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第92話

 夜に他の冒険者が入ってくるといったことも無く普通に朝と思われる時間に目を覚ます。起きたときにはセシリアとマリアが食事の準備をしていた。どうやら起きてきたのは僕が最後だったらしい。


「3組に分かれて見張りを立てたけどどうだった?」


 朝食を取っているときに僕は皆に聞いてみる。


「私は最後の見張りだったのでそれ程でも無いですけど、ご主人様が一番辛いのでは無いですか?真ん中で起きることになるのですから」


 セシリアが僕の事を案じてくれる。


「あたいもこれぐらいなら大丈夫だね。2組でも良いかもしれないね。後、気になるのはご主人の魔法かな?今回来る前に夜にしか使えない魔法があって、それを使えば他の冒険者の事を気にしなくなるとかっていうのがあるって言っていたじゃ無いか」


 カルラが今回ダンジョンに来る前に少しだけ話した月魔法の夜のとばりについて聞いてくる。


「まあ、月魔法っていう、月の女神スライナ様から教えてもらった魔法があるんだよ」


「少し待ってください。ご主人様は月の女神スライナ様にあったことがあるんですか?」


「セシリアにも話してなかったっけ?僕は五大神の方々に会っているよ。神剣を得たときにフォルティナ様だけじゃ無く他の方々も現れたからね。その時に、スライナ様から月魔法の夜のとばりを授けて貰ったんだよ。ただ、日が暮れてからじゃ無いと使えないけどね」


「使えばどうなるんだい?」


「魔物や他の人、動物、気づかれなくなるっていう魔法だね。日が暮れてから朝日が出るまでっていう時間制限があるけどね」


「「「・・・」」」


 僕の言葉にフィーナ以外の全員が言葉を失う。因みに、フィーナは黙々とご飯を食べていた。


「それがあるのなら見張りは必要ないのでは?」


「ダンジョンだと時間の流れが分からないからね。実は効果が切れていましたって事になったら大惨事だよ。後、もう1つの条件として周りの魔物や動物から見られていないことも必要だからね。まあ、この部屋の中なら僕達しかいないから大丈夫だけどね」


「確かに時間の流れはわかりにくいですね。ですが、その魔法を使えば3交代では無く2交代でも良いのでは無いですか?その方がご主人様の負担も少なくなると思いますし、真ん中の時間は間違いなく効果時間内になりますから」


 セシリアが提案する。


「まあ、そうか、なら次からは2交代制で見張りをやろうか。今日はこのまま11階層を抜けて12階層迄行こう。そして、13階層を降りて1度戦闘してから戻ろうか」


 朝食を終えて先に進む。11階層でリザードマンの群れやハイオーガ等と戦ったが前日に戦ったように沢山の魔物と戦うことが無かった為に楽に進む事が出来た。そして、12階層へと続く階段へとついたところで沢山の冒険者が階段を降りずに何か相談をしていた。


 近くにいた冒険者に話を聞いてみると、どうやら12階層で大暴走が起きて12階層に行けそうにないらしい。


「大暴走で出てくる魔物はその階層で出てくる魔物だけだよね?」


 僕は以前に大暴走に会ってしまったカルラに聞く。


「そうだね。その階層の魔物が本当に沢山出てくるよ。この階層で戦ったハイオーガとリザードマンの群れのような本来は別々に出てくる魔物が関係無く出てくるね。しかも、数は百や二百なんてものじゃない。千や万っているんだ。いや、もしかしたらそれ以上いるかも知れないね。部屋に逃げこうとしてもそんな隙が無いくらいの数で押し寄せてくるのさ」


「その場合はどうやって討伐するの?」


「あんた、大暴走は初めてかい」


 僕がカルラと話しているとベテランと思われる冒険者の人が話しかけてきた。


「大暴走は最低1ヶ月続くな。これが他の階層迄来ることはないから、この階層から降りなければ大丈夫だ。大暴走は1ヶ月たったら綺麗さっぱり消えるんだ。これは聖霊様が処理していると言われているな。だから、大暴走が起きたら1ヶ月はその階層に入るのをギルドが禁止するんだ。まあ、それでも、沢山の魔物がいるから魔石が取れるって向かう奴がいたりするんだがよ」


「向かったとしても死ぬ気がしますけどね」


「おう、だからそう言う奴は帰ってこないんだよ。自分の実力を把握してない奴が多いな」


 馬鹿だよなっと、冒険者の男は言う。


「ところで、大暴走はいつまで続くんですか?」


「大暴走が起きたのは昨日らしい。昨日、慌てて12階層から戻ってきたパーティーが教えてくれたぜ。ここに俺達もそれを今日確認してな。誰も12階層に行かないように言うためにいるってわけだ。最初の戻ってきたパーティーはギルドに報告するために地上に戻っている。明日には12階層を1ヶ月禁止する旨の通知が張り出されているだろうな」


 僕達は冒険者の男の人にお礼を言って来た道を引き返す。


「旦那様、どうするのですか?」


 マリアが僕にこれからどうするのか聞いてくる。


「今回は引き返そう。1ヶ月は12階層にはいけそうに無いからね。しばらくは、10階層迄を往復しようか」


「ご主人様なら倒せるのでは無いですか?」


「僕1人なら何とかなるかもね。でも、それをすると目立つでしょ。貴族に目を付けられると面倒だから止めよう」


 12階層で起きた大暴走の為にしばらく攻略を足止めされることになるのだった。

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