Silver-haired little girl
さて、私が百合ヶ丘学園に転校してきた日の昼休みに時間を飛ばそう。
春乃が秋葉の様子を見に行ってる間、私は夏波と話していた。
「しっかし久し振りだな。」
「夏波も相変わらずね、春乃と性格を間違えたんじゃないかしら?
まったく気持ち悪い兄弟だこと。
まあ、それでこそ冬日兄弟なのだけれど。」
私の言ってる事は大体暴言になるらしいのだが、私には良く分からない。
「へぇ、言うじゃねえか、冬菜、お前も変わってねぇな。
――いや、変わったのは胸の大きさって所だな。」
「貴方は伸長意外何も変わってない……
胸くらい大きくしたら?」
私は夏波にとって無理な事を言ってみた、夏波はショックを受ける、私にはそう思えた、だが、違った。
「何を~!
だったらこうだ!!」
「っ!?」
私は夏波に胸部を思いっきり揉まれてしまった、これは女性同士のスキンシップ、らしいのだけど、スキンシップってこんなに激しかったのかしら。
抵抗する隙すら夏波は与えてくれなかった、けど、夏波は一応幼馴染みだし、嫌では無かった。
「しっかし、お前の胸、柔けぇな!」
夏波は手を離して、面と向かっての言葉に私は何も言えなかった。
そうこうしている内に綾小路先生が教室にやって来て、午後の授業が始まる。
どうやら綾小路先生は生徒から「まっさん」と、呼ばれているようだ、まあ、春乃から聞いた、たったそれだけの話しなのだが、まあ、どうでもいい。
放課後に時間を飛ばそう、私は一人、自宅に戻ってる最中、奇妙な出来事が発生する。
私は無意識の内に何処かの公園に迷いこんでいたのだ、公園の入り口辺りに、全てを怨めしそうな目で見ている銀髪の幼女がそこに居た。
けど、ここに居たのは彼女だけではなかった、だって、公園の奥から、肉が焼ける匂いが漂って来ていたから……私は匂いの元へ向かってみた、そこには、狼と人間を足して二で割ったような少年がそこに居た。
「おや~?膿もこの公園に迷いこんで来たのか。
ようこそ、我輩の庭へ。」
少年が声を掛けて来た。
それにたいして私は
「まったく、何処かの中学生みたいなホームレスがこの世に存在するのね。
親が泣くわよ?
私から見て貴方は……気持ち悪いわ。
正直、近寄りたくない。」
私はありのまま思った事を言ってみた、正直ホームレスは気持ち悪い、家がない故にシャワーも浴びれず不潔だっていうイメージが私の中に存在するからだ、けど、私の言葉に関係無しに、アイツは、話しをしてきた。
「ほう?
一目で我輩をホームレスだと断定できるとはな、我輩は膿を侮っていたぞ?
夏野冬菜。」
アイツは私の名前を知っている、けれど私はアイツの名前を知らない
「貴方何者?
何故私の名前を知っているの?
ひょっとして変態のオタクかしら?
ますます貴方に関して気持ち悪くなってきた。」
動揺していた、私は動揺していた、まるでコイツがストーカーなんじゃないかって、本気で思えた、だが、アイツは
「全く……何で我輩が膿の名前を知っているのか聞くとは……
この間はるのんにも聞かれたばかりだぞ?
全く……
よし、決めた!
膿の事はふゆっぺと呼ばして貰うとしよう。」
「その呼び名で私を呼ばないで。」
私はコイツが敵だと判断し、尖ったシャーペンでアイツを突き刺そうとした、しかし、突然目の前に巨大な壁が出現して、私を拒んだ。
私は、その壁に衝突して、そのまま気を失った。
あれから一時間、目が覚めたら私は、例の狼少年の居る、公園の滑り台に居た。
「気が付いたようだな。
全く、いきなり攻撃は駄目だよ、まだ若いんだし。
そうだな、肉だ、食え。」
少年は焼いていたお肉を私に差し出してきた
「頂くわ。
ところで、貴方は一体誰なの?」
すると少年は
「 問われて名乗るもおこがましいが、産まれは遠州浜松在、十四の年から親に放れ、身の生業も白浪の沖を越えたる夜働き、盗みはすれど非道はせず、人に情を掛川から金谷をかけて宿々で、義賊と噂高札に廻る 配附の盥越し、危ねえその身の境界も最早四十に、人間の定めはわずか五十年、六十余州に隠れのねえ賊徒 の首領日本駄右衛門 !!」
歌舞伎か?
「お巡りさん、この人です」
私はこう、つっこんでおいた、だが、この少年は
「茶番はこれぐらいにして、ふゆっぺ、我輩の名前を教えよう。
我輩は霧雨麟である、名前はまだない」
「亜出乃芯三麟さんね、分かったわ。」
私はあだ名をつけられた仕返しとして、少し体に入ってる成分をかけた冗談を言ってやった。
「おお!
コイツは一本取られたな、我輩をアデノシン三リン酸っていう物質にさりげなく混ぜるとはな。
はっはっは、面白いよ!」
「ところで入り口辺りに居た銀髪の幼女は……」
「彼女か?
我輩も名前、知らないのだよ、しかも何て言ってるのか分からんのでな、とりあえずここに居させてるだけだ。」
私と麟酸の会話の最中割って入るように幼女が
「Messing around!
There is a named Shinobu Natsume to me! ! 」
なるほど、麟酸の言ってる意味がよく分かった、日本人に英語何て分かるわけがない、アニメっぽく言うならば
「まるで意味が分からないよ」
私にはこの言葉しか言えなかった、英語何て分かるかボケェ!!
「で、肉は食わないのか?」
麟酸のこの一言、私はすっかり忘れていた、肉をご馳走されている立場にある事を、だが、コイツを信用できないので
「毒は?」
「入れるかバーカ」
馬鹿扱いされてしまった……
とりあえず肉を食べてみた、その結果どういうわけか私は黙りこんでしまった……そして次の瞬間私でも予想できなかった言葉が私の口から出てきた。
「美味しい……」
と、こう、漏らしてしまった……
「はるのん達と同じ反応だな、因みに、そいつはマンモスの肉だ」
あり得ない物を食べてしまった、ただ、余りの美味しさに私は笑っていた、それを見た銀髪の幼女は
「 It is lovely one if it laughs」
うん、分からない、幼女の言語が理解出来ない。
とりあえず、私は、こ場を去ることにした。
「今度来る時までに我輩はこの子の名前を判明させて見せるからな、待っていろ」
麟酸のこのセリフを後に……
そして公園から出た後、私はとある事に気付く、それは、あの公園が私の居る座標の後ろに無い事に。
私の背筋は凍りついた。