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第4話

 あれから、1年が経った。


 思ったより塩作りが進まず、干し肉作りにもかなりの量の塩が必要であるため中々進まなかったのだ。その間に出来ることとしてテントでは無く小さな小屋を二つ作った。本当に寝るだけの小屋と干し肉をしまっておく用の小屋である。干し肉用の小屋には地魔法で土を固めて作った壺を置いてある。その中で干し肉を作って行くのだ。最初の頃は失敗を数多くしたが今ではちゃんとした干し肉を作れるようになった。村にいるときは手伝いだけはしていたが自分では作ったことは無かったので試行錯誤しながら納得出来る物を作り上げた。


遠出をする準備は整えて、1年過ごした小屋を出て中央の丘を目指す。丘の方角は時々風魔法で空を飛び確認するしかない。グリフォンに会わないことを祈りながら出発した。


 出発してから二時間ほどたった頃、木の上からガサガサと音がする。そして、上を見上げても何も見えない。そのまま、注意深く見ると何と木の幹に同化するように蛇がいた。


(あれって周囲の色に溶け込んで、獲物に襲ってくるのかな。って事はそこまで強くない? それとも毒がある? )


 流石に魔物に襲われないように注意深く進んでいるだけあって、蛇が出すわずかな音にも気づけた。気づけたのなら何とかなるかと魔法を準備する。


「《火魔法ファイヤースピア》」


 炎の槍が蛇に突き刺さる。蛇は身体が二つにちぎれて地面へと落ちていった。そして地面へと落ちると動かなくなった。思った通りあまり強くは無かったようだ。そして、安心して先に進むことにする。


 そして、進んでいて気づいた事だが、森の中には所々に空いている空間が見受けられた。その場所には数匹のグリフォンがいた。グリフォンは森に空いた空間に住んでいるらしい。一度、そうとは知らずに開けているからと行ってみると、グリフォンに襲われそうになり、急いで森の中に引き返して事なきを得たのだった。どうやらグリフォンは森の中は苦手のようだった。


 そして、さらに進んで行き丘まで半分ぐらいのところで一際大きな空間が広がっているところにでた。流石に森の中から様子を窺うことにする。そこには小さな池と大きなカバみたいな生物がいたのだ。全長が三十メートルを超えるぐらいの生物である。そんな生物が池の近くで寝ていた。


(流石に大きすぎるから相手には出来ないね。魔法の効果も期待できないし、皮膚も硬そうだしね。でも試してみるだけは試してみようかな)


「《水魔法アイスメイク》」


 大きなカバの上空に氷の刃を作る。


「《風魔法フォールウインド》」


 氷の刃を風の力で勢いよく大きなカバの首元に落とす。しかし、バリンと音がすると氷の刃の方が

砕け散った。そして、大きなカバは上を見上げて、また何も無かったかのように寝始めた。


(嘘!グリフォンでさえ切れたのに切れないのか。これは想像以上に硬いぞ。これは相手をせずに立ち去った方がいいよね。最悪森の木ですら足止めになりそうにないし)


 そうして、立ち去ろうとしたところいきなり上空からグリフォンの四匹が急降下してきた。グリフォンはこちらでは無く大きなカバの方に向かって行く。そして、グリフォンの爪が緑色に光ると大きなカバの皮膚を傷つける。


(これは風魔法の力を爪に宿わせて切れ味を増したってことかな? それならあのカバの皮膚でも切れるって事かな? それでも、それ程深くは傷ついてはなさそうだけど)


 大きなカバはゆっくりと首をあげる。グリフォン達は何度も大きなカバの皮膚を切り裂いている。それなのに大きなカバは痛そうな動きを見せない、ただ、ゆっくりとグリフォン達の方を見て回る。


 そして、大きなカバが一際大きく鳴いた。すると大きなカバから無色の魔力が広がっていく。


 するとグリフォン達がいきなり地面に落ちだした。


(え、これって魔法の力を打ち消す結界じゃない?)


「《水魔法アイスメイク》」


 本来生み出される氷の刃が生み出せない。


(うわ、本当に魔法の力が使えない。これってグリフォンに取ってきついんじゃない。あの巨体は魔法の力で空を飛んでいるはずだし)


 グリフォンは地面落ちても諦めずに爪を大きなカバに突き立てる。しかし、魔法の力をまとわせていない爪では大きなカバの皮膚を傷つけることは出来なかった。


 爪を振りかざしているグリフォンの一匹を大きなカバは見つめると、一瞬でその頭と身体の半分を食いちぎる。


(うわっ、首が一瞬で伸びた。あれは避けれないわ)


 そうして、飛べないグリフォンは逃げることも出来ずに大きなカバに捕食されていく。すべてのグリフォンが食べられた後は何事も無かったかのように眠りだした。


(ここって、あのカバの狩猟場なのか。獲物は勝手に向こうからやってくるし。グリフォンってここだと捕食される方だったのか)


 僕はゆっくりとその場を離れていく。


 丘までは半分ぐらいしか来ていない。この先に何が出てくるのか分からないため慎重に行くことを心に決め先に進んでいった。


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