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第39話

 エルフ女性が落ち着いたのかゆっくりと振り返る。その目は泣いたためか赤く腫れていた。


 そのエルフ女性がゆっくりと話し出す。


「あ、その、申し訳ありません。取り乱してしまいました。あの、ご主人様でよろしいですか?」


「そうだね。僕が君のご主人様になるね。ところで、身体に何か違和感とかはない?初めての再生魔法だから副作用とかその辺が分からないんだよね」


 エルフ女性が身体を少し動かしてみる。


「特に違和感といったものはありません。あっ・・・」


 喋っている最中にくぅっとエルフ女性のお腹が鳴る。エルフ女性が顔を真っ赤にしてうつむく。


「まあ、今まで余り食べてなかったから仕方ないかな。何か準備するからテントで服を着替えてこれは、君の荷物らしいから着られると思う」


 そして、僕は魔法袋から奴隷商で貰った彼女の荷物を渡す。エルフ女性は荷物を受け取るとテントの中に入っていった。僕は魔法袋から死の森で手に入れた。アースドラゴンの肉を取り出しそれを残っていたスープに入れて軟らかくなるのを待つ。


「お待たせしました」


 それから、10分程してエルフ女性がテントから出てくる。


「まだ、肉が軟らかく無いから、少し座って話しでもしようか」


 そう言って、エルフ女性を座るように言う。それに、エルフ女性が黙って従う。


「僕の名前はフレイって言いますが貴方の名前はなんて言うのかな?」


「あ、私はセシリアと言います。ご主人様」


 セシリアが小さい声で答える。


「セシリアか、良い名前だね。君がどうして奴隷商にいたのかは聞かない。聞く気も無いから、君にはこれから強くなって貰う。そして、一緒にダンジョンに入って貰うから」


「え、実験に使うのでは無かったのですか?」


 セシリアが驚いたように聞き返す。どうやら、奴隷商での話を聞いていたみたいだがどうやら勘違いをしていたらしい。


「実験ならもうしたじゃないか。再生魔法の効果を確認することが実験だよ」


「エルフの生き血を使って、寿命を延ばす薬を作る実験では無かったのですか?」


「あの実験は成功しないよ。すでにその結果は出ているじゃないか。まあ、奴隷商には勘違いして貰うためにエルフを求めたんだけどね」


 あの実験は古代文明の時からされていたがそれが成功しないというはすでに出ているのを僕は生まれ故郷のハイエルフの里にある本から知っていた。しかし、人の中には何か方法があるはずだと諦めずに実験をしていた人がいたために錬金術大全に載っていたのだ。そのせいか、その実験がいつかは成功するのではと期待している人が少なからずいるために錬金術大全から削除されずに残っている理由だ。


「さて、そろそろ、良いかな」


 そして、器に肉を入れたスープを入れて渡す。


「ありがとうございます」


 それを両手で受け取りセシリアはゆっくりと食べる。


「これ、美味しいですね」


 どうやら、味の方は好みに合ったらしい。


「まあ、その肉はそう簡単に手に入らないけどね。アースドラゴンの肉だし」


 セシリアがそれを聞いて固まってしまう。


「アースドラゴンですか。ドラゴンの肉ですか。あの、高かったのでは無いですか?」


 どうやら、アースドラゴンの肉は高価な食材らしい。


「別に高くは無いよ。自分で狩った物だしね。だから、遠慮せずに食べて良いよ。まあ、これから強くなるためにはよく食べて体力も付けないといけないからね」


「ご主人様ってとても強いのですね。私はついて行けるか心配なんですけど」


「まあ、不安かも知れないけどそこはこれから頑張って貰うよ。ところで、魔法はどれくらい使えるの?」


「魔法ですか。一応、火、水、風、地、光の魔法は教えられましたが使ったことはほぼないのでそれ程威力は無いかと思いますが」


「でも、エルフなんだから魔力は高いでしょ。後はイメージの問題だと思うんだけどね」


 魔法は6つの基本属性がある。火、水、風、地、光、闇がありイメージして魔力を込めてその魔法を唱えなければならない。魔法は古代文明のさらに前から研究がされていて魔法名が今はほとんど確立している。新しい魔法はここ最近は発見および改良はされていないらしい。


 魔法の威力にはイメージと込める魔力が大事なのだ。同じ魔法でもイメージによって範囲が広くなったり狭くなったりする。そして、込める魔力量によって魔法の効果が強弱するのだ。


「そうですね。魔力はそれなりにあると思います。でも、私は狩り等に出たことがないのでイメージが中途半端になってしまうのです」


「なら、大丈夫でしょ、これから練習すれば良いんだからね。別に明日直ぐに強くなれなんて言わないよ。でも、真剣に訓練はやってね。後は武器かな。これはしっくり来る物を選んだ方が良いから今度町に行ったら基本的な武器を一通り試してみよう。魔法だけだと魔力が切れたときにどうすることも出来ないからね」


「自信はありませんが、頑張らせていただきます」


「これは、君のためでもあるから真剣にやってね。自分の身は自分で守れるようにならないと簡単に死ぬからね」


 セシリアが大きく頷く。


「じゃあ、このスープを食べてから今日はもう寝よう。見張りはやらなくていいからゆっくり寝てて良いからね」


 そうして、食事を終えてテントで眠りについた。

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