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能面少女  作者: 林原
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かいそう

私は金曜日が嫌いである。

同じクラスの琴浦 柚(ことうら ゆず)

「次の日が休みっていいじゃん」などとほざいていたが、

本当に安易な考えだと思う。

考え方などそれぞれなのだから仕方がないとは思うが。


しかし、なぜ私は金曜日が嫌いなのだろうか?

確かに翌日は休みであるし、特に嫌な授業があるわけでもない。

以前に悪い出来事でもあったのだろうか?

全く心当たりがないが…まぁ、それも仕方がないだろう。

私は小さいころの記憶がほとんどないのだから。


記憶喪失、といえるのだろうか?

私には幼稚園の頃の記憶が全くないのである。

小学生のころの記憶も、すべて三年生からで始まっている。

何か記憶をなくすほどのショッキングな出来事でもあったのか、

それともただ忘れっぽいだけなのか。

しかし、私は記憶力には少々自信があるつもりなのだが。


私はいままでに3回転校した。

もっともそのうちの一回は幼稚園の頃らしく覚えていないので、

親に聞いた話なのであるが。

ここにきたのもつい3か月ほど前で、同時に転校してきた人が3人ほどいた。

琴浦 柚もその一人である。







転校初日、一人で帰ろうとしているとふいに肩を叩かれた。

琴浦だっただろうか。私と同じく今日転校してきた子だ。

「えっと、石神さんだよね。んっと、わたし、引っ越してきたばっかりで帰る人いなくってさ…その、えっと、一緒に帰らない?」

嘘である。さっき、数人の女子に一緒に帰ろうと誘われていたはずだ。

私が一人だったので、同情して一緒に帰ろうと言ってくれたのだろう。

優しさの押し売りというか、偽善者というか。

「別に一人で帰れる。それに、さっき誘われてたんじゃないのか?」

そんな気持ちが少し漏れてしまったのか、案外冷たい言い方になってしまった。

こういうタイプの人間は無駄に傷つきやすい人間が多い。すぐ引き下がるだろう。

「ごめん…でも、わ、わたしは、石神さんと帰りたくって、えっと…

…迷惑だったなら、ごめん。でも、わたし、えっと、一緒に帰りたくって

だめかな?っていうか帰ろう、えっと、もちろん、凛ちゃんがいやじゃなかったらだけど」

案外しつこいな。お前に凛ちゃん呼ばわりされる筋合いはないのだが。

しかし、まあ、私も鬼ではないし、その…一緒に帰ってやってもいいかもしれない。

一緒に帰ってほしいと言われたことが嬉しかったわけではない。

ただの気まぐれだ。

「…琴浦。じゃあ、行くか」



これが、正反対の性格である私と琴浦が一緒に登下校するきっかけとなった出来事である。

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