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第77話

 6階層に初めて来たマリアとフィーナのためにここで出てくる魔物と戦うことにする。


 まずは空に見えるスカイホークを狙うことにする。


「セシリア、まずはスカイホークに弓で射かけてこちらに誘導してくれるかな。それをマリアが魔法で仕留めて欲しい」


 僕の言葉にセシリアとマリアが頷く。


「ねえ、お兄ちゃん。私はどうすれば良い?」


「フィーナはワイルドドッグを相手にして貰うから少し待ってね。暇かも知れないけど周りの警戒を怠らないようにね。皆がスカイホークの方ばかり見ていると気づくのに遅れるからね」


「はーい」


 フィーナは返事をするとカルラと一緒に周囲に気を配る。


 セシリアは弓を構えて矢を放つ、矢はスカイホークを掠めるように飛んでいく。それにスカイホークは鳴き声を上げてセシリアに向かい急降下をしてくる。


「《火魔法ファイヤースピア》」


 マリアが魔法を唱える。火の槍はスカイホークへと向かって行くがスカイホークはそれを躱してしまう。そして、スカイホークは今度はマリアの方に向かって飛んでくる。


「《火魔法ファイヤースピア》」


 マリアがまた火の魔法を放つ、しかし、今度は火の槍は1つでは無く2つ飛んで行く。どうやら魔力を込めて火の槍を2つ発生させたらしい。僕はそういう使い方が出来るのは知ってはいたが普段は使わないので忘れていた。セシリアが教えたのだろう。


 火の槍はスカイホークの方に飛んで行くがそれをスカイホークは避ける。しかし、遅れてやって来たもう1つの火の槍にその羽を焼かれてしまう。もう1つの火の槍はスカイホークの避ける方向を予測して放っていたらしい。スカイホークは1つ目の火の槍は見えていたみたいだが2つ目の方は見えていなかったみたいで避けられず羽を焼かれてしまったのだ。


 落ちてきたスカイホークをマリアはもう1度魔法を発動してその頭部を焼きとどめを刺す。


「最初の魔法はスカイホークがどうやって避けるかを見るために放ったのかな?」


「はい、そうです。最初にセシリアさんの弓の回避の仕方と魔法の回避の仕方を見て避けるのを予測して2回目を放ちました」


 僕の言葉にマリアが淡々と応える。セシリアはその間に仕留めたスカイホークの解体を手早く始める。


「なるほど、ところで1回の魔法で2発の火の槍を放つやり方はセシリアに聞いたの?」


「いえ、何となく出来そうな感じがしたので家にいるときに練習していました」


「そうなんだ、うん、いいね。マリアはそのまま魔法に対して色々練習してみて欲しいかな。もしかしたら僕が思いつかなかった事を見つけてくれるかもしれないからね」


「あ、はい、分かりました」


 マリアが少し照れたように返事をする。


(マリアはもしかして魔法の才能があるのかもね。誰にも教えられずに出来そうな気がしただけで試して、それが出来るようになるんだから)


 スカイホークの解体が終わりそうな頃に周辺を警戒していたカルラがやってくる。


「ご主人、どうやらワイルドドッグが10匹ぐらいでこちらに近寄って来ているみたいだ」


「お兄ちゃん、どうするの?」


 フィーナも近寄って来て聞いてくる。


「まあ、10匹ぐらいならどうにかなるでしょ。マリアとセシリアは自分たちに近寄って来た犬だけ倒してね。基本的には僕とカルラとフィーナで戦おう。前回来たときは弓で倒していたけど、今回は接近戦で片を付けようか。動物型の魔物との戦い方を学ぶためにね」


 そうして、それまではゆっくりと近づいて来たワイルドドッグが一定の距離まで近づいて来て止まったと思った時に一斉に走って近づいて来た。


 僕は最初に走り出して噛み付き攻撃をしようとしてきたワイルドドッグを身体を横にずらして躱し、相手の走る勢いを利用して切り裂く。


 フィーナも走って来たワイルドドッグをその持っていた槍で口の中を貫き1突きで仕留める。そして、仕留めたワイルドドッグの側面から時間差でやって来たもう1匹のワイルドドッグに最初のワイルドドッグをぶつけて動きを止めてから槍で1突きし簡単に仕留める。


 カルラも向かってくるワイルドドッグ2体に対して1体は盾で弾いてその勢いを止め、もう1体を剣で大きく開けた口を突き仕留めると剣を手放し、動きを止めたワイルドドッグをその拳で殴り付ける。そうして、ひるんだ隙に剣を仕留めたワイルドドッグから引き抜き構える。ワイルドドッグは足に力を込めて飛び上がりその爪で攻撃しようとするが、それを盾で防ぎ地面に着地をしたところを持っていた剣で首を切り裂いて仕留める。


 僕はフィーナとカルラの戦いを横目で見ながら3体目を仕留めていると残った3体がマリアとセシリアの方へと向かって走って行くのが見えた。


 セシリアは自分たちの方に向かって来ているのを見るとスカイホークの肉を1切れつかむとそれを放り投げる。すると、ワイルドドッグは投げられたスカイホークの肉の方へと向きを変えて走り出してしまう。そして、スカイホークの肉に夢中になっているワイルドドッグを弓で1体ずつ仕留めていく。


(いや、まあ、犬だからね。そんな事もあるかもだけど、魔物だよ。普通は肉に向かうのじゃ無くてセシリア達の方に行くんじゃ無いの?)


 僕はワイルドドッグの習性になのか分からないが肉に向かって行ったワイルドドッグに突っ込みを入れる。


「セシリア、さっきの肉を投げるのは誰かに聞いた?」


「い、いえ、誰にも聞いていませんがワイルド()()()ですからもしかしたら効果あるのかなと思ってやってみました。そうしたら、思った以上に効果がありましたね」


「あたいも見ていたけど、肉を投げてそっちに集中させる事が出来るなんて知らなかったな。戦闘で肉を投げるなんて普通はしないからね。でも、魔物とはいえ犬だからそんな事もあるのかもねえ」


 カルラが仕留めたワイルドドッグを引きずりながら言う。


「もしかして、動物型の魔物はこれをすれば楽に仕留められるのかな。まあ、次は7階層のアーミードッグで出来るのか一応試して見ようか」


「お肉が勿体ない気がしますね。スカイホークの肉は美味しいですから」


「ああ、そうだね。ならワイルドドッグの肉で試して見ようか」


 そうして、ワイルドドッグの解体をしてから7階層へと向かうのだった。

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