カナンと荷物
「ラト、荷物は馬車で運ぶの?」
「そんな物を使わなくても、俺が全部運んでやる」
「じゃあ、二人で持って行けるだけか」
「俺が全部運ぶと言っているだろう!」
「一人で全部は無理だよ」
「竜化すれば運べる」
「あんなに小さいのに?」
「大型にもなれる」
「そうなの?」
「ああ。だから荷物は全部俺が運ぶ」
「分かった。任せる」
カナンは、持って行くか迷っていた物も荷物に加えることにした。
冬越えのために用意した食料も全部持って行くので、荷物は結構な量になるが、大型の竜に括り付ければ余裕で運べそうだった。
(竜族って便利だなあ)
竜珠とやらを貰ったら、自分も竜になれるのだろうか。
カナンは期待して訊いてみたが、答えは「なれない」だった。
竜族と同じ身体というのは、頑丈さと寿命だけのようだ。
期待した分だけガッカリしたカナンに、ラトが慰めるように言った。
「空を飛びたいなら、いつでも乗せて飛んでやる」
(そういうことじゃないんだけどなー)
そう思ったが、竜に乗って空を飛ぶのも楽しいかもしれないと思い直した。
「うん。後で乗せてね」
カナンがニッコリ笑ってそう言うと、ラトは赤い顔をしてうなずいた。
それを不思議に思いながら、カナンは荷物の整理を続けるのだった。




