表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

02 召喚

好き勝手に動いています。

 

 

おいおい、これって勇者転生物だったのかよ。

仕方が無い、オレが行ってやるからお前はここで平穏に暮らせ。

じゃあな……


(ううむ、譲り受けたのは良いが、何とも変な事になったのぅ……じゃが、確かに存在は送ったのじゃからして、あやつはあのままでも良かろうの)


さて、身体をどうするかだが、あの身体、使っても良いのかねぇ。


《よく参られた……ここは、何処ですか……おぬし、勇者召喚になったのは分かっておるかの……足元の光、あれが……うむ、それでの、希望の特典を付けてやろうの。さて、何が良いかの……保留で良いですか……何じゃと……現地で不足を感じた時に、必要で足されるようにしたいです……ううむ、そういうのはさすがにの……なら、完全隠蔽能力とかありますか……それで良いのじゃな……はい、それでお願いします……うむ、なればそれを授けようの》


(変わっておるの。普通なればアイテムボックスやら、魔法の才能やらを求めるものじゃが、隠蔽を望むとはの……まあ良い、こやつはあくまでも脇役じゃ)


さて、誘致は良いが、精神体で何も言わなかったな。

このままだと人間には見えんが、何も言わなかったって事は問題無いんだろう。

ふむ、他にも居るのか、成程な。

3人勇者におまけが1人の構図か。

だが、おまけは精神体だから姿は見えないと。

だからあたかもおまけなしで話が進むか。


それは良いんだが、どいつもこいつも真っ赤なオーラってどうなってんだ、こりゃ。

おいおい、その首輪、嵌めるな、おい。

やれやれ、守護の首輪とか、素直に信じて隷属化されてやんの。

隷属勇者の出来上がりは良いが、戦争の駒にするのが趣旨なのか。

どうにも変な事になっちまったな。


「ふっふっふっ、今回の勇者も安易じゃったの」

「はっ、これで世界は我らのものですな」

「よし、まずは予定通り、南の国からじゃ」

「ははっ……おい、勇者共、とっとと準備をしろ」

「「分かりました」」


いやいや、中々に奴隷やってんな。

それは良いが、レベル1じゃ戦いにならんと思うぞ。

それにしても、完全隠蔽能力は良いが、どの程度の効果があるものかねぇ。

とりあえずレベル1で一般人のステータスにしておくか。

おっと、外で身体に入らないとな。


そのままふよふよと移動するのは良いが、このままと言うのも何だな。

勝手に呼び付けた訳だし、意趣返しをしても構わんよな。

意趣返しと言えば宝物庫。


中のアイテムは全部、ボックスの中に場所替えだ。

資金も大量にあるようだし、全部もらっとこうか。

まあ、これで金が足りなくなって民に無理を言うようなら、民も爆発するかも知れんし。

別にどうでも良いが、そういうストーリーも面白い。

レジスタンスに資金提供とか、そういう使い道もあるかも知れんと。


ほお、金貨千枚の袋が、なんとまあ大量にあるんだな。

戦争の為に集めたのだとは思うが、680袋もあったぞ。

銀貨もいただくとして、銅貨はこの際、放置で良いか。


後は武器の類も色々もらっておくから、後は好きにするといい。

城外で……そして身体に入る。

いやぁ、久しぶりだな、この身体も。

隠蔽必須ってのが何とも言えんが、やはり自分の身体に入ると違うな。


城下で色々探るも、やはり魔王の話は一切聞かない。

きな臭いだの、戦争がどうのこうの、そういう話ばかりだ。

大手の商会で暗示全開、串肉1本銀貨2枚の取引。

1本食わせると絶賛したので、その味だけしか気にしないように暗示。

価格を気にしないから儲けになると、それしか思わず大量に売れた。


金貨35500枚で串肉を買うと言われた。

17万7500本納品……焼いてある串肉だから、とっとと食えよ。

さてもうこの国にも用は無い。


飛翔魔法で隣の国


とりあえず、串肉屋でもするか、クククッ。

とんでもない量だからな、減らさないとボックスの容量がヤバいんだよな。

さすがに数百年の集大成というところか。


「いらっしゃい、串肉はいかが」


手続きを終えたらすぐに始められる屋台。

1本銀貨2枚と言うのは、換算だと2000円相当らしいな。

握りこぶしの肉が5つのうえ、香辛料で焼いているんだ。

1塊400円と考えれば、それは決して高くない。


「おいおい、銀貨2枚は高くねぇか」

「この量で高いと言われましても」

「いや、問題は味だろう」

「それならば尚更、見るだけで判断されましても」

「ほお、言ったな。よし、1本買おうか」

「毎度あり」


(エルビス様、そのようなくず肉など・・むおっ・・城での食事とは比べ物になりませぬ・・何を言うか、これ程の味、城でも食した事は無いわ・・何ですと)


