第8話
ダンジョンに戻ってすぐにベヘモスの肉を焼いて食べてみた。あそこまで大きく動きも首以外は遅いため硬いのかと思ったがとても柔らかくおいしかった。
(この肉を食べるために狩りたいかも)
そんなに風に思ったがベヘモスがそう簡単に狩れる訳がなく今までに見たのも狩った一体だけでベヘモスの肉を食べたいがために死の森を探し回るのも大変なので残っている肉で我慢することにした。
次の問題はアースドラゴンである。この死の森で出会ってまだ倒していないのはアースドラゴンだけになったのでこれを倒してから本格的にダンジョン攻略に動きたかった。
(食べて、寝て、魔力を回復させたらアースドラゴンに挑戦しますか)
そして、魔力の回復に二日ほど費やしてからダンジョンを出発した。
死の森を前回アースドラゴンを見つけた場所に向けて進んで行く。
前回アースドラゴンを見た所に来てみたがその姿はなかった。そこから一時間ほど探してみてアースドラゴンを森の中で発見した。木に隠れつつ近づいて行き木陰からアースドラゴンを窺うとアースドラゴンと目があった。アースドラゴンはどうやら僕に気づいていたらしい。
アースドラゴンが咆哮を上げると僕の方に向かって突進してくる。僕は急いで木の上に上る。流石にあの巨体では木に登る事が出来ないだろうと思ったからだ。しかし、アースドラゴンは木に突進するとその木をへし折った。
僕は急いで倒れる木から別の木に飛び移る。十歳までハイエルフの村で暮らしていたためこれぐらいは何とかなる。木の上からアースドラゴンを窺うとこちらの方を見上げていた。
アースドラゴンが大きく息を吸い込み始めた。ブレスを吐く予備動作だろう。僕は急いで木から飛び降りる。僕のいた場所に強力な風のブレスが大きな木の枝を粉砕しながら駆け抜けた。
僕は地面に着地すると剣を構えてアースドラゴンに向かう。目標は首にしたいが首は今のブレス攻撃で
僕の身体より上にあるため攻撃するには飛び上がるしかない。しかし、それをすると無防備な姿を相手にさらしてしまうため目標を前足に定めて切りつける。
(固いな~、傷が少ししか付いてない。でも、傷が付くならいつか倒せるかな?)
アースドラゴンがゆっくりと振り返る。振り返る間にその後ろ足の関節部分を狙って切りつける。そうすると先ほどよりも深く切りつけることが出来た。
(お、関節の場所だとかなり柔らかいね。これなら四肢の関節を狙って攻撃すれば思ったより早く倒せるかな)
アースドラゴンが振り返る側の反対側を進み視線を外しながら足の関節を切りつけていく。アースドラゴンも尻尾を振り回しながら何とか攻撃してくるが流石にベヘモスの噛み付き攻撃みたいに速くはないので避けるのは簡単だった。
(これは近づければ思ったより簡単かな)
アースドラゴンの四肢の関節を何度か切りつけていると、アースドラゴンが咆哮をあげる。すると、アースドラゴンの中心に地面が光り出す。
(これは、何かいやな予感がする)
急いで地面を離れアースドラゴンの背中に乗る。
アースドラゴンの背に乗ってすぐに地面から大量の杭が出現する。
(危なかった。アースドラゴンっていうくらいだから地魔法は使えるのかな。これって、《地魔法アーススパイク》だよね。流石に地面にいたら避けられないね。でも、これって自分で逃げ道を消してないかな?)
アースドラゴンの背中を駆け上がる。そうして首の所に来て剣を突き立てる。しかし、首の所の鱗は固く剣が刺さらなかった。すると、アースドラゴンが首を大きく振り回し、僕はその反動で大きく投げ出された。身体はアースドラゴンが放ったアーススパイクを飛び越えて木に激突する。
「がはっ!」
何とか意識を失わずに立ち上がる。立ち上がった時にはアースドラゴンがこちらを見ていた。かなり怒っているようだ。周りのアーススパイクは消えていた。
アースドラゴンが大きく息を吸う。僕は一度大きく息を吐くとアースドラゴンに向けて走り出す。そして、魔法を用意する。
「《地魔法アースウォール》」
アースドラゴンが風のブレスを吐くのと同じタイミングで土の壁を作り出しその上に乗る。そして、アースドラゴンのブレスで土の壁が壊れたタイミングで壁を蹴りブレスの効果範囲を避ける。
(このタイミングが一番無防備になる)
そして、一気に近づきブレスを吐いた状態で止まっていたアースドラゴンの首を下から切り上げる。アースドラゴンの首の背中側は鱗があり固いがお腹側は鱗がないため柔らかかった。そして、剣がアースドラゴンの首を半分以上を切り裂いたところでその命が消えた。
「いや~、本気で疲れた。これはかなり大変だったけど、攻略方法さえ分かれば何とかなるね。とりあえず、四肢を潰してから首かな~。とりあえず、これでダンジョンに挑戦出来そうかな」
何とかアースドラゴンに勝ち、後はダンジョンを攻略するだけになった。勝利の余韻に浸りつつアースドラゴンを解体していく。
(これはまずは鱗を剥いでから皮を剥いで行かないとダメかな)
そうして、急いで解体を済ませた。幸いにも他の魔物が来ることはなかったので思ったより早く終わった。
ダンジョンに戻りアースドラゴンの肉を食べてみる。この肉もベヘモスと同じくらいおいしかった。