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カナンと少年たち
カナンは一人暮らしだ。
幼い時に両親が相次いで死んでしまったために養ってくれる者もなく、一人で生活している。
町に行けば、路上で生活している子供など珍しくないのだから、家があって食べていけるだけマシだった。
しかし、孤児でボロを纏ったカナンは村ではイジメの対象になった。
だから、村外れの廃屋に住み着いて生活するようになったのだった。
それから誰にも構われなくなっていたのに、最近になって村の男の子たちがカナンに話しかけてくるようになった。
例の贈り物のおかげで懐の潤ったカナンは、暖かい服や靴を買い揃えることができ、以前のみすぼらしい少女ではなくなっていたのだ。
本人は気付いていないが、カナンは可愛らしい顔立ちをしていて、男物の服を着ていてもその少女らしさは隠せなかった。
村の少年たちは今頃になって、カナンを女の子として意識し始めたのだった。