Morning unusual came
あれから翌日、僕はいつも通り夏波に叩き起こされ、一緒に朝食を取り、一緒に学校に行った、しかし、今日だけは何かが違った、僕達は何者かに尾行されていたのだ。
「ん?
春乃?
どうしたんだ?浮かない顔して?」
夏波は僕の様子に気付いてはいるが尾行されていることに気づいていない。
「夏波、――先に行ってて。
忘れ物を取りに行くから。」
僕は夏波を上手く誤魔化すために嘘をついた、小さな嘘を、夏波は見事に騙されて
「お、おう。」
と、返事を返した、そして夏波が行った後、僕は対面する事となる。
プレイヤーとなって、一番最初の敵に、そして先ずは後ろに向けて、言い放つ。
「出てきなよ、――僕を尾行してたんだよね?
君はそんな姑息な人間だったっけ?
たわけ者め。」
すると一人の中年男性が出てきた。
「ばれてるんか……
ったく、――これだから最近の若い奴等は……」
男性は若い奴等が嫌いなのか、と、発言から読み取れるが、実は違った。
「男と女でいちゃつきやがって!
リア充爆発しろォオオオオオオオ!!
そこの女ァ!
……お前で憂さ晴らししてやる!!
――ゲームだろうが関係無い!」
「はぁ……呆れました、僕は男です、一緒に居たあちらが女ですよ。
全く、まるで意味が分かりませんよ……」
「男だろうが女だろうが関係無い!
俺はリア充狩りのプレイヤー、稲葉寛人だ!
早速だが●んで貰うでぇ!」
寛人と名乗る男は、その長い腕の先端についてる拳で僕の頭を抉る勢いで殴り付けた、凄い激痛が僕の頭を襲い、地面に倒れてしまうが……
「貴様もプレイヤーか!?」
因みに今の一撃は一般人なら脳を抉られて●んでいたと思う。
恐らく奴は、邪魔になる壁、つまり障壁を無視できるプレイヤー、そう僕は仮説する、だが仮説した所で確信が持てないので、自分の周りの空気の温度を下げて凍らせ、壁を作った、その後、体制を僕は立て直す。
「壁なぞ無意味!
――皮膚も脳ミソを守る骨も肋骨も結局は体を守る壁に過ぎねぇ!
リア充がどうあるべきか、貴様の身体に刻み込んでやるぜええええええ!!」
寛人のオッサンは凍らせた空気の壁をすり抜けて、僕の内蔵に右ストレートをかました、拳は僕の皮膚や骨という名の壁をすり抜けて、内蔵に直に、ダメージを与えている。
「ぐふっ……」
僕はその痛み、苦しみに咳き込み、再び地面に倒れた、今気付いたのだが、僕の視界の左上に赤いゲージのような物が見えて、それが減ってるように見えた、恐らくこれがライフポイントなのだろう、そして今の一撃で、攻略法を思い付いた、壁を無視できる事が出来ても壁を認識出来なければ意味が薄い、僕は、直ぐに奴の視力をプレイヤーとしての力で下げた。
「何ぃ!?
前が!?
いや、何も見えねぇ!!」
ついでに聴力も下げて、ほとんどを認識出来なくした、そして僕は体制を整え、手のひらの空気の温度を下げて凍らせるのだが、これで手を横に動かし、氷の刀を作り上げた。
「取り敢えず、……眠ってもらうよ。」
奴の首の部分を切りつけ、その後全身に斬撃をかまして、ゲームセット
「成る程ね。」
寛人のオッサンの切られた部分は赤い電子的な線で描かれるだけ、しかも線は直ぐに消えて、線があった部分は実際に斬れた訳ではなかった、僕の方にも、怪我はない、そのため、僕は安心した。
そんな僕の手元に三万円が握られていた。
そして学校え向かうのだが、僕が曲がり角を曲がった所で、また、あの公園が見えた。
そしてそこに居たのは、麟さんだ。
「やぁはるのん、今日は一人で来たのかい?
