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第87話

 ダンジョンの11階層へ向けて出発する。その道中はシーフモンキーに武器を取られることも無く順調に進んでいく。そして、10階層のエビルジャガーも僕が1人で神剣を使い倒して行く。皆の疲労もそれ程無く11階層へとたどり着く。因みに、10階層の宝箱はミスリル製のナイフだった。魔物等の解体に活躍してくれるだろう。


「さて、順調に11階層迄たどり着いたけどもここからは今までも広くなっている。だから、11階層を半分程進んだところで野営をしようと思う」


 皆が僕の言葉に頷く。


「カルラに聞きたいんだけど、この11階層からは宝箱があるらしいけどそれって何処においてるの?」


「宝箱は通路の途中の部屋に置かれていることがあるよ。全ての部屋じゃ無くて、本当に運が作用するよ。以前に入った時は置いてなかったけど、違う日に来たら置いてあるなんて事があるからね」


「部屋は確認しつつ進んで行くのが基本なのかな?」


「まあ、そうだね。ただ、他の冒険者が野営で使っている場合があるから、その時は退出するのが礼儀かな」


 ダンジョンにある通路脇の部屋には魔物がいることが多い。そして、その魔物を倒すと魔物は部屋には出てくることが無いために野営をしている冒険者は多い。しかも、通路にいる魔物も扉を閉じている限りは入ってくることが無いために安全地帯として休めるのだ。


「よし、なら最初の方の扉は無視していこう。そろそろ夕暮れ時だろうから野営をする半分くらいの所で部屋は確認してみようか」


 11階層の通路を進んで行く。すると、通路の奥からトットットッと軽やかに走ってくる音が聞こえて来た。しばらくすると犬の頭をした2足歩行の魔物が軽快に走ってくる。


「あれは、コボルトだね。ゴブリンより強いくらいでこの11階層では1番弱いよ」


 カルラが盾を構えながら言う。コボルトは通路の壁すらも苦とせずに走って近づいてくる。そして、僕の近くまで来ると剣を振り降ろしてくる。僕はそれを手に持っていたミスリルの剣で受ける。そして、僕はそれを苦も無く押し返した。


「ゴブリンよりは力はあるかも知れないけどオークよりも力が無いから剣が軽いね。速さも、エビルジャガー等と比べると全然遅いから、そこまで苦労しないかなっと」


 僕は押し返されたことでバランスを崩したコボルトに剣を突き刺して倒す。


「11階層って思って意気込んで来てみたらここでこの強さの魔物か。強さのバランスがおかしいね」


「コボルトが1体だけで向かってくることは珍しいよ。だから、コボルトを使役している奴がこれから来るよ。11階層ではコボルトは数いる兵隊扱いなのさ」


「と言うことはこの後にはそれを使役している奴が出てくるんだね」


 僕が言うと通路の奥から今度は数十匹のコボルトがやって来たのだ。


「セシリア、マリア、ファイヤーウォールを準備して《火魔法ファイヤーウォール》」


 僕はセシリアとマリアに指示を出しつつ魔法を放つ。


 火の壁が僕達の前に出来ているにも関わらずコボルトは火の壁に突っ込んでいく。かなりの数をその火の壁で焼いたのだがコボルトの数が多すぎて火の勢いが衰えていく。コボルトは仲間の死体すらも乗り越えて火の壁を越えてくる。


「「《火魔法ファイヤーウォール》」」


 セシリアとマリアが魔法を唱える。さらに二重に火の壁が出来た時、コボルトは動きを止める。すると、コボルトの来た方向から笛のような音が響いた。すると、コボルトは一斉に来た方向に戻って行ったのだ。


「あの、笛のような鳴き声って事はいるのはリザードマンだね。リザードマンは5匹位いて、取り巻きにゴブリンやコボルトを引き連れていることがあるからね。今回もそうだと思うけど、コボルトの数が想像より多いね。もしかしたら、リザードマンの数は多いかも知れないよ。気をつけて」


