カナンと温泉
オリオルの山頂に着いた。
もう雪が積もっている中に降りても、カナンはあまり寒さを感じなかった。
(身体が変化したせいかな)
それならこの場所でも苦労せずに暮らしていけそうだと安堵した。
ラトの住処は洞窟の中だった。
大型竜のままでは洞窟に入れないので、カナンは人化したラトと共に荷物を運び込んだ。
洞窟の中は思ったよりも広くて、小さな泉まであった。
これなら、雪で外に出られなくても困らないとカナンは嬉しくなった。
「カナン、温泉に連れて行ってやる」
「おんせん?」
「湯の出る泉だ」
「そんな所があるの?」
「ああ」
カナンは竜化したラトに乗って温泉に向かった。
目的地にはすぐに着いた。
カナンが温泉を見た感想は、町の風呂屋みたいだな、だった。
カナンとラトは、裸になって温泉に入った。
二人でゆったり入れる広さがあるのに、ラトはカナンを腕の中に抱き込んだ。
「なんでくっついて入るの?」
「夫婦になったからだ」
「夫婦はこうやって入るの?」
「ああ」
そう言われたら、そういうものなんだろうと、カナンは深く考えずに納得した。
その後、温泉の中で処女を奪われることになるとは思ってもみなかった。