4/18
カナンと鳥肉
「何だ? これは」
カナンは扉を開けたまま茫然としていた。
家の前に、たくさんの鳥の死骸が積まれていた。
誰かの嫌がらせだろうか。
しかし、どの死骸もまだ新しくて、それに猟師でも滅多に捕れないような貴重な鳥も混ざっていた。
(誰が置いたか知らないけど、家の前にあるんだから貰っても構わないよな)
カナンの家は村の外れにあって、隣り近所とはだいぶ離れている。
別の家と間違えて置かれたとは思えない。
(嫌がらせでも何でもいいや。これだけあれば干し肉がたくさん作れる)
カナンは喜々として、鳥の死骸を家に運び込んだ。
(誰がくれたか知らないけど、これで冬が越せる)
カナンは安堵で頬が緩むのを止められなかった。
その様子を伺っているものがいることには気付いていなかった。