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カナンと贈り主

 ある日、カナンは見たことのない少年に声をかけられた。

 少年はこの地方には珍しい黒髪で、瞳は金色だった。

 その少年は、カナンに訳の分からないことを言う。


「カナン、少し早いけど迎えに来た」


 少年はカナンのことを知っているようだった。

 ……しかし、迎えに来たとはどういうことだろう。


(お父さんかお母さんの親戚? でも何で今頃?)


 カナンの両親が死んでからもう五年以上たっている。親戚ならば、もっと早く迎えに来てほしかったが……。


「何で『少し早い』なの?」


 遅いなら分かるが、早いとはどういうことだ。

 親戚ではないのだろうか。


「あなたは私の親戚?」

「違う」

「……じゃあ誰?」

「ラト」

「私とどういう関係?」

「伴侶だ」

「……は?」

「伴侶だ」


 彼は何を言っているのだろう。

 伴侶とは、つまりカナンと彼は夫婦だということだ。


「……私には伴侶なんかいないけど」

「俺が伴侶だ」

「何かの間違いじゃない?」

「間違ってない。俺の伴侶はおまえだ」

「そんなこと、勝手に決められても困るよ」

「でも俺の求愛は受けてくれただろう」

「求愛って、何……?」


 カナンは嫌な予感がした。


「食べ物、受け取ってくれただろう?」


 カナンの脳裏にあの“贈り物”の数々が浮かんだ。

 まさか、この少年がアレの贈り主だと言うのか。


「受け取ってくれたのだから、カナンは俺の伴侶だ」

「……」


 失敗した、とカナンは思った。

 もっとよく考えるのだったと今頃思っても遅い。

 なぜならあの贈り物の数々は、もう色々なものに化けてしまって、今更返すことができなくなってしまったのだから。


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