍率の高い方へ積み上げディーラーへつき合うのが俺様の流儀ィ。それがスリルの代償ならとことんやるさァ。


 時間の勝負になるゥ。


 立ちふさがる奴は皆倒すゥ。


 アンは足音も気にせずに垣根が迷路の様に張り巡らされた間へスカートをなびかせて駆け出した。




"Go! Go! Go! Fire! Fier! Fier!"


(:行けェ、行けェ、行けェ! 撃てェ、撃てェ、撃てェ!)




 アンが巻き舌で歌うように吐き捨てながら駆けて二つ目の垣根の曲がり角を折れた瞬間、マシンピストルを構えた男と鉢合わせになり男が反応するよりも素早く彼女のブロンドが躍り上がった。






 男は目の前に現れた女が、皆が探し駆けまわっているメイドなのだと気づいた瞬間には、目前に広がる金のカーテンを見ながら、両足のくるぶしに続けざまに衝撃を感じ、自分がなぜか前に倒れて行くと理解した瞬間、足を蹴り込まれたのだと分かった時には遅かった。


 見下ろした先に地面に待ち構える女が拳銃を腹に向けているのが見えた刹那、銃口にマズルブラストが膨れ上がった。拳銃の横へ、くっきそうなほどに連なり二つの薬莢が蹴り出されるのを目にし、男は女がマシンガンで発砲したのだと思った。


 倒れるよりも早く衝撃を感じた男はマシンピストルを手放し脇腹に『力』を受け先に突き出した左手が地面をとらえそうなほど体を捻りながら女に覆い被さる様に倒れ込んだ。


「急所は外したァ、下手に動かなければ四十分は生きられるゥ。動けば十分で死ぬゥ」


 耳元に巻き舌でささやかれ、それじゃあどのみち死ぬんじゃないかと男が腹の痛みに顔をゆがめていると、女に押しのけられ仰向けに冷たい地面に転がった。


 立ち上がったそのメイドは振り向きもせず男が見下ろす垣根の先へと駆け出した。




 今の銃声で兵隊らの誰かが駆けつける可能性があった。


 アンは右手のブローニングを腰の後ろに回し横様にホルスターへ挿し込んだ。そうして前に戻した右手にハニー・バジャーのグリップをつかみトリガーの上に軽く人差し指を乗せ、左手でバレルガード下のピカティニーレイル(/Picatinny Rail:軍標準規格MIL-STDのGun附属品装着基部)に取り付けたバーチカルグリップを握りしめ、ストックを右肩の付け根に引きつけ銃口を振り上げた。メイド服に不釣り合いな背を丸めた攻撃・警戒姿勢でレシーバー上部のレイルに装着したEOTec518ホログラフィックサイトの赤いリング中央の1MOAのダットに意識を集中した彼女は、そうしてマズルを揺する事なくやや狭い歩幅で一気に垣根の間を駆け抜けた。


 十秒も走る事なく二つ目の角を曲がった先に館の壁が見えてきた。


 その生け垣の出口に注意力を集中した刹那、広葉樹の葉が舞い散り垣根を突き破り横様から突き出された手に左手首をつかまれた。直後、アンは垣根を突き破り一気に反対側へ引き出された。飛び出した先で彼女は顔を振り上げた。左腕をつかむ6フィート・ハーフ(/ 6-1/2foot:約2m)はある大柄な男の顔を眼では睨みつけ赤い唇を一度吊り上げニヤつき彼女は呟いた。




"Awesome !!"


(:最高じゃねェかァ!!)