お付きの人も1本買い、揃って黙々と食っている。


(これは驚きました……そうであろ……はい、まさかここまで味だとは……城の料理もこれぐらい美味ければな……そうですな……よし、決めたぞ。こやつをオレの専属料理人にする……これは栄達ですな、さぞかし喜ぶ事でござりましょう……うむ、そうであろう)


いや、そんな事、無いから。

身代わり君、後はよろしく。


隣の屋台のおっさんに意識誘導し、おっさんはご機嫌で誘致されていった。

あんなヤバい国には居られないと、とっとと他国で始めた串肉屋。

僅か2本で辞める訳にはいかないんだよ、悪いな若様。

なんせ99999本を1枠として、400枠が1ページ、それが32ページもあるんだからよ、とっとと処分しないとボックスの邪魔だからな。


あの頃はもう、在庫の肉の処分の事しか頭になかったけど、まだあるんだよ魔物肉。

数百年の集大成の処分には、やはり数百年掛かるってのが証明された。

なのであらかた串肉になりはしたものの、その串肉の量が半端無いと。


あの世界でも色々な物資を詰め込んだせいで、串肉の枠が欲しくなったんだ。

だから10ページは減らしたいと思ってるから、誘致をされる予定は無いからな。


「さあ、串肉はいかが。美味なる串肉、香辛料使った美味しい串肉」


お、香辛料で反応したか、よしよし、まあ食ってみろ。

絶賛、絶賛、また絶賛。

客が引っ切り無しにやって来る。

まあもう焼いてある肉だから、網の上に乗せたらそのまま売っても問題無い。

銀貨2枚で飛ぶように売れていく串肉は、出す端から手が伸びる。

銅貨を小鉢に放り込んで、串肉を掴む手は良いが、そいつはちょいとな。


「おっと、銅貨でこいつは止めて欲しいな」

「サム、てめぇ、またやってんのか」

「おいおい、オレは銀貨を入れたぜ」

「お前の銀貨ってのは黒いのか。ほれ、そいつがそうだろ」

「言い掛かりだ」


おっと、後ろのガキにはアストラルバインド。精神拘束魔法で動けないと。

自分を目立たせて子分に窃盗させようってのが実にセコイね。

まあもう食っちまったようだから仕方が無いが、次は無いと思えよ。

痺れたように動かないガキを摘み、魔法を解いて投げ付ける。


「連係プレイも良いが、泥棒のそれは感心しない。次は無いぞ」

「へっ、意外とやるじゃねぇか。おい、帰るぞ」

「失敗しちゃったね」

「ほれ、串肉だ」


やれやれ、貧民対策をしてない国か、この国も大した事は無さそうだ。

隣の国は勇者召喚で隷属化、こっちの国は貧民を放置ってか。

これで魔王が居なければとんだ人騒がせって事になるんだがな。


「串肉~香辛料使った串肉~」


     ☆


初日、串肉430本売れて銀貨860枚獲得。


偽装カバンを肩に担ぎ、屋台を閉めてまた明日。

そのまま貧民街のあいつらの元に……


「よぉ、串肉が余ったんだが、食わないか」

「施しのつもりか」

「捨てるつもりだ」

「なら、勝手に捨てちまえよ」


一角に桶を並べて串肉をつらつらと20本ずつ5つ。


「捨てたからな」

「な、どっからそんなに……そいつ、拡張カバンかよ」

「やらんぞ」

「へん、要らねぇぜ」

「サム、食べていい?」

「ああ、好きにしろ」

「ねぇ、サム」

「いいんじゃねぇか」

「わーい」


何処に居たのか、小さいのがつらつらとやって来て、串肉を掴んで食い始める。

ふむ、こいつらに供給すれば無くなるか。

どのみち金は要らんが、屋台が面白そうだからやっただけ。

それなら廃屋の一角で毎日供給してやる手もあるか。

そうと決まれば廃屋を物色し、良さそうなヤサを確保。

そこらの奴に暗示で串肉配給を当たり前に認識させる。


そして翌日から串肉を取りに来るサム……でかい容器に50本。

毎日50本なら5年で1枠が消えるか。