全く、よほどこの場所が気に入ったようだね、で、どうだい?
君もこの公園で」
「暮らしませんよ?」
ホームレス生活は真っ平御免だ。
そんな事はさておき、僕はさっきの出来事をすべて麟さんに話してみた、すると麟さんは
「ああ、そいつは「幽霊物体」だね、普通に障壁を無視できるプレイヤーだったけど、はるのんがやっつけたのか、はるのんの実力に我輩は驚くばかりだ、まあ、今日は奢るよ?」
「いえ、学校が有るので……」
「つれない奴だなぁ、はるのんは。」
麟さんはどうやら誰かをホームレス。世界に引き込もうと考えてるようで、何か危ない。
「仕方ない、なっちゃんの辺りを勧誘してみるか。
これに関してははるのんが何と言ってもなっちゃんの意志に任せる。
口出したら、我輩ははるのんを殴る、良いね?」
まあ、夏波がホームレスになるかどうかは、向こうの意志だから、口出しは僕には出来ない
「勝手にして下さい、僕は何も言いませんので。」
取り敢えずこう返しておいた。
「まあ、はるのんも気が向いたら連絡してくれたまえ、――ホームレス仲間はいつでも募集中だからな。」
麟さんは強要はしなかった、その辺り悪い人では無さそうだ、僕はそう、核心が持てる。
更に僕は麟さんの事について聞きたい事が有るので
「そう言えば麟さんは何年くらいホームレスやってるんですか?」
聞いてみた。
「八年だけど何か?」
その結果がこれ、八年もホームレスをやってる人(?)は初めて見た、恐るべし、霧雨麟、僕はそう感じてしまった。
「あ、そろそろ行きます、学校有るので……」
「そうか、がんばれよ。
まあ、多分遅刻だろうけど。」
麟さんの不敵な笑みに見送られ、僕は公園から立ち去った。
その日、僕は麟さんの公園に居たために、盛大に遅刻して、反省室で、風紀委員長、三室紫杏先輩の説教を喰らう羽目となってしまう。
「冬日、貴方が遅刻するなんて珍しいわね、どうかしたのかしら?
いや、言い訳を聞いた所で、遅刻者への処罰は変わらないから聞かない事にする、さて、貴方には反省文をこれから書いて貰う訳なんだけど、やっぱり言い訳くらいは聞いてあげるわ。
言いたい事ははっきり言いなさい、反省文は書かせるけど。」
僕は、紫杏先輩に言われたように言い訳を三秒で考えた、その結果、僕は朝の一件で手にいれた三万円を見せてみた。
「これが理由です。」
「……成る程ね、貴方は運がいい。」
紫杏先輩は突然顔色が変わった。
「私もプレイヤーよ、肩書きは言えないけど、貴方、他のプレイヤーに襲われたのね。
ならいいわ、反省文は無しにしてあげる。
でも条件が、有るわ。」
反省文はなんとか免れそうな雰囲気になる、次に紫杏先輩が口を開くと、とんでもない事を口にした。
「その三万円から一万円を私に頂戴、そうすれば反省文を今回は免除、これは取り引きよ、タダで免除して貰えると、思ったら大間違いだから。」
一万円を払え、との事だった、僕は賞金を二万円にして反省文を回避するか、反省文を書くかの二択を迫られた、だが、僕は夏波の言葉を思い出した。
「反省文を回避すんなら、どんな手段でも使うぜ!」
この言葉を、だから僕は自然に一万円を払っていた。
「分かった、反省文は免除、行きなさい、授業に。」
そして僕は教室に向かい、まっさんの授業を受けに行った。
そして昼休み、ゲームの局面が動いた。
突然僕のケータイにメールが来た、これは、ゲームの運営からのメール。
「運営より、指令を送る。
黒木龍、この男をリタイアさせた者に十万円を贈呈する。
この男は薔薇園学園に居る、分かっている情報はそれだけだ、ぜひ、頑張ってくれたまえ。」
これがメールの内容。
僕は取り敢えず黒木って男を追う事にした。