にっき
「ただいまーっ」
誰もいない家に向かって大きい声であいさつをする。
まわりから見たら痛い子かな、少なくとも凛ちゃんにはまた馬鹿にされると思う。
凛ちゃんは勉強もできるしキレイだし、スタイルもいいしで三拍子揃ってる。
それにクールだしかっこいいし、なんかもう憎たらしい。
でも、わたしだって、凛ちゃんの弱点知ってるんだから。
重いカバンを部屋に置き、Tシャツにパンツ一丁というだらしない恰好でリビングに行く。
親がいないときくらい、グーダラしたっていいよね。
ふと机を見ると、「わたしのにっきちょう」と書かれた本が置いてあった。
「ももぐみ ことうら ゆず」…わたしの日記だ。
全然覚えてないけど、日記なんかつけてたんだな…。
ちょっと見てみよう。
「 1がつ3にち
きょうから にっきおつけます なんでかていうと もじおかくれんしゅうには
いいって ねねちゃんが いってたから 」
ねねちゃんって誰だろ、幼稚園の頃の友達かな?
「 1がつ5にち
にっきてまいにちかくんだね わたししりませんでした あと
もじおかくのおは を っていうじをつかうんだってめんどうくさい」
幼稚園のころから面倒くさがりは治ってないんだな。
余計なところばっかお母さんに似てるんだから。
「 1がつ6にち
きょうは、しをつくった
さむーいさむーい ゆきだるま とけないように ゆきだるま」
バカっぽい詩だな、まず五・七・五でもないし。
このころに比べたらわたしって成長したよね、うん。よかった。
「 1がつ7にち
ねねちゃんがいなくなた どうしてだろ ねねちゃん
またわたしにおべんきょとかおしえてくれるっていってたのに
ねねちゃん ねねちゃん どこにいくの おいてかないで」
涙の跡と見られるものがあちらこちらについている。
そんなに仲が良かったんだろうか。
その割にはねねちゃんが誰だか全然思い出せないんだけど…
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