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第95話

 ミラとシリルに魔法を教えた次の日に最初の予定通りにダンジョンに向かい、11階層迄降りて野営をしてから帰るという事を繰り返して二週間ほどが経った。


「同じ事の繰り返しも飽きてきたよね?」


 11階層で野営をしてからの帰り道に僕は皆に聞いてみた。


「そうですね、同じ事の繰り返しになってきていますよね。色々、工夫して戦ってはいますがそれでも、飽きてきますね」


 セシリアが言う。それに、カルラとマリアが頷く。


「お兄ちゃん、今度、違う魔法を教えて欲しいんだけど」


 フィーナが《地魔法ストレングスアップ》だけでは無く他の魔法も教えて欲しいと言ってくる。


「まあ、そうだね。フィーナは地属性の他は風と闇の属性があったね。フィーナはその中だったらどれを覚えたい?」


「うーん、闇かな?」


 少し考えてフィーナが答える。


「どうして、闇なの?」


「何か格好良さそうだから」


 フィーナが笑顔で答えてくる。


「そっか、分かった。なら、帰ったら12階層の立ち入りが禁止が解除されるまで魔法等の訓練の時間に充てようか」


 そうして、ダンジョンを出てから1日を休養に充ててから魔法の訓練を開始する。


「フィーナに教えるのは闇で基本の魔法《闇魔法ダークネス》これは相手の目に向けて放つ魔法だよ。これは込めた魔力によって範囲も変わる魔法になる。まずは、どういう魔法なのか見せるよ」


 そして、土魔法で土人形を作る。


「《闇魔法ダークネス》」


 僕が魔法を唱えると闇が土人形を覆い隠す。そして、数十秒してからその闇が消える。


「これが闇の基本魔法だよ。相手の目くらましに使う魔法だね。ただ、相手が動いていると効果はあまりないかな。範囲魔法だから闇は移動しないんだ。そのために、動いている対象はすぐに闇の範囲から出ちゃうんだよね。でも、接近して戦っているときにいきなり目が見えなくなったら相手の意表が突ける。フィーナの場合はそういった使い方になるね」


「お兄ちゃんは使わないよね、どうして?」


「そんな、意表を突く魔法を使わなくても倒せるのと、魔力の温存だね。魔力が無くなると結構しんどいんだよ」


「魔力が無くなってくるとしんどいのは練習の時に経験したから知ってる。それでも、新しい魔法を覚えるのはワクワクするから覚えたい。だから、さっき、お兄ちゃんがやっていた魔法を練習する」


 フィーナは土人形に向かって手をかざす。


「《闇魔法ダークネス》」


 フィーナが魔法を唱えると土人形の頭の部分にだけ闇が一瞬だけ生み出されてそして消えた。


「あれ、お兄ちゃんみたいにならなかった」


「魔力が足りないだけだね。今の全然魔力を込めてないだろう。因みに、闇は光と対となっていると言われてるんだ。闇魔法は光魔法によって打ち消されるし、光魔法も闇魔法によって打ち消せる。ただ、打ち消せるのも相手より魔力を込めていることが条件で、相手の方が魔力を込めていたら打ち消せないからね」


 フィーナが考え込んでいる。どうやら、よく分からなかったらしい。


「じゃあフィーナ、今から僕が光の魔法を使うからフィーナの闇の魔法で打ち消してみて《光魔法ライト》」


 優しい光が土人形を覆う。フィーナはそれを見て魔法を唱える。


「《闇魔法ダークネス》」


 闇は一瞬だけ生まれたが光に飲まれて行き、そして消える。


「まあ、こういうことだね。これは、フィーナの込めた魔力より、僕の込めた魔力の方が多かったから打ち消せなかったんだ。まあ、光魔法を使う魔物なんて少ないけどね。でも、もしかしたら、いずれ人相手にも戦うこともあるかも知れないから覚えておいても損はないよ」


 フィーナは悔しそうに頷く。


「あのさ、魔力量なら僕とフィーナなら僕の方が多いからね。このパーティーで一番多いのは僕だから負けても仕方ないからね」


「そうだけど、じゃあ、いずれ魔力量でもお兄ちゃんに勝てるの?」


「いや、無理でしょ」


 僕は即答する。魔力量の限界値は人によって違うが、エルフ族やドワーフ族より多くなることは無いと言われている。エルフ族と人族の混血で人族として生まれた場合は普通の人族より多いがエルフ族より多くなることは無い。僕はハイエルフ族との子供の為にエルフ族並みにあるのだがさらに試練のダンジョンを攻略したときに創造神ソルテール様から魔力を増やしてもらっているためにエルフ族以上に多くなっているためにフィーナはどう頑張っても越えることは出来ないのだ。


 魔力量を増やすことは出来ないので訓練をして魔力を効率よく使える用になることが大事なのだ。そうすることでダンジョンの時に使っている《地魔法ストレングスアップ》も少ない魔力で使える用になるのである。


「むー」


 フィーナは不機嫌そうな顔になる。


「そんな顔をしてもどうしよう無いからね。今は練習して魔力を効率よく使える用になることの方が大事だよ」


 それから、僕はフィーナとカルラと《地魔法ストレングスアップ》を使っての模擬戦をする。フィーナはその模擬戦の中で早速覚えた《闇魔法ダークネス》も使ってみるのだが、使いこなす所迄は行かなかった。


「フィーナは《闇魔法ダークネス》を使う場合は相手の目を狙えるようにならないとね。動きながらやると難しいのは分かったと思う。だから今度から練習して動きながらも狙ったところに、一瞬で発動できるようになろうね」


 フィーナが頬を膨らませつつ頷く。せっかく覚えた魔法が上手く使えなくて悔しいようだ。


「カルラは、《地魔法ストレングスアップ》を練習で使って魔法に慣れていこう。そうすれば

、今よりも少ない魔法で使える用になるから」


「うん、あたいはこれを使いこなせるように頑張るよ」


「まあ、気負わずにね。急いだって仕方ないよ。しばらくは魔法を使った模擬戦をしていこう」


 そして、12階層の立ち入り禁止が解除されるまでの間、訓練を続けた結果、フィーナは何とか《闇魔法ダークネス》を動きながらでも相手の目を狙って発動できるようになり、カルラも最初に教えた頃よりも少ない魔力で使用できる迄になっていた。

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