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01 誘致

 

 

誘致されたのは良いが、自前の身体は使えないらしい。

オレの元の身体はボックスの奥で眠ったままだ。

今は精神体で、目の前の奴が死ぬのを待っているところ。

どうやら彼は漂流してここに辿り着き、今、走馬灯の中にあるようだ。

こいつが死ねば身体を使えと言われたんだが、見殺しにするとは中々に冷たい奴だ。


別に助けても良いよな。

軽く回復させてみると、死に瀕していた奴の意識が浮上する。

さて、情報をいただくぞ。


大学生……独り暮らし……夏季休暇……親の遺産……親戚の旅行斡旋……海に落とされた?


こりゃ財産目当ての殺しか何かじゃないのか?

ふむ、このままと言うのも何だし、こいつの裡に潜り込むか。

(今は眠っていろ……あ、ああ……何も心配は要らない……あ、ああ)

さて、かなり空腹な身体だが、串肉でも食うか。

ボックスから出して食べ始める。

うむ、この身体、まともな身体のようで助かったぞ。

大量の串肉だが、味わえない身体と言うのも辛いものがあるんでな。


さすがに2串も食べると満腹になるようで、ひとまず意識の奥で眠るとしよう。


あれ、僕、助かったのか?

妙にお腹が膨れているけど、何を食べたんだっけ?

そんな事より、あいつ、僕を海に突き落として……酷い……

船に乗るからと思って、密閉袋に入れておいて良かったな。

圏外無しのはずだけどこれ、通じるのか?


(もしもしエイジです……お前、今、何処だ……無人島みたいなんだけど、助けに来られないかな……GPSのデータ送信、やれるか……頼むね……任せとけ)


(くそ、何が殺しただ。まだ生きているじゃねぇか……くそ、仕事はきちんとやれよな。高い金を払うんだし……やれやれ、しぶとい坊ちゃんだねぇ、くっくっくっ)


時々こいつの意識を奪って串肉を食ってるが、どうにも暢気そうな奴なんだよな。

腹が減らないのを不思議に思わなくなっているようで、気が付いて満腹になっていても当たり前に受け入れるようになった。

それに、怪我しても気付いたら治っている……まあ、回復はしているが。

それにも不思議に思わなくなるから、本気で暢気なんだろう。


数日後、探査の網に存在が引っ掛かる。

助けを呼んだらしいが、そんな真っ赤なオーラを呼ぶとか、どうにも自ら死に向かう奴だな。

親戚の男を信じ切っているようだが、落とされた時点で疑えよな。


「時雄さん」

「よく生きていたな」

「何とか助かりました」

「まあ、話は船で聞こう。さあ、乗ってくれ」

「はい」


そして後ろから拳銃か。

疑わずに背中を向けるとか、救いようが無い男だな。


ターン……


「か、は……時、男、さん、どう、して」

「ふん、これで財産はオレのものだ。お前の両親と兄貴があの世で待ってるぜ、はっはっはっはっは」

「そ、そんな……」


ザブーン……


なんだ、結局、こうなるのか。

まあいい、ここで死ぬならその情報、全部受け継ごうか。

だからお前は次の人生に進んじまいな。

大体な、どうすりゃ良いのかも何も知らされず、送り込まれたんだ。

だから好きに動いても良いんだろうな。

あれ、しがみ付いて……

身体から離れたくないのか。

ならいい、そのまま奥底で眠っていろ。

オレが出るまでずっとな。


ひとまず無人島に転移し、身体を回復させる。

濡れた身体を乾かし、世界の様相を探査する。

かつての世界に酷似のようだが、この世界で何をすれば良いのやら。

ひとまず裡のあいつの情報のままに、家に向かうしかあるまい。


裡の情報のままに転移……


風呂で身体を洗って温めて出る。

着替えて後、ソファに座って探査。

まだ海の上か、ご苦労な事だ。


さて、最寄の警察で暗示で所持品検査といきますか。

港に着いた時雄の船に対し、臨検が行われ、所持品から拳銃は得られないものの、硝煙反応は出たと。

海に捨てたようだが、袖の火薬は消してないのか。

まあ、そうなると当然、家宅捜索になるわな。

そこらの組事務所から、武器弾薬は転送してやるから、楽しむといい。


ああ、粉も欲しいか?クククッ……


結局、武器やら粉やらが色々出て、彼は有罪確定に……ご苦労様。

と、思ったら、妙に組織が絡んでいるな。

高飛び? 何だそれ。

その組織、何かの都合で据えてあるのか?

本当によく分からんな。

その組織、潰しても良いのか?


とりあえず、資産は2550億程のようだが、これを狙っての殺人劇か。

なら、使い切れば良いんだな。

よし、買物しまくろうか。

あちこちの卸売業者に暗示で大量購入。

色々な品をボックスに突っ込み、金は資産から支払うと。

生活用品、衛生用品、医薬品、清掃用品、日用品、各種食品に加工食品、各種穀物に野菜、果物、食肉、魚に干物に缶詰に瓶詰め……


でかいコンテナを大量に発注し、それに入れてボックス行きだ。

そんなでかさでも99999個までで1枠に収まるようだし。

もう大学とか面倒なので休学扱いにしてもらい、1年間それに没頭した。

それをしながら裏で武器弾薬を、勝手に持ち出したりしていたが……

どのみち非合法組織の品など、盗られても公表出来ない訳だし、特に問題あるまい。


それにしても、車とか余裕で入るんだな。


タンクローリーは無理だったが、ドラム缶をコンテナに入れてならボックスに収まった。

各種燃料はそうやって大量に暗示で購入し、ひたすらひたすら入れておく。

小型ヘリなら何とか入るようで、1枠分何とか仕入れようと暗示全開。

ついでにダンプやらブルドーザーやら、土木機械も入れておく。

使い道とかは今は何も考えず、ひたすらひたすら。

どのみち資産があるから狙うんだろうし、無くせばいいだけの話。

かなり減ったがまだある資金を、1桁の億にしてやるからな。


それでさすがに止まるだろう。


料理人を雇ってひたすら料理を作らせる。

暗示全開で様々な料理が密閉容器に詰められ、それはそのままボックスに入れられる。

2年目に入り、資産はひたすら目減りしていく。

札束にしてダンボールに入れて、コンテナに入ってボックスに入れているから。

2億入りのダンボール箱が50入るコンテナ。

100億コンテナ10個で1000億だ。

それで一気に資産が尽きた。

残金4億ちょっとだから、もう狙う意味はあるまい。


エイジ君の持ち家のこのマンションの1室、後は預金が4億だ。

これでも狙うかね、クククッ。


(なん、だと……あの野郎、何て無駄遣いを……くそっ、たった4億だと、あり得るか……終わりだ、もう……くそぉぉ)


よし、諦念が包んだな。

恨みは組織のほうに流すから、お前はもう退場で良いな。

身の回りが安全に思えたので、そろそろ身体を返そうかと思っていた頃、足元に模様が発生。


これって魔法陣? だよな。





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