第4話「男装で初めての街デート」
翌日、放課後。あたし、純は少し緊張しながら家を出た。
男装デート用に選んだシャツとチノパン、スニーカー。鏡で自分の姿を確認すると、意外と自然に“男子”に見える。
駅前で待ち合わせると、柚穂が涼しげな笑顔で手を振っていた。
「純、遅くなかった?」
「ううん、ちょうど着いたところ」
手を差し出す柚穂の隣に自然に立ち、少し胸の奥がざわつく。
今日は街歩きデートの“男装恋人役”初日だ。
「じゃあ、まずはこの近くのカフェで軽くお茶しよう」
「うん」
◆◆◆◆
カフェのテラス席に座り、柚穂がメニューを選ぶ。
あたしは自然に膝を揃えて座り、隣にいる彼女を意識する。
「純、男装姿でもなんか新鮮ね」
「……そんな感じ?」
「うん、ふふ、可愛い男子って感じよ」
「可愛い男子……?」
思わず頭をかく。
女子に間違えられやすい顔だから、男装しても可愛いのかもしれない。
でも、恥ずかしい気持ちもある。
柚穂はスマホを取り出し、自然な距離で写真を撮り始める。
「はい、笑って」
「……は、はい」
◆◆◆◆
カフェを出て、商店街を歩く。
柚穂は手を軽く引き、自然に並んで歩く。
「純、歩き方も男子っぽくしてくれてるのね」
「う、うん。なるべく自然に……」
「ふふ、上手よ」
すれ違う人の視線に少しハラハラしながらも、あたしは平然を装う。
でも心臓はドキドキ。男装恋人役って、思ったより緊張する。
「ねぇ、純。ちょっと手をつないでもいい?」
「え、えっ……!」
思わず固まるあたしに、柚穂はにこっと笑う。
渋々、でも手を握ると、温かさが伝わって胸がぎゅっとなる。
◆◆◆◆
夕方、少し空が赤くなり始めたころ、二人で公園のベンチに座る。
柚穂はアイスを差し出してくる。
「はい、純」
「ありがと……」
一口食べると、甘さと涼しさが広がる。
自然に隣に座るだけで、心臓が早くなる。
「純、こうして男装してても、やっぱりちょっと可愛いね」
「そ、そう……?」
「うん、隠れてる可愛さがある」
柚穂のくすっと笑う声に、胸が少し痛くなる。
あたしは小さく頷く。
男装として街歩きしているのに、こんなにドキドキするなんて思わなかった。
◆◆◆◆
帰り道、柚穂はスマホを取り出す。
「今日はSNSにアップする分の写真、最後に撮っておこう」
「……う、うん」
二人で自然に肩を並べ、笑顔を作る。
柚穂がシャッターを押すたび、あたしの心臓は跳ねる。
「ふふ、完璧に恋人役ね」
「……そうかな……?」
「うん、純。初めてでも上手にできてる」
あたしはぎこちなく笑う。
男装デート初日だけど、少しずつ慣れてきた感覚があった。
この夏、柚穂と色んな思い出を作るんだと思うと、胸がざわつくけど、楽しみな気持ちも大きい。