 吐き捨てた直後、腕力一つでサプレッサーの銃口を男の右胸に押しつけ彼女は三発のブラックアウトをその見下ろす男へと恵んだ。













☆付録解説☆


☆1【Let's get this done】片づけるぞ


☆2【シュタイヤーTMP】(/Steyr Tactical Machine Pistol)。Steyr Mannlicher GmbH & KG社のマシンピストルです。この銃はPart 5-2で解説として取り上げなかったので今回載せました。グリップの中にMagazineがある構造上持ったバランスが良く、この種のModelは通常Handgunよりやや大きくしかもFull-Auto射撃が容易な様にバレルガード下にバーチカルグリップを備えるものが多く、拳銃弾を使う割にサイクルレートが高く暴れやすいGunだという印象があります。薬莢の短い拳銃弾の為にフルオートで射撃すると空薬莢がホースで水を流す様に一気に飛び出してきます。ストックなしでフルオートの割に集弾性能が高く20ヤードでもマンターゲットに容易に集める事ができます。現在は確かスイスブランドのGun-makerが製造しているはずでフォールデイングストックの付いたものを見たことがあります。

・同社の発音は日本式だとステアーでしょうが、米語ではシュタイヤーが音に近く作品中ではこちらを使っています。また作品中ではマフィアの構成員らがサブマシンガンを持っている様な表記になっておりますが、マシンピストルという単語に馴染みない読者の方の為にこちらを使いました。制式には型番通りにマシンピストルですのでご了承下さい。


☆3【FN ヴァリスタ】(/FN Ballista)。FNH社の狙撃銃の一種です。弾種3種類をBarrelとBolt-face、Magazineを交換するのみで選択可能です。集弾性能を考慮しMagazineをPolymerとするなど他に見られないArchitectureがあるようです。


ここで狙撃銃の用語に関する説明をもう少しだけ。


・【.308Win】(/.308 Winchester)。Rifle Cartridgeの一種です。7.62 x 51mmのサイズで同等品7.62mmNATOと外寸は等しいのですがBullet重量,Powder,Primer等が規格と異なりRange,破壊力が異なります)。


・【リューポルド製VX-Rパトロール3ー9x40mm】(/Leupold VX•R Patrol 3-9x40mm)。Leupold & Stevens,lnc.のRifle Scopeの一種で倍率3~9倍ZoomのBlank Range - Middle Range向けのScopeです。価格を押さえている割に(それでもMaker-RPが約$ 779.99)使い易く高倍率化しても視野周囲の歪みや蹴られが少なく、Cross Hear中央に薄明時や夜間の使用に便利なイルミックスの赤いダット表示が可能です。Reticleはmil-dotに代わりhash marksを採用し1目盛が0.5milになります。milについては後でご説明いたします。


・【ホールド・オーヴァー 】(/Hold over)。ScopeでTargetをCross HearのCenterでなくRange,Wintege,BCを考慮した位置でAimingする事です。多少、銃器に詳しい人でもTargetを必ずCross Hearの交差する中央で捉えなければならないと、誤って理解してる方がお見えで、小説にその様な表現を使われているのを見かける事があります。軍事射撃などのTactical Shootingでは一刻を争う状況で射撃する事が多く各種修正を悠長にしてはいられない場合が多々あり得ます。この際、例えばmil仕様のReticleではHear line上に一定間隔のMarking(これをmil-dotといいます)があり、これのいくつ目が修正値に必要か即断し、そこにScopeの中心からTarget pointを持ってきます。RifleのScope調整を行い都合良くその距離でTargetと遭遇するとは限りません。もしかしたら倍以上の遠距離で想定距離差の状況におかれる場合もあるのです。その時はmil-dotのかなり下のdotを使い照準します。これのいくつ目を使うかはAmmoやPowder、Bulletの型番によるBC-data(:弾道特性)に大きく依存し、また風や気温、湿度、過去のその銃での射撃dataも考慮して決めますので単純な例は省きます。


・【Part5-1の付録解説にてM.O.A.についてご説明しましたが、僅かに触れましたmil(:ミル)についての簡単な説明をいたします】。

 milには幾つかの意味があるのですが、今回は銃器照準補正用のmilです。もともとは陸軍や海軍の砲術用照準修正基準値(野戦砲や艦砲の光学照準においての)だったのですが、これは円を6338分割した際の角度を意味します。ですがこの数値は実測値に用いた場合に端数が必ず出ます。砲術では扱う長大な距離に対しての修正値に端数が意味する数値はそれほど砲術上問題ないのですが、砲と違い銃器は遥かにRangeが短いのでこの端数が煩わしく、円を6400で割った角度を基準値とします。

