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第82話

 次の日の朝から早々にダンジョンへと向かう。


 昨日まで行った7階層迄を一気に駆け抜ける。それまでは、トラブルらしい事は無くシーフモンキーにも運が良かったのか遭遇することは無かった。ただ、6階層で冒険者がシーフモンキーの行方を聞いてきたが知らないと応えると悲しそうに走って行った。どうも、武器を盗んだシーフモンキーの姿を見失ってしまったらしい。こちらも急いでいたために手伝うことは出来なかったがどうなったのか気になるところである。


「というわけで、8階層迄やって来ました」


「ご主人様、ノリが軽いです。一応、カルラさん以外は皆初めての階層なんですけど」


「ん、でも、8階層からは基本的に1体で徘徊しているらしいから大丈夫じゃ無いかな?」


 僕が軽い気持ちで言う。


「ご主人、最初は1体でも時間をかければ他からやって来て複数を相手にしなければいけない場合も出てくるんだが」


「まあ、本当にどうしようも無くなったら僕がやるよ。神剣を使えば大丈夫だろうからね。ただ、練習にならないから基本的に神剣は使わないからね。最後の15階層のボスも極力使わないつもりだよ」


「そういえば、旦那様にはフォルティナ様の加護があったのでしたね。普段は使われないので忘れてしまいますね」


 マリアがため息を吐きつつ言う。


「まあ、それは本当に最後の手段だよ。このダンジョンは皆の訓練のために来ているんだからね」


「そこまで、訓練して何をさせようとしているんですか? 私達のためというのも知っていますがそれだけでは無いですよね?」


 セシリアが聞いてくる。


「自由都市マルンにあるダンジョンってまだ攻略されていないんだよね。今まで数多の冒険者が挑んでいるのに未だ攻略されていないダンジョンだよ。僕は、それを攻略してみたい。馬鹿みたいに聞こえるかも知れないけどね。後は、いろんな所に行っていろんな景色を見たいかな。その第1歩目がこのダンジョンだよ」


「はあ、まあ、私達はご主人様に着いて行くだけですので良いのですが、大丈夫なのでしょうか?」


「まあ、そのために訓練しているんだからね。さて、じゃあ、行こうか」


 僕達がダンジョンを進んで行くとマリアが不意に空を指さす。


「あれがアサシンイーグルでしょうか?」


「ああ、そうだね。他にはいなさそうだから誰かが見ておいた方がいいね」


「では、そのまま私が見ておきますね」


 カルラの言葉にマリアが言う。僕はそんなマリアの手を取る。マリアは僕の行動に驚いていた。


「ずっと、上の方に注意をしていたら足元が見にくいからね。手を握っていれば躓く事も減るでしょ」


 僕の突然の行動にマリアが少し顔を赤くして頷く。


「んー、その役目は私がします。ご主人様は周りの注意をしてください」


 セシリアがそう言って僕の手を除けてマリアの手を握る。


「えっと、それは構わないけど」


「それに、同じ後衛である私の方が良いと思います。手を握っていたら咄嗟に武器を構えられませんよね」


「いや、僕は一応、魔法も使えるんだけど」


「私で良いですよね?」


 セシリアが強い口調で言ってくる。僕はセシリアの勢いに呑まれる。


「私としてもセシリアさんの方が都合がよろしいかと思います」


 マリアもそう言ってきたのでセシリアにマリアの補助をお願いした。


 僕が待っているカルラとフィーナに振り返るとフィーナはよく分からないといった顔をしていたがカルラはニヤニヤと何か含みのある笑顔をしている。


「何か、カルラの笑顔が凄い気になるんだけど」


「いやいや、何でも無いよ、ご主人。ただ、ご主人も大変そうだなって思ってね」


 僕はよく分からなかったので先に進むことにした。


 そうして進んで行くとブレイブベアと遭遇した。アサシンイーグルは空を旋回しているだけでこちらへと向かっては来なかった。


「ブレイブベアだね。なら、僕が戦って見ようかな」


「あ、お兄ちゃん待って、私にやらせて欲しいかも」


 僕が戦おうかと言ったところでフィーナが自分にやらせて欲しいと言ってくる。


「分かった。危なくなったら助けに入るからとりあえず、フィーナが戦って見てね」


 フィーナは頷くとブレイブベアに向かって走って行く。


「カルラから見てどう? フィーナ1人で大丈夫そう?」


「大丈夫でしょ。フィーナの強さはもう11階層から先でも通用すると思うよ」


 僕の心配をよそにフィーナの速さはブレイブベアを圧倒していて一気に踏み込むことをせず、少しずつダメージを蓄積させて動きが鈍ったところでその首を槍で突き仕留める。


「危なげなく倒せたね。フィーナも成長が早いね。数ヶ月前は戦い方すら知らなかったはずなのにね」


「そうだね」


(ちょっと、強くなりすぎじゃないかな。いくら才能があるからといってここまで簡単にブレイブベアを倒せるようになるなんてね。あたいももっと気合いを入れて頑張らないと駄目かな)


 カルラはフィーナの成長の早さを見て危機感を覚える。


 因みに、フィーナがブレイブベアと戦っている時にソードネイルウルフが来ていたのだがセシリアが魔法で倒していた。


 アサシンイーグルは空を旋回しているだけで降りてこず気にせずに僕達は9階層へと降りていった。

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