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短編集  作者: ヒロ
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退屈で幸せな廻る今日

 私はループ物に興味が無い。


 何故なのか?答えは簡単。ループ物をやる利が無いからだ。ループ物をやる事で得られる話題は、ほどんど日常で活用出来ないものであると判断したからだ。


 日々変わりゆく話題について行きつつ、日々の勉学、更には大学進学を目指した少し早めの受験勉強。これらのどれかを削りうる価値があると、心から思わなかったからだ。


 それに、こういったありうべからざる現実に頼る程、私は追い詰められていない。日々の勉学・話題集めは大変だけれども、それに見合う以上の友愛と親愛を周囲の友人や家族から受け取っているからだ。


 私には、毎日美味しいご飯を作ってくれて、悩みがあればどんなに稚拙になっても聞いて、受け止めてくれる母がいる。休みのたびに私達家族に構ってくれて、暇さえあればいつでもいつまでも勉強に付き合ってくれる父がいる。心から頼りになって、いつもいつでもかっこよくて、でもちょっと抜けてるところもあるかっこかわいい兄がいる。何をしても愛らしくて、可愛くて可愛くてたまらない賢い弟がいる。


 なにもかも満ち足りている。何の不足も感じない。そんな幸せな日々がいつまでも続けばいいと、心からそう思っていた。幸せな日々を送りながら成長して、自立して大成して、今まで沢山世話になった分以上のお返しを愛してくれた皆にしたかったからだ。


 私はここまでの回想で1つ嘘をついた。私はループ物に興味が無いのではない。ループ物が心底嫌いなのだ。当然嫌いになる程度にはループ物を知っている。真に興味が無いのであればループ物が何なのか心得ているわけがない。私と同じで満ち足りていて、完璧で幸福な皆ならこんな嘘簡単に見抜いていたことだろう。


 ループする世界の中で、私は成長できない。知識は増やせるだろう。経験も積めるだろう。でも、年を取る事は出来ない。この齢15という年齢を変えられない。それでは意味が無い。大成出来ない。そも、私はたった数日やそこいらで、ループの時間制限の中で、大成出来るような英傑ではない。長い長い時間がいる。


 だから、ループ物とは心からそりが合わないのだ。だから嫌いだ。嫌いで嫌いでたまらない。どうしようもなく嫌いだ。現実がループ物のように廻り廻って欲しいだなんで1度も考えたことが無い。


 そんな歪な永遠を望むのは、明日が怖いだとかふざけたことをぼやく人達だけだろう。私は明日が来るのを毎日心待ちにして床に就く。明日はどんなことをして遊ぼうか?どんな知らない事を知れるだろうか?どんなハプニングに出会えるだろうか?そんなことを夢に見ながら深く眠り明日を心待ちにして待つ。


 では、なぜ今私はどうしようも無く嫌いで、考えるだけで脳に蛆が湧くような感覚に苛まれる事柄を考えているのだろうか?


 答えは簡単。今、私は廻る時間の檻に閉じ込められているからだ。どんなに嫌いであろうと、考えざるを得ない状況に居るからだ。


 今日、2024年9月27日金曜がずっと終わらない。他の皆は違和感一つ感じていない。だから多分、私だけがこの檻に閉じ込められているのだろう。


 最初の内はストレスで沢山吐いた。胃の中が空っぽになっても鳴りやまない吐き気と耐えがたいストレスで、頭がどうにかなりそうだった。


 でも、それも少しすれば慣れた。いまだに吐き気はするし、ストレスも今までになく感じている。でも、もう慣れた。最初の頃のように吐いたり泣き叫んだりしなくなった。それに何の意味も無いと知ったから。


 終わらぬ今日に閉じ込められて、数えるのも馬鹿らしい程の日が経った頃にはこの生活にも随分と慣れた。家族の誰かが今日死んだりしない。友達の誰かともう二度と会えなくなったりもしない。かける事無き、満ち足りた今日が続くことを幸せに思った。反吐が出る。


 多分きっと、この今日は終わらない。なんとなく、そんな予感がする。なんの確証も無いけれど、なんの証拠も無いけれど、なんとなくそう思う。


 そう思ったある日、いつも遊んでた玩具が無くなった。そういえばアレは今、どこにあるんだろうか?


 心から興味はないけれど、興味が無い事に今日をほんの少しくらい使ってもいいかもしれない、だって今日は終わらないんだから。


「それじゃあ皆、またね。She you again」


 私を愛してくれる皆に呼びかけると、皆の友愛と親愛に満ちた瞳がこちらに向く。それがどうしようもなく心地よくてたまらない。きっと大好きな皆のことを考えればきっと、今日は健やかに眠りにつけるだろう。だから、大丈夫だ。だって、私は完璧で幸福なのだから。


 

所謂女の勘というものは、今までの経験からの統計計算によるものらしいですよ。雌個体限定なのはおそらく雌個体の方が五感が鋭い傾向があるからじゃないですかね。ニンゲンさんって不思議だね。

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