やれやれ、こりゃ当分消えねぇぞ。


あれ、商売にしてんのか。


まあなぁ、代わりに売っても別に構わんよ。

香辛料使った料理とか、こんな内陸じゃ滅多に無いだろうから、高く売れるだろ。

精々、儲けて皆に食わせてやるんだな。


(さあさあ、香辛料たっぷりの串肉だぁ、銀貨2枚だぜぇ……おいおい、そいつはアコギだろ・・香辛料がいくらすると思ってんだ……それはそうだがよ……こいつは美味いぜ……そこまで言うなら貸してみろ……銀貨2枚……ほれ……毎度あり~……そのような肉など……ほお、これは美味い……)


お、全部売れたのか。儲けたな……それは良いが、卸先を言うのかよ。

まあ、言わないと殺されそうな雰囲気ってのもあるしな。


「頼もうか」

「何でしょう」

「串肉を所望する」

「銀貨2枚ですが」

「たくさん買うのでな、負けてはくれぬか」

「1本銀貨2枚」

「銀貨1枚にならぬか」

「香辛料抜きで焼けば銀貨1枚」

「うぬぬ、それは痛いの」

「たくさん買えば安くなる」

「おお、それだ」

「1万本だと銀貨19900枚、どうだ、100枚引きだぞ」

「もっと安くなるか」

「10万本だと1000枚引いてやる」

「金貨1000枚引くためには?」

「100万本買えばいい」

「本気で100万本、あると言うのだな」

「先に金だぞ」

「良いだろう。だが、金を出して串肉の無い時、覚悟は良いな」

「良いともさ」


暗示は優秀だねぇ。


すっかり売買勝負になっちまって。

さあ、金貨千枚の袋、199袋持って来い。

代わりに100万本くれてやる。

それで11枠減ってくれるからありがたい。


荷車に布を敷いたようなのがたくさん来る。

金貨袋は全て接収し、串肉をドンドン載せていく。

10枠で99万9999本の串肉。

隣の枠から1本載せて、はい終わりっと。


結局、その若様は串肉100万本を持ち帰った。

それは良いが、焼いてある串肉だから、とっとと食わないと腐るぞ。

どうやら城内や騎士団への差し入れになったようで、総勢数万の者達に食い尽くされたようだ。

おや、余ったのは塩漬けにしてんのか。

まあなぁ、そうすりゃ長持ちするだろうけど、風味は終わるぞ。


串肉は騎士団に好評だったようで、金額の懸念を暗示で消してやると、早速発注してくる。

それから騎士団本部へ売りに行く事になり、毎日1万本の納品をする事になる。

毎日1人2本の串肉……金貨2千枚の税金の無駄遣い。


結局、サム達に50本、騎士団に1万本の納品は毎日続いた。

さすがにこれだけの量ともなると、10日で1枠のいきおいで減っていく。

サムにも追加に串を渡し、順調に枠を削る日々となる。

サムも巷で串肉を売り、その売り上げでチビ達を食わせている様子。

数百の串肉の売り上げは、そのままそっくり収益になるから、今は余裕だろうな。

オレが消えるまでそうやって、楽をしていればいい。


のんびり世界情勢を見学しながら半年余り、200日での売り上げは金貨千枚袋にして400袋

高いようだけど、暗示込みだから平常運転での取引となっている。

金貨千枚袋はボックスの中にあり、今日も串肉をお届けに……終わりか。

監査登場で我に変えるか。


残念、もう串肉売りも終わりだな。


(まさか予算を串肉で食い潰すとはな……参ったな、そんな額になっていたとは……ともかく、そんな贅沢はこれで終わりです……分かりました)


やれやれ、200日で21枠消費か。

若様で11枠、今回で21枠……中々減らないな。

次は何処に暗示で売りつけようか。

半年ぐらいはバレないようだし、クククッ。


そしてまたサムに地味に串肉を渡す日々に戻り、売り先を探す事になる。


見つけた……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