第60話
セシリアの体調の回復を待って5階層に向かう。5階層でオークジェネラル達を倒しつつボスの部屋まで向かう。5階層に着いてから2時間ほどしてボスの部屋へと到着する。その扉を開けようとすると開いたので、今は戦っている冒険者はいないのだろう。ボス部屋の前で作戦会議を始める。
「出てくるのはオークキングとオークジェネラルが2体、ハイオークが5体だね。カルラはオークキングとは戦える?」
「前のパーティーの時はあたいがオークキングを引きつけていたからね。大丈夫だよ。ただ、前のパーティーはオークジェネラルを引きつられるメンバーが他にいて、残りのメンバーでハイオークを倒してからオークジェネラルを倒して、オークキングを皆で倒すっていうやり方だったけどね」
「まあ、僕達のパーティーだと人数が足りないよね。なら、オークキングとオークジェネラルは僕が引きつけようかな。カルラとセシリアでハイオークを倒して、それが終わったら僕の手伝いね。セシリアは魔法をドンドン使って良いからね。接近戦にこだわる必要も無い」
「分りました」
「ああ、わかった」
セシリアとカルラが頷く。
「まあ、無理せずに行こう。死ななければ直せるから」
そして、扉を開けて中へと入る。部屋の3分の1ほど入ったときに扉が閉まる。すると、魔方陣が現れてそこからオークキング達が現れる。
オークキングが中央に陣取りその両脇をオークジェネラル2体が固める。ハイオークが5体が前面で並んでいた。僕は最初に走り出すとハイオークも一斉にこちらに向かって走り出してきた。
「《地魔法アースウォール》」
僕はハイオークの前面に土の壁を作る。そして、その壁を足場にハイオークを飛び越える。ハイオークは土の壁を持っていた棍棒でたたき壊す。そのハイオークにカルラとセシリアが攻撃を加える。
「《風魔法エンチャントウインド》」
セシリアが風の魔力を付与した弓でハイオーク1体を倒すとカルラも剣で1体ずつ倒していく。
僕はそちらを気にせずにオークキングに向かって行く。オークキングは全身を鉄製で防具で固めていた。僕は魔力を込めて切れ味を増したミスリルの剣をオークキングの鎧に叩き込むが鎧を薄く切るだけに留まった。思った以上にオークキングの鎧は固いらしい。そして、動きの止まった僕に両脇からオークジェネラルが剣を振り下ろしてくる。僕はそれを後ろに躱すとオークキングが剣を振り上げて迫ってくる。僕は振り下ろされる剣を流し、オークキングの身体を踏み台にして大きく距離を取った。
(思ったより鎧が頑丈だね。ミスリルでも切れないとはね。なら、出ている顔とかを狙うしか無いかな。とりあえず、何度か挑戦してみますかね)
剣を構えてもう一度オークキングに向けて走り出す。
「《地魔法アーススパイク》」
土の棘がオークジェネラル達を襲う。オークジェネラルは剣でその土の棘を切るがその動きで隙が出来る。僕はその隙に1体のオークジェネラルの首を切り落とす。そして、もう1体の方に向かおうとしたところでオークキングが速い動きで僕に切りつけたためにそれを剣ではじきオークジェネラルへの攻撃をやめてオークキングの顔を目掛けて突きを繰り出す。オークキングは左手に付けた籠手ではじく。
「《火魔法ファイヤースピア》」
火の槍をの左手の肘部分に向けて放つ。オークキングはそれを避ける事が出来ずに火の槍を受けてたまらず悲鳴を上げる。オークキングの腕はそれで使い物にならなくなった。
(ファイヤースピアで腕が千切れないとか思った以上に頑丈だね。そろそろ、あっちも終わるだろうからオークジェネラル位は倒しときたいね)
僕は左手を構えて魔法を唱える。
「これは外だと使えないけど、ここはダンジョンの中だから行けるよね。《闇魔法ブラインド》」
すると、オークキングの顔を黒い霧のような物が覆う。《闇魔法ブラインド》は相手の視覚を少しの間奪う魔法だ。時間的に1分も持たないのだが意表を突くには使える魔法である。因みに外だと黒い霧がすぐに霧散してしまうので効果は無い。
オークキングの動きを封じてオークジェネラルへと向かう。オークジェネラルは剣を出鱈目に振り回して向かってくる。僕もオークジェネラルへと走って行く。
「《火魔法ファイヤースピア》」
火の槍がオークジェネラルに向かって飛んで行く。オークジェネラルは剣で火の槍を切ろうとするが出来ず、右腕に当たりその腕を吹き飛ばした。そして、動きの鈍ったオークジェネラルの首を切り落とした。
オークキングが黒い霧から解放される。その時にはセシリアとカルラもハイオークを倒しきり僕に合流していた。
「ご主人凄いな。まさか、キングとジェネラル2体相手に耐えるだけじゃなくて、ジェネラル2体を倒しきるなんて」
「まあ、魔法を使っているからこれぐらいは何とかなるけど、キングって僕の思った以上に固いんだね」
「キングの鎧は切るのは難しいらしいよ。魔法には弱いらしいけどね。あの鎧も火魔法であぶったら熱くなりすぎてキングは焼け死んじゃうけどね。それが、このダンジョンのキングの正攻法かな」
僕はそれを聞いて微妙な表情を作る。
「キングの丸焼きが一番倒しやすいって事ね。それは楽だろうけどつまらないかな」
「普通は生きるか死ぬかだからね。つまらないとか言ってられ無いかな」
「それもそうか、じゃあ、試しにそのやり方をやってみるかな。《火魔法ファイヤースピア》」
火の槍が飛んで行くがオークキングはそれを剣で切り裂いてしまった。
「いや、ご主人、普通はキングの相手をしている壁役と連携して当てるんだけど・・・」
「ああ、それもそうか」
「あの、ご主人様、オークキングがすごい怒っているみたいなんですけど」
「流石に舐めすぎたかな。よし、なら僕が引きつけるから、セシリアは火魔法をお願いね」
「分りました」
僕は怒り心頭で向かって来たオークキングと対峙する。剣を振り回すが僕はそれを冷静に流して行く。そして、何度目かの剣戟のぶつかり合いが起こった時にカルラが声をかけてくる。
「ご主人、避けて」
「《火魔法ファイヤー》」
僕が避けるとセシリアの放った魔法の火がオークキングを襲う。オークキングは転げ回るが魔法の火のためにそう簡単には消えず、そして、動かなくなった。僕は念のためにオークキングの頭を切り落とした
。
「キングを仕留めるのはファイヤースピアで貫通力を上げるよりファイヤーで全体的に焼く方が良いんだね」
「ああ、ファイヤースピアだと範囲が狭いからね。基本的に全体を焼く方が効率が良いよ」
「私もそれを聞いてファイヤーにしました」
「僕もまだまだ知らないことが多いな。カルラ、これからも色々教えてね。まあ、そのために君を買ったのもあるんだけどね」
「分っているよ。さて、お待ちかねの宝箱の確認だね」
「このダンジョンだとボス部屋を攻略したら出るんだね」
「ああ、ただ、最初の5階層のは当たりは少ないけどね。次の部屋にあるから行こうか」
そして、オークキングを倒してから出てきた扉へと向かう。