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第73話

 翌日になり前日に言っていたようにオークの出る3階層を目指して進んで行く。


 そして、2階層を進んでいるときにキングゴブリンと遭遇した。ゴブリンを10体ほど引き連れて堂々と歩いている。ゴブリンの中には棍棒だけでは無く槍や剣、弓までも持っている個体がいた。


「これは結構面倒な戦いになる?」


 僕は経験しているだろうカルラに聞いてみる。


「いや、ご主人ならそこまでじゃないと思うけどね。弓を持った奴がいるけど狙いも下手で外すことが多いって話だからね」


「まあ、普通の矢ならベへモスの革のレザーアーマーは貫けないかな。なら、弓使いはマリアが魔法で倒そう。キングゴブリンは僕が行くよ。それ以外はカルラとフィーナとセシリアで行こうか。ゴブリンだから大丈夫だと思うけど油断はしないようにね」


 全員が頷いたのを見て僕は先頭を歩いているキングゴブリンに向かって走り出す。


 キングゴブリンが叫び声を上げながら僕の方へと向かってくる。その後ろから弓を構えたゴブリンが矢を放とうとする。


「《火魔法ファイヤースピア》」


 マリアが矢を放とうとするゴブリンより先に魔法を発動させて弓を放とうとしていたゴブリンを焼き尽くす。僕はそれを横目で見て驚く。


(威力が大きすぎでしょ。魔力を込めすぎだし、後、端っこが僕に掠って少し焼けたんだけど!)


 キングゴブリンを目の前にしているのに立ち止まり少し振れたところの熱を冷ます。キングゴブリンは目の前にいる僕では無くて後ろを振り返り倒されたゴブリンの方向を見ていた。


 それを見て、キングゴブリンが怒りの咆哮を上げる。


「あ、言い忘れてたけどキングゴブリンは手下がやられる度に力が増すらしいからご主人気をつけてね」


 カルラが後ろからそんな事を言ってくる。


「そういうことは始まる前に言っておこうね!」


 僕はキングゴブリンから振り下ろされた剣を自分の剣で流しながらカルラに返答する。


「ご主人ならそれでも余裕だと思うよ。後、楽に倒すなら手下がやられた時にキングゴブリンの動きが止まるからその時に倒すのが定石らしいけどね」


 カルラが槍を持ったゴブリンに攻撃を仕掛けながらそんな事を言ってくる。


「それじゃあ、つまらないから真正面から叩き潰すよ!」


「まあ、ご主人ならそう言うよね」


 剣を持ったゴブリンがフィーナに首を切られて倒されたために動きを止めたキングゴブリンに追撃をせずに応える。


 キングゴブリンが怒りの咆哮上げるとその腕の筋肉が膨張する。僕はそれを見てキングゴブリンから距離を取る。


「ゴブリンが倒されると力が増すってこういうことなのか」


 僕がキングゴブリンの筋肉が膨張するのを見ているといきなり膨張が止まり今度はそれが収縮していく。そして、その身体がかなりスリムになる。


「あ、言い忘れてたけど、ご主人、キングゴブリンは手下が全部倒されるとオークキング以上の筋力と速さを得るらしいからね。気をつけてね」


「それは、大事なことじゃないかな。まあ、いいか。手出しはしないでね。《地魔法ストレングスアップ》」


 僕が魔法を使い身体能力を向上させる。そして、キングゴブリンをまっすぐ見る。キングゴブリンも剣を構えてこっちをじっと見ている。


「何か、頭の方も良くなってないかな。ゴブリンは余り考えずに突っ込んで来る印象しか無いんだけどねえ」


 僕はじっと待っていても硬直するだけなのでキングゴブリンに向かって走り出す。キングゴブリンもそれを見てこちらへと走ってくる。僕はキングゴブリンの予想以上の速さに驚く。


「《地魔法アースウォール》」


 とっさに自分の足元に土の壁を作りそれを足場にキングゴブリンの頭上を越えてキングゴブリンの裏を取る。キングゴブリンはそれを見てすぐに振り返り僕の方へと走ってくる。


「予想以上の速さだったけど、それでも、ツインヘッドビーストやベへモスの首の速さに比べたら遅いよ」


 僕はキングゴブリンが何度も振る剣を躱して、時には自分の剣で弾いていく。


 それを何度かしていく内にキングゴブリンの方が硬直している状況に耐えきれなくなり咆哮を上げて剣を大きく振り上げる。


「それは、悪手だね」


 僕はキングゴブリンに向かって走り出す。キングゴブリンは勢いよく剣を振り下ろす。僕はそれをギリギリの所で横に避けて躱す。そして、キングゴブリンの両腕を自分の剣で切り落とす。


 両腕を失い後ずさるキングゴブリンが悲鳴を上げる。それが聞こえたのか遠くからゴブリンがやってくる。


「そんな事もキングゴブリンはやってくるのか。でも、もう遅いかな」


 僕は尻餅をつきながら逃げようとするキングゴブリンの首を切り落とす。キングゴブリンの悲鳴を聞いてやってきたゴブリンをカルラとフィーナが倒してしまう。


「確かに強くなっていたし、早かったけど、それでも、前に戦ったオーガよりは遅いし力も無かった感じだったな」


「ご主人はオーガと戦ったことがあるのかい。それと比べたらいけないとは思うけどね。キングとはいえゴブリンなのは違いないんだし。因みに、オーガは11階層に出てくるからね」


 僕の独り言にカルラが応える。


「そうか、オーガも出てくるんだ。まあ、15層にはベへモスが出てくるんだからそれ位は出てくるかもね。じゃあ、少し時間かかったけど3階層に向かおうか。今日の目的はオークの解体作業だからね」


 そうして、キングゴブリンの魔石だけ拾い3階層へと向かうのだった。

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