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カナンと獲物

「今日も掛かってない」


 カナンは何も入ってない罠を見てため息を吐いた。

 また今日も川魚を取って来るしかない。

 最近、獲物の掛かりが悪くて肉をほとんど食べていない。

 もうすぐ冬だというのに、十分な蓄えもできずに困っている。

 せめて、獲物が掛からなくなった原因が分かればいいのだが。

 ……今のところ思い当たるのはあのドラゴンのことだけだ。


(あいつが獲物を横取りしてるんだろうか?)


 ドラゴンは雑食だったよな、とカナンは思った。

 しかし、大型ならともかく、小型のドラゴンが獲物を全部食べたりするのだろうか。


(こんなことになるなら、あの時逃がすんじゃなかったな)


 今更後悔したところでどうにもならないが、今度機会があったら絶対に捕まえようとカナンは思った。


 そんなカナンをドラゴンが見つめていることに、彼女は気付いていなかった。


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