第59話
オークジェネラルを探して探索する事30分程して遭遇する。
「今回はオークジェネラル1体、ハイオーク2体のオーク1体か。さて、どうしようか。オークジェネラルはセシリアに任せるとしてハイオークはどうしようか。僕が2体でも全然大丈夫だけどどうする?」
「私はオークジェネラルで決定なんですね」
僕の質問にセシリアがぽつりと呟く。
「そこは確定、というかまだ4階層の魔物ぐらいは倒せないのはこの先困るんだよ。目標は15階層だよ。時間はかけるとは言ったけど先延ばしにはしたくないかな。僕はセシリアなら倒せると思っているからやらせるんだから自信持って倒して来てね」
セシリアが力なく頷く。
「さて、カルラはどうする?」
「なら、あたいがハイオークを2体でもいいかい?」
「いいよ。僕がオーク1体だね。危なそうなら向かうから頑張って戦ってね。なら行こうか」
そして、オークジェネラル達に向かって行く。オークジェネラルはこんな時は後ろで待ち構えていることが多い。そして、ハイオーク達が戦い出すと後ろにいる魔法使いなどを狙って動くために普通は誰かが相手をしなければならない。強い冒険者のパーティーなら誰であろうオークジェネラルは倒せるので問題は無いが弱い冒険者だと厳しい戦いになる。この4階層で戦えるかがこのダンジョンを挑戦出来るかの一種のパラメータになっていた。
僕はオークを剣で1閃して終わらせて2人の様子を見る。
カルラは2体のハイオークを相手にしているが1体のハイオークの棍棒の攻撃を盾で流して身体のバランスを崩してから体当たりをして転ばせる。そうして、残ったもう1体のハイオークと一対一の状況を作り出し危なげなく戦っている。カルラの方は大丈夫だろう。そして、僕はセシリアの方を見る。
セシリアは《地魔法ストレングスアップ》を使って自分の身体能力を上げてオークジェネラルに向かって行く。オークジェネラルは早い動きで剣を横に振りセシリアを切り払おうとする。それをセシリアはジャンプをしてギリギリで躱す。剣でオークジェネラルの指を軽く撫でるように切り、そして、着地する。オークジェネラルは今度は剣を振り上げて振り下ろしてくる。セシリアは今度は身体を横にずらして剣を躱して今度はオークジェネラルの足を切りつける。力が足りないのかセシリアのその攻撃ではオークジェネラルは転倒することはなかった。それでも、剣が当たらないことと相手の攻撃だけが当たることに苛立ちを見せていた。
「ねえ、セシリアってさ、オークジェネラルの動きをちゃんと見えてるよね」
僕はハイオークとの戦いを終えて隣に来ていたカルラに聞く。
「ちゃんと見えてそうだね。じゃないとあの剣をあそこまでギリギリで避けられないだろうから」
「僕の思った以上に強くなっているけど、何か自分から訓練していたかな?剣の素振りぐらいは毎日するようには言ったぐらいだったけど」
実はセシリアは毎日日課に剣の素振りだけではなく走り込み等の体力や筋力を鍛えるための訓練を増やしていた。
「セシリア姉は毎日頑張ってたよ。あたいとも模擬戦をやったりしてたしね。ご主人には黙っていて欲しかったみたいだけど」
「カルラとの模擬戦か、それは良いね。僕は何かしにくいんだよね。セシリアに対して剣を構えたくないんだよね。何でだろう・・・」
「・・・」
カルラは僕の言葉に何も言わなかった。
セシリアが剣を出鱈目に振り回すオークジェネラルの剣を最小の動きで避ける。しかも、ただ避けるだけでは無く持っている剣での反撃もしている。
そうして、幾度目かの攻防の後オークジェネラルがとうとう限界に達したのか剣を取り落とす。それを見てセシリアが剣を構えてオークジェネラルに向かって走る。それをオークジェネラルは身体全体を使って体当たりをしてきた。
しかし、オークジェネラルの動きに慣れたセシリアはそれを躱して首を切る。流石に1回では致命傷にはならなかったが4回ぐらいしてオークジェネラルは動かなくなった。
「ふう・・・」
セシリアが大きく息を吐く。
「お疲れ様、かなり余裕のある戦いだったね。流石にエルフの特徴のためか少し筋力的にオークジェネラルを仕留めるのに回数が必要になったね」
「無理に踏み込んで仕留めきれなかったらこちらがやられますから、無理に攻め込まず安全に行きました」
「まあ、セシリアの場合はそれが正解かもね。よし、これでセシリアもオークジェネラルが倒せることが分ったから5階層に向かおうか」
「あの、少し休ませて貰えないでしょうか。集中しすぎて少し目眩がするので・・・」
セシリアが弱音を吐く。
「ああ、それは魔力がかなり減っているからだね。見てたけど《地魔法ストレングスアップ》をずっと使って戦ってたよね。今までそこまで使って無くて慣れていないから魔力消費が自分の想像より多くなったんだろうね。これからはどんどん使って慣れていこう。なら、解体は僕とカルラがするからそれまで休んで魔力を回復させよう。それでもしんどかったらしばらく休もうか」
解体を済ませてからもセシリアの調子が戻っていなかったのでそこで早めの昼食を取って身体を休めることにした。