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閑話2

セシリアが何故奴隷になったかの話と何故あんな姿で奴隷商にいたのかの話です。


因みに少し胸くそ展開あります。

 どうしてこんな事になったのだろう。ただ、私達は森の奥で静かに暮らしていただけだったのに。私達エルフは森の奥で暮らしていた。ただ、流石に外とも交流しないと物が限られてしまうためにドワーフの人達とだけ交流していたのだ。なので、この村の存在はドワーフの人達しか知らなかったはずなのに何故人間族の冒険者達がこの村の存在を知ることが出来たのか分からなかった。


 私達が朝食を食べ終わり皆がそれぞれの仕事に向かうであろうその時に人間族の冒険者や騎士と呼ばれる人達が一斉に村へと侵入していてきたのだ。男達は抵抗をしたが相手の方が人数が多く女性や子供達が人質になり1時間もしないうちに全員が捕まってしまったのだ。


「うむ、素晴らしいな。エルフの奴隷がこんなに手に入るとはまさか我がオルベルク子爵領にエルフの集落があったとはな。盲点であった。ベルン伯爵感謝しますぞ」


「我々の領地にいたドワーフがたまたまこの村と交流していたために分かったことだ。感謝して貰いたい物だな」


「もちろんですとも、それでは、ここで奴隷の契約をしてしまいましょうかな。おい奴隷商、準備は出来ているな」


「オルベルク子爵様もちろんでございます」


 奴隷商が奴隷の首輪をもって寄ってくる。


「では、最初に私が選んで良かったのですよね。ベルン伯爵様」


「ふん、仕方あるまい。ゲームの勝利者が先に選ぶと決めたのは私だからな。その私がそれを破ってはいかん。ただ、分かっているな。3人までだぞ。奴隷商達にも旨味は残しておかねばならないからな」


「ええ、分かっていますよ。それでは、私はこの3人にさせて貰いますね」


 そう言って、私と従姉妹のシンシアともう一人の女性が選ばれてしまった。私にはもうどうすることも出来なかった。私の父やシンシアの父は抵抗して殺されてしまっていた。


 そうして、檻がついた馬車に乗せられて移動中冒険者達の話し声が聞こえる。


「エルフ達も可哀想にな。まあ、俺等はかなりの金が入るから良いんだがよ」


「しかし、よく伯爵はエルフの里を見つけることが出来たな。ドワーフ達が喋る事なんて無かっただろうに」


「ドワーフは人間とも交流があるからな。ドワーフの武器は良い品があるからな。そのドワーフが酒場で酔ったときにポロっと言っちまったんだよ。エルフとも交流があることをな」


「だからってエルフの里の場所まで言わないだろう?」


「ベルン伯爵がドワーフの村を襲って聞き出したらしいぜ。今やそのドワーフの村は無くなっているってよ。ドワーフ達はほとんど奴隷にされちまったらしいぜ。奴隷となって武器作りや鉱山で働かされているらしい」


「本当かよ。たかが、エルフの奴隷が欲しいからってそこまでやるか普通は?」


「まあ、お貴族様にしてみたらドワーフやエルフなんてどうなっても良いと思っているんだろうな」


 ドワーフの人達は私達を裏切ったわけでは無くすでに襲われて里の場所を無理矢理言わされていただけだった。


 私達はオルベルク子爵様の屋敷で使用人と同じように扱われた。そんな中一緒に来たエルフの女性は毎晩子爵様に呼ばれていたみたいだった。その子はどんどんとやつれていって最後の方は喋ることも無く心を閉ざしていった。そして、あの日子爵の元へ連れて行かれ帰って来なかった。


 その次は私の番だった。従姉妹のシンシアが怯えたように私の手を握る。私はその手を優しく握り返し気をしっかり持つように言い、子爵様の元へと行った。それからは毎晩のように子爵様の伽の相手をさせられる。最初の方は抵抗していたがそれすらも結局は子爵様を喜ばせるだけだった。そして、私は最初の女性のように心を閉ざしていった。


 そんな心を閉ざした私に子爵様の執事がある場所に連れて行く。私は抵抗せずにただ引っ張られて行くだけだった。何も考えられていなかったため何処に連れて来られたのかも分からなかった。子爵様の声が遠くに聞こえる。


 そして、激痛が私の意識を浮上させる。


「い、痛い、痛い痛い痛いぃぃぃぃ・・・、足が、私の足があぁぁぁ・・・、ああ、熱い熱いぃぃぃ・・・」


 私の右足が切り落とされていた。しかも、直ぐにその傷跡に火を押しつけられて出血がそれ以上しないように処置をされる。


「いや・・・やだ・・・許して、ごめんなさい・・・許して・・・」


 私の両手や足は鎖でつながれていて私には許して貰えるように懇願するしか無かった。


 そんな姿を見て子爵様は悦に入っていた。


「君がいけないんだよ、私の小鳥よ。君が鳴かなくなったからこうするしか無かったんだ。君も前のエルフの用に最後にその声で私を慰みなさい。ああ、ただ今度は気を付けるよ。前回のエルフは止血の処理をしてなかったせいで直ぐに死んでしまったからね。君は最後迄頑張るんだぞ。その悲鳴(こえ)を聞かせてくれ」


 私は子爵様の声に恐ろしいと感じた。


(ごめんね。シンシア、私はもう無理みたい)


 それから、私は残った足、左手、左耳と切り落とされ最後は顔まで焼かれてしまった。それでも、死ねなかった自分を自分で恨んだ。


(さっさと死んでいれば楽になれたのに・・・・)


 そんな二度と人に見せられない姿になった私を子爵は奴隷商に売った。奴隷商もかなり困っていた用だった。


 そんな奴隷商で1週間程経った頃に私を買いたいと言う人が現れた。こんな見た目の私を何故買いたいのか不思議だったが実験という言葉を聞いて絶望した。


(ああ、私は結局物扱いしかされないのか)


 実験の話は奴隷商が話していた。唯一買い手がつくのがそれしか無いと愚痴を言っていたのを聞いていたのだ。そして、結局私はこの男に買われた。


 それから街道を進み途中で盗賊に襲われた。人質に取られた私にこの男は優しい言葉をかけてくれたが結局実験に使うのであれば物扱いは変わらない。そんな男の優しさが信じられるわけが無かった。


 そんな男が途中で私を抱えて森の奥に入っていった。そして、小さな泉の近くに行くとテントを張り始めた。食事をすると私を寝かせる。そして、男が言う。


「さあ、実験しますか」


 こんな場所で実験をするという。ああ、この場所なら死体の処理に困らないからこんな場所に来たのか。短い人生だったな。とふと思った。すると、光が私を包み込む。私が思わず目を閉じると身体が熱くなった。そして、光が収まると・・・()()が動いた。そして、声も出た。


 こんな奇跡があるだろうか。私は泉で自分の姿を確認して驚く。そこには子爵に傷を付けられる前の私の顔があった。明日死ぬかも知れないというこの身体が治ったのだ。私は号泣した。自分でも止められなかった。


 私はこの人に着いて行こうとその時に思った。そこまでひどい未来は無いだろうと何故かそう思ったのだ。

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