表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

帰ったら

 帰ったら、女がいる。

 この状況、どうだろう。嬉しい?たまらない?

 私にとっては、ひどく億劫だ。

 「……っはぁ〜〜〜」

 玄関前で、溜めに溜めた溜め息を吐く。

 鍵を開けようとして、やっぱり何度か自分の号室であることを確認する。

 覚悟を決めた。鍵を開ける。さようなら、私の楽園。

 部屋に入ると、まずは良い匂いがした。みそ汁だ。

 続いて、あいつの鼻歌が聞こえてきた。

 「ふん、ふふー、ふんふん、ふーん」

 街なかで良く流れてるやつだ。

 私は玄関から部屋に入っていった。私に気づいたジュナが、ぱっと顔を上げる。

 「おかえりー!」

 長い金髪を乱雑にまとめ、部屋着みたいな服にエプロンを付けている。これでも絵になりやがるんだから、恐ろしい。

 「…ただいま」

 一応返事はしたが、慣れない。いつも1人だったから。

 「ご飯できてるよ!食べるでしょ?」

 肯定前提かよ。私は「うん」とだけ返事をした。ジュナはテキパキと準備を進めている。

 ジュナのことは、住まわせてあげることにした。「帰る家が無い」と言うもんだから、さすがに放っておけなかった。同性だし。

 まぁ、同性といっても私のこと好きみたいだが。ラブのほうで。力も私より強そうだ。体格差けっこうあるし。

 でもさ、さすがに女の子を夜外に放り出すのは駄目だろ。

 「はい!召し上がれ!」

 悶々と考えている間に、料理が運ばれてくる。私はぼそっと言う。

 「あ、ありがとう…」

 「どういたしましてー!」

 しっかり聞こえていたようだ。

 私は出してくれた料理を口に運んだ。

 なんだか、染みた。美味しいのはもちろんだが、染みる。そういえば久しぶりの手料理だ。

 「お!上手くできた!ね?」

 ジュナは自画自賛。私もここは、素直に頷いておくことにする。

 「正直、美味しい」

 「やったー!また作るね〜」

 ジュナはご機嫌だ。

 こういうのも悪くないかも。なんて、その時の私は思っていた。

 「ごちそうさま」

 私が箸を置くと、まだジュナはもぐもぐしていた。

 「ん!食器置いといてね。あたし洗うから」

 「いや、さすがにそれは無いっしょ…」

 私が食器をまとめだすと、ジュナが慌てて止めてきた。

 「いいんだって!お願い!ね?あたし、うえはの食べたあとも好きなの!」

 _____ん?

 何を言っているんだこいつは。

 しかし私は彼女の圧に押され、しぶしぶ引き下がるしか無かった。食べたあとも好き、その言葉を深掘りするのも怖い。

 「…ありがとう。ゆっくり食べなよ」

 「うん!」

 ジュナの笑顔。可愛いくせに、怖い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