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第75話

 ダンジョンから戻り魔石を換金してから家へと戻る。


 夕食時にこれからの事を決めるために話し合いを始める事にした。


「さて、フィーナもマリアも戦えることが分かったからこれからの方針を話しておこうと思うけど良いかな」


 僕の言葉に食事に夢中になっているフィーナ以外が頷く。


「とりあえず、1ヶ月間は訓練期間として前に3人でしていたように5階層迄行ってオークキングを倒すっていうのを続けようと思う。フィーナならオークキングもオークジェネラルも倒せるだろうから、後はパーティーの連携の訓練の練習もかねてだね」


「そうだね。フィーナならオークキングなら余裕を持って倒せそうだ」


 カルラが太鼓判を押す。


「僕は今のカルラならオークキングだって1人で余裕で倒せると思うけどね」


「まあ、ご主人に魔法を教えてもらったからいけるとは思うかな」


 カルラは少し不安そうに言う。


「私は別にオークキングは1人で倒せなくても良いのでしょうか?」


 ここで、マリアが僕に聞いてくる。


「マリアには接近戦をしてもらうつもりが無いからね。マリアはセシリアと組んで後方からの魔法での支援と全体の状況の把握、そして指示をお願いするからね。指示する人が魔物と直接戦うと周りが見えなくなって指示なんて出せなくなるからね。だから、マリアはオークキングとは戦わなくても良いよ」


「分かりました」


「マリアは魔力を増やす練習をして魔法を打つ回数を少しでも多くしよう。ただ、劇的に魔力が増えるなんて事は無いからゆっくり確実に上げていってね」


「はい」


 マリアが頷く。


「じゃあ、明日からはダンジョンの周回をしようか。1ヶ月後には6階層から10階層迄の攻略を開始するからね。それまでに僕も含めてだけど情報を集めておくようにね。フィーナは特にね」


 フィーナに念を押して言うと、肉を頬張りながら頷く。


 その日は食事をして各々休んだ。


 そして、次の日にダンジョンに向かい途中でオークジェネラル達を倒しながら5階層へと向かった。


「さて、この部屋にオークキングがいるから今回はフィーナにオークキングと戦って貰うね。魔法は使っても良いけど僕達からの援護は無いと思うように、取り巻きは僕達がやるから他からの邪魔は無いからそこは安心してね」


 フィーナが力強く頷く。


「マリアとセシリアは魔法でハイオークを倒して、カルラと僕でオークジェネラルを倒そう。終わってもフィーナの手助けには行かないようにね。本当に危なくなったら僕が向かうから」


「「「分かりました」」」


 セシリア達が返事をする。


 それを見て僕は扉を開ける。


 そして、部屋に入ってしばらくしてからオークキング達が現れる。


 僕とカルラがオークジェネラルに向かってそれぞれ走り出し、セシリアとマリアが魔法でハイオーク達を倒して行く。そうして、出来た道をフィーナが走り出してオークキングに向けて槍を繰り出す。


 オークキングはその槍を右手に持った剣で弾き、左手で持った盾を鈍器の用にしてフィーナに殴ろうとする。フィーナはそれを見て身体を動かして躱す。


 フィーナは接近しすぎると良くないと思ったのか飛んで距離を開ける。オークキングは剣と盾を打ち鳴らしフィーナへと向けて走り出した。フィーナはそれを見て冷静に鎧で守られていないところを槍で突くがオークキングもその巨体に似合わずに機敏な動きでそれを躱していく。


「フィーナってさ、魔法使ってないよね?」


 オークジェネラルをすでに倒し観戦していた僕は同じように観戦しているセシリアに聞く。


「そうですね。魔法を使ったフィーナさんの攻撃ではオークキングでは避ける事は出来ないでしょうから」


「まあ、今回はフィーナに任せたから、とりあえず、見ていようか。流石に途中で魔法を使わないと勝てないと判断するでしょ」


 それから、何度かぶつかり合うのだがお互いに決定的な決め手に欠けてしまう。


「《地魔法ストレングスアップ》」


 フィーナは決め手に欠ける状況に魔法を使う。


 魔法を使うフィーナを見て今まで雄叫びを上げて突っ込んできただけだったオークキングが何かを感じ取ったのか盾を構えて待ちの姿勢になった。


 フィーナは待ちの姿勢でも構わないというようにオークキングへと向かって走って行く。オークキングがタイミングを合わせて剣を振り降ろすが、フィーナはそれを横に動いて躱してオークキングの身体を踏み台にしてオークキングの後方へと着地する。


 そして、オークキングの兜と鎧の隙間に槍を突き刺す。


 その槍が脳まで届いたのかオークキングは地響きを立てて倒れ込んだ。


 フィーナは大きく呼吸をするとこちらを向いて槍を掲げて喜びを表す。


「魔法を使えば倒せると思ったけど、思ったよりも簡単に倒せたね」


「それは、槍というのもあったんじゃ無いかな。あたいやご主人だと首を狙っても力が込めにくいせいか傷は付けられて脳までは届かないだろうからね」


「なるほど、そういうのもあるのか」


(フィーナはドンドン強くなるね。これは、僕も訓練を増やさないといけないかな)


 そんな事を思いながら次の部屋の宝箱部屋へと向かう。


「あ、お兄ちゃん。宝箱があるけど私が開けてもいい?」


「オークキングを倒したのはフィーナだからフィーナが開ければ良いよ」


「やったーーー」


 そうして、喜んで宝箱を開ける。宝箱の中には魔法袋が入っていた。


「何か変な袋が入ってたけどこれって良い物なの?」


「「「えっ」」」


 僕、カルラ、セシリアは驚いた。魔法袋は5階層の宝箱では一番当たりと言っても良い物だ。それをフィーナは知らなかったらしい。


「あの、フィーナそれは魔法袋だからとても価値がある物だよ」


「そうなの?ところで魔法袋って何?」


(そこからなのか)


 僕は絶句する。


「旦那様申し訳ありません。お嬢様はそういったは習っていないのです。フィーナお嬢様、魔法袋は沢山物が入る袋です。家具を買いに行ったときに使ったじゃないですか」


「あ、あの時使った袋とこれは一緒なんだね。お兄ちゃん、これは私が貰っても良いの?」


「良いよ。フィーナとマリアにも準備しようとは思っていたからね。その魔法袋はフィーナが使えば良いよ」


「ありがとう、お兄ちゃん」


 フィーナは自分が貰った魔法袋に自分の槍を入れて身につける。


「それじゃあ、今日は帰ろうか」


 次の階層には向かわずにその日はダンジョンを出たのだった。

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