 カルラが皆に注意喚起する。


 それから少しして沢山のコボルトとそれよりは身体の大きいリザードマンが10匹ほど現れる。


「リザードマンはオークジェネラルと同じくらい強いからね。数がいるから守りながら隙を突いて1体ずつでも確実に倒すようにするんだよ」


 リザードマンと戦ったことがあるカルラが言う。


「なら、こうしたらやりやすいかな。《地魔法アースウォール》」


 僕は土の壁を作る。土の壁の真ん中の所は空いていて、そこから1体のリザードマンなら通れるような通路が作ってあった。


「ご主人を見ていると今までの常識が壊されちゃうよ。普通の魔法使いは通路いっぱいの土の壁なんて作れないよ。まあ、楽になるから助かるけどねっと」


 カルラが通路から向かってくるコボルトを切り倒しながら言ってくる。リザードマンなら1体しか通れないがコボルトなら3体は通れるだけの広さがあった。やってくるコボルトを僕とカルラとフィーナは順調に倒して行く。コボルトを倒して行く中、リザードマンは壁を壊そうとしているのか、土の壁に対して体当たりをしているような音が響いていた。


「ご主人様、左側の壁に亀裂が入り始めています。そろそろ、壊されるかも知れません」


 セシリアが壁が壊れそうだと知らせてくれる。


「セシリア、壁の亀裂は左側だけ?」


「はい、今のところ左側の壁だけに亀裂が入っています。しかし、右側の方でも叩く音が聞こえていますので右側も亀裂が入って壊されるのは時間の問題かと思います」


「ん、分かった。なら、右側だけ補強しようか。《地魔法アースウォール》」


 僕は魔法を唱えて、右側の壁だけをさらに厚くする。


「カルラとフィーナはその通路でコボルトの相手とやってくるならリザードマンの相手をお願い。左側は僕とセシリアとマリアで相手をするから」


 そう言って、僕は通路側から離れる。そして、亀裂の入ってきている左側の壁の方へやってくる。


 僕が来てから少しして壁がとうとう壊れた。そこから、リザードマンが数匹やってくるが僕は剣を構えて目の前のリザードマンに斬りかかる。その両側にいたリザードマンが僕の来るタイミングで斬りかかってくるがセシリアとマリアが僕に斬りかかってくるリザードマンを魔法で倒した。


 僕はそれを確認すること無く、仲間が倒されたことで動揺しているリザードマンを切り倒す。倒したリザードマンが倒れようとするすぐ後ろから、もう1匹のリザードマンが倒れようとするリザードマンと一緒に僕を斬り殺そうとする。僕はその剣を飛んで躱し、さらには死んでいるリザードマンを足場に後方に飛んで距離を稼ぐ。


 リザードマンの1匹が笛ににた鳴き声を上げて僕の方へ斬りかかってくる。さらにもう1匹がその後ろから向かって来ているのも見える。


「《地魔法アーススパイク》」


 僕は向かってくるリザードマンに地魔法を放つ、前方にいたリザードマンはそれを右に躱すのだが後ろにいたリザードマンは見えていなかった為に土の棘に貫かれて絶命する。僕は躱したリザードマンに向かって行くと見せかけて横に飛ぶ。リザードマンはその動きに驚くも僕の方に顔を向ける。いや、向けてしまう。そんなリザードマンにセシリアの魔法が当たりその上半身を吹き飛ばす。


「セシリア、魔法の威力高すぎ、魔力多いからって魔力込めすぎると息切れするよ」


 僕はその場に残っていたリザードマンを切り倒しつつセシリアに言う。


「あ、すいません、何か久しぶりに活躍できてると思うと嬉しくてつい・・・」


 最近はフィーナやマリアの練習を優先したり、前衛だけで終わることが多かったので知らず知らずストレスが溜まっていたのだろう。それから、右側に向かっていたリザードマンがこちら側に来たのを3人で倒し、通路側に群がっていたコボルトもリザードマンが全員倒されたのを見て逃げて行った。


「流石にいきなりこれだけの数が来るとは思わなかったね」


「そうですね。しかし、ご主人様の土の壁はかなり有効でしたね。まあ、私にはあれだけの大きさと強度の土の壁は無理ですけど」


「ああ、セシリア姉でもやっぱり無理なんだね。やっぱり、ご主人って規格外だね」


 セシリアとカルラが僕を褒める。


「さて、落ち着いたことだし先に進もうか」


(さっきのは面白かったし、また来ないかな)


 何て事を思いながら先へと進んでいくのだった。

リザードマンが10匹固まった理由


それぞれ、違う冒険者パーティーを追いかけていたがその冒険者パーティーがある1つの部屋に入ってしまったために追いかけることが出来ず、そのまま合流してしまったため。

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