 端的にいいますと銃器の1milとは100mにおける10㎝を表し、メートル法を理解する国ではM.O.A.よりもこちらのmilの方が理解し易いと思われます。

 mil-dot仕様のScopeのReticle(:日本語で十字線といえば正しいのでしょうか)には修正目盛りに小さな『・』(/Dot)が表示されておりこの数からHold-overする時に数えて幾つ目にTargetを合わせればImpactするかが分かります。作品内でジェシカが使用するLeupold製のScopeはmil-dot仕様なのですが、低倍率時のTargetがDotに隠れてしまわない様にhash-mark『-』になっています。間隔は1Markが0.5mil間隔になっておりMiddle Rangeでも微調整がし易いように考慮されています。


・【リード撃ち】(/Lead)。Leadを取るとも表現します。移動するTargetに対して行う大まかに分けられる射撃方法は3種類あります。その一つがLeadと呼ばれる方法です。これはAmmoの弾道能力と風などの外因やTargetの移動速度と方向を理解すれば導けます。要はImpactまでの時間とその間にTargetがどれくらい移動するかで、予測移動先へAimingしてBulleを送り込むだけの話です。極端な例ですが、数百ヤード先の横へ移動する車の運転手を見越して狙撃する事も可能です。

・これに対してScopeのAiming-pointに対してTargetが移動するのを待ち伏せし撃つのをTrappingといいます。こちらの方法がLeadよりもRifleが揺れないので、命中率は高まります。

・最後にもう一つは陸軍や海兵隊のSniper教育課程で習うTrackingという方法です。これは移動するTargetに対してScopeを追従させ続けAimingし続け撃つ高等技術です。これはかなり難しく300yard先の横に歩く人SizeのTargetですらなかなかVital ZoneにImpactしませんし、下手をするとScopeのFOV(:光学照準器を通して見える視界)からTargetを逃してしまいます。それに一定以上の距離があると単純なReadなどに比べSniperの利き手によりReadする量と向きが変わります。


・【AN/PVSー22】(/ AN/PVS-22)。Knight’s Armament社のNight Vison Scopeの一つでScopeの前にTandemで使用します。この一般ではGeneration 4(:第4世代。米軍はこれをGene3だとしています)になるNight Visonはとても改良されており、例えば真っ暗なTargetがいきなり車のライトに照らし出されても従来型の様にハレーションを起こし視野がWhite-outしたりBreaker-offする事がありません。またこのGene4のGradeは高度な軍事技術に当たる事からU.S.以外での販売が禁止されています。


・【ポイント・ブランク】(/Point blank)。Short Range(Zero inされた基準射程距離、GunやAmmoによって違いますが一般に100-300yardとされます)をPoint blank──Zero in後のElevation補正を必要とせずReticleの交差する中心でTargetをAimingして射つ事またはその距離をいいます。作品中でジェシカは200yardでCross hairの中心に集弾する様にScope調整(これをZero-iningまたはZero-inといいます)したRifleを使用しています。従って上下の微調整は必要ありませんが、彼女が上にPOIを修正して狙撃しているのは腰から下を狙撃する意図があるからです。


・【コールドバレル】(/Cold-Barrel)。これは射撃技術の一つで、銃を撃つ事で加熱によるBarrelの歪みからPOI(:着弾点)の集弾が悪くなるのを避けるため、軍やLE(:法執行機関)のSniperがBarrelを自然冷却する時間をおいた射撃方法です。概ね120秒ほどの間隔をとります。作品中ではジェシカの使うFN Ballistaが仕様によりBarrelにFlute加工がしてあり、そのため連射を許容する表現をしていますが、これはFlute加工によるBarrel表面積の増大と設定日時と場所による空気の冷え込みが効果をもたらしているとしています。ですが、熱拡散と放射の計算をすると多く見積もってもCold-Barrelほどではありませんので、Blank-Rangeで無条件に集弾性能が上がっているとお考え下さい。







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