第86話
次のダンジョンに行く準備を終えて夕食の時に11階層からの魔物について話をする。
「11階層は整ったダンジョンになっていて6階層から10階層のような草原や森みたいにはなっていなくて、石を綺麗に敷き詰めた回廊になっている。ただ、今まで以上に迷路になっているから迷いやすくなっているよ」
カルラが11階層からの説明をする。11階層では1階層から5階層迄の洞窟というな通路や6階層から10階層迄の自然の道のような通路ではなく、整えられたダンジョンであるらしい。
「11階層ではオーガやリザードマン等の2足歩行の魔物が出てくる。一番強いのはハイオーガで動きが速いのが特徴だね。と言ってもエビルジャガーよりは遅いからエビルジャガーの動きに着いてこられるなら大丈夫かな。オーガもリザードマンも剣を使ってくるけど、オークジェネラルより強くオークキングより弱いって感じかな。ハイオーガだけはオークキングより強いけどね。まあ、今のあたいやご主人やフィーナなら大丈夫じゃないかな」
以前戦った記憶を頼りにカルラが分析する。ただ、ハイオーガは他にもオーガ、たまにリザードマンとも一緒になって襲ってくると言う。数が多いと厄介なために遠距離から攻撃できる魔法使いは11階層からは必須だと言われている。
「魔法が必須って言うことはセシリアやマリアの役割も大切になるね。今までは前衛の3人でのごり押しでも何とか出来たからね」
10階層迄は前衛の3人でも何とか出来ていた。後衛は牽制が主であったがこれからは連携ももっと上手くやらなければいけないだろう。その連携も11階層から練習して行きたいと思った。
「12階層だけど今度は動物型の魔物が増えるんだよね。足の速いスピードアリゲーター、空を飛ぶ蛇でウイングスネーク、身体が炎で出来たフレイムウルフ等が新しく出てくる魔物だったね」
僕の言葉にカルラが頷く。
「スピードアリゲーターは本来陸上では足が遅いワニがアーミードッグ並に速く走ってくるよ。そして、強靱な顎で獲物を食いちぎるからかなり気をつけないと行けないね」
「スピードアリゲーターがいるって事は水場があるの?普通アリゲーター系は水辺の魔物のはずだけど」
僕の疑問にカルラは首を横に振る。
「11階層から水辺は無いよ。スピードアリゲーターは聖霊が生み出した魔物だから常識は通用しないんじゃ無いかな。ウイングスネークも気をつけないと行けないね。アサシンイーグル等は1匹で行動してたけど、このウイングスネークは複数匹、酷いときは10匹以上で襲ってくるよ。力も強いから首に巻き付かれでもしたら骨を折られたりしてやられるよ。後は魔法も使ってくるからそこも注意だね」
「ウイングスネークが見えたら僕も魔法で倒していくよ。3人なら近寄って来る前に倒しきる事も出来ると思う。そうなると、12階層は魔法をかなり使う用になるかな。休めるところがあれば良いけど、そういう所はあるの?」
「11階層からは所々に部屋があってね。その部屋は魔物がいることが多いんだけどそれらを倒したら部屋を出ない限りは魔物が出てくる事も入ってくることも無いんだよ。だから、疲れたときとかはそこで泊まったりすることがあるね。ただ、見張りは立てておいた方が良いよ」
「見張りを立てるのはどうしてなの?魔物は出ないんでしょ」
「たまに他のパーティーが入ってきたりするんだよ。誰かが起きていれば良いんだけど、もし全員が寝てたら殺されて荷物を奪われることがあるらしいんだよ。あたいは今まであったことは無いんだけどね」
まあ、疲れて眠っていたらそう簡単に起きないだろうから殺すのも簡単だろう。ダンジョンでは死体は魔物が処理をしてくれるので証拠も残らない。そう言う意味では強盗をする上では都合が良いのだろう。ただ、相手もそこの階層迄行けるぐらいの強さの冒険者である。下手をすれば返り討ちに遭うので全員が寝ていることが被害に遭う条件なのだろ。
「僕の魔法なら大丈夫かも知れないけど夜にしか効果は無いし、ダンジョンだと夜かどうか分からないから見張りは立てて置こうか。今回は12階層迄行って、12階層で3日程滞在しようと思う。そして、皆の連携の練習を実践でやろう」
僕の決定にフィーナ以外が頷く。フィーナは食事に夢中であった。僕はマリアに目配せをするとマリアは仕方ないという風に頷く。これで、今決まったことは後でマリアがフィーナに伝えてくれるだろう。
「じゃあ、明日からはダンジョンに数日滞在することになるから、皆それぞれ心構えだけはしておいてね」
僕が明日の予定を決めて締めると各々食事をして十分に睡眠を取り明日に備えるのだった。