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第96話

 12階層迄の立ち入り禁止が解除されたためにダンジョンに向かう。11階層迄は順調に進んでいく。今回は異常に膨れ上がった魔物群れなどには出会うことも無く12階層に着く。ダンジョンを進んでいるときに7階層で冒険者パーティー『女神の翼』のメンバーが魔物を相手に魔法を使った戦いをしていた。かなり魔法を使った戦いに慣れている様子だったのでかなり練習したのが見て取れた。ミラも《光魔法フラッシュ》をちゃんと使える用になっていた。僕達は頑張っているその姿を見て声をかけずに先に進んだ。


 12階層を慎重に進んで行く。12階層では動物型の魔物が多いということもあり慎重に進んで行く。慎重に進んで行くのだが12階層の半分くらいの所迄来たのに何故か魔物と遭遇することが無かった。


「ここまで、魔物に出会わないのはおかしいよね?もしかして、大暴走の後は魔物の数が減るとかあるの?」


 僕は疑問に思いカルラに聞く。


「いや、そうじゃないだろうね。たぶんだけど、先に進んでいる冒険者パーティーが倒して進んでいるんだろうね。12階層は大暴走の影響で冒険者が出入り出来なかったからね。我先にと冒険者パーティーが進んで行ったんだよ」


「何故、そこまで急いで行くの?何か理由がある?」


「ああ、宝箱がある確率が高いからだよ。大暴走の間は冒険者は誰も行けないからね。宝箱は11階層からは部屋に希に出るからそれを狙って、皆急いでいたんだよ」


 1ヶ月の間行けなかった階層のために宝箱はかなりの数が現れているらしい。それをこの街の冒険者は知っているから解禁される1日前にはこの11階層で寝泊まりして解禁と同時に12階層に行くのがよく見られる光景なのだそうだ。


「この分だと、13階層も根こそぎ魔物も宝箱も他の冒険者に取られているだろうね」


「そうだね、14階層迄は根こそぎ取られているだろうね。15階層に潜れるのは数組の冒険者パーティーぐらいだからね。ここは15階層から一気に難易度が上がるからね。流石に15階層の宝箱を狙いに行くような冒険者パーティーは、まあ2組ぐらいかな」


 2組の冒険者パーティーはどうやらこの街を拠点に置いているAランクパーティーらしい。僕自身はDランクになっていて、Cランクへ試練を受けられれば上がれるが面倒なので受けてはいなかった。冒険者ランクは個人とパーティー単位とで分けられているがパーティーのランクは所属する冒険者の一番高いランクが採用されるようになっている。なので、僕のパーティーはCランクになっている。


「僕達は宝箱じゃ無くて攻略が優先だからそれはいいけど、流石にそろそろ魔物と戦っておきたいところだね」


 魔物と余り会わなかったがそれでも、最初の冒険者が入ってから時間が経っているためか魔物の姿を見えるようになってきた。


「あれはスピードアリゲーターか、あれは足が速いワニだったかな。その動きはカルラしか知らないから他の皆は注意しよう」


 僕がスピードアリゲーターの姿を見て皆に警戒するように言う。すると、スピードアリゲーターの顔がこちらを向いた。スピードアリゲーターは目を細めてこちらを見ると突然ものすごい速さでこちらへと迫ってきた。


「危ない!」


 カルラが僕の方へ向かって来ていたスピードアリゲーターを横から盾でぶつかって横転させる。


「思った以上に速かった。ありがとうカルラ」


 そして転がったスピードアリゲーターはを見ると、自力では起き上がることが出来ないのか小さい手足をバタバタとさせているだけで起きてこない。


「……これってどういうこと?」


「まあ、これがスピードアリゲーターの基本的な倒し方だね。1人が囮となって他のメンバーが横からすくい上げるように転ばせるっていうね。スピードアリゲーターは足が短いから起き上がれないんだよ。まあ、本来は水辺にいるような生物だからね。水の中なら大丈夫なのかも知れないけど、ここじゃあ、水なんて無いからねぇ」


 カルラが仰向けに倒れているスピードアリゲーターに止めを刺しながら言う。スピードアリゲーターの速さは驚異的だったが思ったより情けない弱点だった。


 スピードアリゲーターの肉は結構美味しいとカルラが言うので皆で手分けして解体を進めるとバサバサと何か空を飛んでいる音が聞こえる。空を見ると飛んでいる羽の生えた大蛇が見えた。


「あれは、ウイングスネークだね。ウイングスネークは空から魔法を放ってくるよ」


 カルラがそう言うとウイングスネークの周辺に風が集まっているのが分かる。そして、その風が刃となってこちらを襲ってきた。カルラは皆の前に立ち盾を構えてその風の刃を防ぐ。


 どうやら、ウイングスネークの風の刃では盾を切ることは出来ないらしい。


「ウイングスネークの風の刃はそこまで鋭くは無いんだけどね。でも、首に食らえば切り落とされるぐらいの威力はあるから生身で当たったらただじゃあすまないよ」


 カルラが風の刃を防ぎながらウイングスネークの風の刃について説明する。


「こいつを倒すのは遠距離か、もしくは、風の刃を数発打ったら地上に降りてくるからその時かだね」


 しばらく風の刃を防ぐとその攻撃が止んだ。すると、ウイングスネークは降りてくるというか、落ちた。


「飛んでいるのは魔力を使っているのか。まあ、あの巨体だと翼だけじゃあ無理だよね。空を飛ぶのに魔力を使うのに飛びながら風の刃を使っていたらそれは魔力切れになるよね」


「ご主人様、冷静に解説しないで下さい。一応、戦闘中ですよ」


 セシリアが文句を言いながら矢を放つ。その矢に頭を射貫かれてウイングスネークが絶命する。


「12階層とは言っても余り強くないよね?」


 僕はスピードアリゲーターとウイングスネークを見てそんな感想を言う。


「今は簡単に倒したからそう思うかも知れないけどね。でも、倒し方を知らなかったらスピードアリゲーターもウイングスネークもやられる可能性のある魔物だよ」


「ああ、まあ、そうだね。カルラが経験者だから対応できたけど、カルラがいなかったら最初のスピードアリゲーターの速さで対応できずに誰か死んでた可能性もあるね。スピードアリゲーターの時は僕も油断してたし、これからは油断せずに頑張ろう」


 カルラという経験者がいたから簡単に倒せたようなものだ。カルラがいなければ最初のスピードアリゲーターの攻撃で僕は怪我を負っていただろうし倒すのに時間をかければその後のウイングスネークの風の刃でやられていた可能性もある。僕達は気を引き締めて12階層を進んで行った。

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