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第53話

 家に帰って来て奴隷のカルラをセシリアに任せて寝具を買いに行く。その時にギルドに寄ってカルラの事を聞いてみた。


 それによるとカルラのいたパーティーは彼女が奴隷になってから町を出て行ったらしい。どうも、その時の大暴走の影響で魔物との戦いに恐怖心を植え付けられたらしく地元に帰ったとのことだった。


「あそこのパーティーはカルラさんが壁役をしていたのでカルラさんがいなくなってからは奥までいけなくなったらしいですね。後、他の人をメンバーに入れていたみたいですがその人がかなりかき回しちゃったみたいで上手くいかなくなって地元に帰ったみたいですよ」


 ギルドの受け付けの人がカルラを奴隷として買ったことを言うと親切に教えてくれた。


 必要な事を聞いて家に戻るとセシリアとカルラが椅子に座り話していた。


「ご主人様お帰りなさい」


「あ、えっと、お帰り」


 セシリアが元気に言い、カルラは戸惑ったように言う。


「寝具を買ってきたから部屋に置いてくる。セシリアはご飯の準備をお願い。カルラはご飯は普通に食べられるよね」


「分りました」


 セシリアが厨房に向かう。


「大丈夫、食べられる・・・いえ、ます」


 カルラが言い直しながら言う。


「言葉使いは普段から使っている言葉使いで良いよ。別に気にしないから」


「そ、そうか、そ、その、ありがとう」


 それから寝具を置いてきてからセシリアの作ったご飯を食べているとセシリアが聞いてくる。


「ご主人様、カルラも私にしたような事をするんですよね?」


 セシリアにしたような事というと手足の再生の事を言っているのだろうと察する。


「そうだよ。ご飯食べてからやろうと思っているけど、それがどうしたの?」


「私もそれを見ても良いですか?」


 カルラは僕達が何を話しているのか理解できないせいかご飯をせっせと食べている。


「まあ、構わないけど、見ていて面白い物でも無いと思うけどな」


「後ですね、その時にカルラを眠らせるのだけは辞めて欲しいかなって思うんですが」


「なんで?」


「眠っている間に何が起きるのか分らないのは怖いですから・・・」


(本当はご主人様が手を出さないか心配なんですけど・・・)


 セシリアが視線をそらしながら思う。


「まあ、わかったよ」


(実験の時に痛みがあるのかどうか知りたかったから別に良いけどね。自分に使わないといけなくなったときに痛みがあったときに集中切れて失敗とかは困るからね)


 それからは黙々とご飯を食べる。


 そして、食事が終わりカルラの部屋に移動してベットに寝かせる。


「・・・」


 カルラはこれから何をされるのか分らないために身体を縮こませる。


「ねえ、不安かも知れないけど手足だけは伸ばしたままにして貰えないかな」


 僕が言うがカルラはそれでも不安なのか震えて動かない。


「ね、ねえ、カルラ大丈夫だから、ご主人様がこれからするのはカルラの手足を治すことだから心配しなくても大丈夫だよ」


 セシリアも説得しようとするが、それでも疑いの目を向けてくる。


「手足が治ることは無いはず、そんな奇跡のような魔法は無いって聞いているから、そんな魔法があればあたいは奴隷落ちなんてしてない。あたいに一体何をしようとしてるんですか」


 カルラが頑なになっていて埒があかないために僕は眠らせようか迷う。


「カルラ、私もね貴方と同じように手足が無い状態で奴隷になって絶望していたの。そんな時にご主人様に買ってもらってしかも手足の再生までしてもらったの。今はまだ出会ったばかりで信用できないかもしれないけど、このまま手足が無いまま過ごすよりご主人様を今だけ信じて見て良いんじゃないかな。今よりひどくなることは絶対無いから」


 セシリアの言葉にカルラはゆっくりと手足を伸ばす。完全には信用したのでは無いだろうが今よりは悪くなることは無いだろうと思って覚悟を決めたのだろう。


 僕はそれを見て神剣フォルティナを構える。それを見て、カルラが震える。


「あの、ご主人様剣を刺すって事は無いですよね」


 セシリアが慌てたように聞いてくる。


「そんなことしないよ。ただ、この剣が魔法の媒体になるから必要なんだよ」


 そして、剣を両手で持ち掲げる。それを見てセシリアが息を呑む。


「大地母神フォルティナ様の力の一端をここに顕現すること願い奉る。この者の身体の欠損をそのお力により癒やしたまえ、《神魔法リジェネレイト》」


 神剣フォルティナが光り輝き、その光がカルラを包み込む。そして、徐々にだがその手足が再生されていく。その様子をセシリアはただ黙って見ていた。カルラは自分の手足がゆっくりと再生されていくのを信じられないと言う風に見ていた。


 そして、光が収まりカルラの手足は治っていた。


(片手、片足の再生なら半分ぐらいの魔力でも十分なのか。セシリアの時は僕の魔力まで使われたけどこの差は何だろうね)


 僕が考え事をしているとカルラは再生した手足を触って泣いてた。そして、セシリアが恐る恐る聞いてくる。


「あの、ご主人様は大地母神フォルティナ様の加護を持っていらっしゃるのですか?」


「うん、持ってるよ」


 それにセシリアとカルラの両方が驚きで声を失う。


「大地母神フォルティナ様の加護なんて何処で得られたのですか?」


「まあ、その話は明日にしようか。とりあえず、カルラに聞きたいことがあるんだけどいいかな」


「え、あ、と、はい」


 カルラが慌てたように答える。


「再生するときに身体に痛みとかはあった?」


「いえ、痛みなどは無かったけど・・・いや、です。引っ張られる感覚があったぐらいです」


「無理に丁寧に喋らなくても良いからね。でも、痛みは無いのか、なら、僕が欠損しても直せるかな。ありがとう、今日はもう休む事にしようか。話したいことがあるなら明日にしよう」


 それに二人も頷き僕とセシリアは部屋に戻り眠ることにした。

2人目のヒロイン登場です。

因みに、元のパーティーメンバーはちゃんとカルラに挨拶してから故郷に帰っています。

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