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エピローグ








人工的なブルーに囲まれた水中をスイスイ泳いでいると

まるで魚になったような気分になる




何度も潜ってキラキラしたプラスチックのおもちゃを沈めて拾って



ここがお庭だなんて信じられないほどだった




ザブッと水面から顔を出すと

黄色いパイナップル柄の水着を履いた男の子が浮かない顔して立っていた




優吾はチビだから、私には胸より低い位置にある水面が、首の下あたりまできている




それが怖いのか立ちながらも、プールのふちに捕まってうるうるして今にも泣き出しそうな顔をしている




「ゆーごはおよがないのー?いっしょにもぐろうよー!」





「…むりだよ…こわいもん…

沈んじゃいそうだから

それにしーちゃん、ぼくの足ひっぱるからおぼれそうになるしやだ…」




大きなプールが嬉しくてはしゃぎすぎたあまり

優吾をからかいすぎてしまった





元々優吾の水嫌いを克服するために買ったプールだったのに、自分がよけいに恐怖心を煽ってしまったかと子供心に罪悪感が生まれた





「ゆーちゃんごめんね!もうひっぱらないから!」




「……いいけどもぐるのはむり……

もうあがりたい」




完全に臍を曲げてしまった





困った志保は苦し紛れに水中に潜り

優吾の黄色いパイナップル柄の水着を目印にそこをめがけて泳いでいき、その周りをスイスイと泳いで見せた






息が苦しくなって顔を上げると優吾がさっきとは打って変わって、キラキラした目で志保を見ていた





「しーちゃんすごい!イルカみたいだね!かっこいい」





さっきまでの泣きそうな顔が嘘のように


きゃっきゃと喜ぶ優吾の顔を見て


志保の胸の底に暖かいものが広がっていく感覚がした



「じゃあもっと見せてあげる!」




優吾が喜べば喜ぶほど嬉しい




優吾が泣いてたら私が守ってあげる




志保は幼いながらもそれが自分の使命だと思った




「しーちゃんはすごいなぁ。

足も速いし、木登りも上手だし、泳ぐのもイルカみたいだし!」




正面から褒められてなんだかこそばゆくって

へへっと笑って答える





「……ぼくがさ、もっと大きくなって

しーちゃんより、早く泳げたり走れるようになったたら…」





優吾はなにか決心したような顔つきでこちらを見る





「そしたらしーちゃん

ぼくのおよめさんになってくれる?」





およめさん




いとこのお姉さんが綺麗なドレスを着ておよめに行ったのをついこの間見たばかりだった



いつか自分もなるのかなぁ



「うーんけっこんするならチビじゃ

やだから、しーより大きくならないとなぁ」




お姉さんの旦那さんもお姉さんより背が高くてかっこいい人だった


志保がそう言うと少しショックを受けたような顔になる



「っでも、牛乳いっぱい飲んで、ぜったいにしーちゃんよりおおきくなるから!

それならいーい?」



すぐに泣きそうな目になりながらも一生懸命にいう優吾が可愛くて、嬉しかった



「…うん、いいよ!それならおよめさんになってあげる!」



志保が大きな声でそう言うと

男の子は顔をクシャッとさせて笑った










―――――――――――――――――


初めての投稿作品でした。


完結まで書き終えることができて良かったです。


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