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カナンとキス
夜。ラトが竜化して小型のドラゴンになった。
それを見て初めて、カナンはあのドラゴンとラトが同じ生き物だということに納得したのだった。
カナンは黒いドラゴンを抱えてベッドに入った。
小さなドラゴンは抱き枕にちょうどよかった。
カナンはその夜、何の警戒もせずに眠りについたのだった。
カナンは息苦しさを感じて目を覚ました。
口を何か柔らかいものが覆っている。
カナンがもがくと、唇を割って何かが口の中に入ってきた。
それはカナンの舌を絡めとり、不思議な感覚をもたらした。
カナンは抵抗することも忘れて、その感覚を味わっていた。
しばらくして、唾液とともに何かを飲み込んだのを感じた。
何だろう? と思ったが、口内を犯す気持ち良いものに意識をとられて、深く考えることができなかった。
カナンは自分がキスされていることに気付かずに、ただその気持ち良さに溺れていった。
この時飲み込んだものが竜珠であったことをカナンが知るのは、翌朝目覚めてからのことだった。




