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第30話

 生きている騎士達がいないことを確認しつつ騎士や領主が持ってたお金を拝借する。


(さすがに、お金は重要だからね。とりあえず、金貨が200枚と銀貨が70枚になったか。流石に領主だけあってそれなりに持っていたみたいだね)


 それから、騎士や領主の死体を地魔法で掘った穴に捨てていく。そして、地魔法でその穴を埋めて死体の処理を終えた。


(これで、少しは時間稼ぎが出来るとは思うけど、それまでにこの領地からは離れた方が良いよね。でも、その前に町で、ちょっと買いたい物があるんだよね)


 そして、何事も無かったかのようにその場を後にして町に向かっていく。


 それから一日ほどかけて領主が住む中心都市ベルンブルに到着した。都市ではまだ領主が亡くなった事が分かっていないために穏やかだった。僕は冒険者のギルド証を見せて入ることが出来た。


 都市に入ってから宿を1泊分だけとり色々と見て回る。


 この都市は都市の中心に大きな領主の屋敷があり、その周りを堀が囲みそこから円を描くように町並みが広がっている。


 僕が都市を歩いていると商人と思われる人が使用人と思われる人を蹴っている。


「使用人だからってあそこまで蹴るのは何でだろう?」


 ふと、浮かんだ疑問をつぶやくと近くを歩いていた人が声をかけて教えてくれた。


「ああ、ありゃあ、使用人じゃ無くて奴隷だな。蹴られている方の人間の首を見てみろよ」


 そう言われて僕は注意深く蹴られている使用人と思われる人の首を見ると、鎖のような紋が首を1周するように付いている。


「あれは?」


「見えたか。あれは奴隷紋と言って、奴隷っていう証のための印だな。ああ、だからってあの奴隷が可哀想だからって手を差し伸べるなんてことはやめとけよ。あの商人に言いがかりをつけられて下手すりゃあ、お前さんが奴隷なるからな。他人の奴隷に手を出すことは万国共通で禁じられた法だからな。まあ、奴隷の主人が許可を出したらそれも変わるからな」


「そうなのですか?」


「ああ、娼館などにいる奴隷などはその主人の命令や許可で客を取っていることが多いからな」


「奴隷って主人には逆らえませんよね?」


「ああ、主人の命令には逆らえないし、主人を傷つけようとすることも出来ず、自分から死ぬことも出来ないな」


「そうなんですね。あの、色々教えてくれてありがとうございました」


 僕は教えてくれた若いお兄さんに頭を下げる。


「良いって事よ。あんた、この都市に来たばかりに見えてな。ちょっと、お節介よ焼いただけだよ」


 そう言って、お兄さんが手を上げて去って行く。僕は頭を下げて目的の一つに向かって行く。


 僕は目的の一つである本屋に着いた。この世界の本は高価だ。なんせ、一つ一つ人の手で写本されているのだから。僕は本屋の中に入る。


「すいません、錬金術についての本はありませんか?」


 店番をしていた店主が顔を上げる。


「錬金術の本かい。ちょっと、待ってな」


 そう言って、店主が店の奥に入っていく。


「錬金術の本ならこの錬金術大全がおすすめだね。大昔から受け継がれてきた錬金術が載っている物だよ。まあ、写本されたものにはなるけどな」


「良いですね。それはいくらしますか?」


「それでも、安くは無いぞ。この錬金術大全で金貨50枚するからな」


「分かりました」


 僕は金貨50枚を店主に渡す。


「毎度、また何か欲しいのがあったらいつでも来なよ」


 僕は錬金術の本を受け取り都市の憩いの場所であろう噴水がある広場のベンチで本を広げる。


 錬金術には色々あり、各町にある街灯も錬金術が使われている。この、街灯は魔物の魔石を使い、暗くなれば明るくしてくれ明るくなれば消えるという物だ。ゴブリンの魔石でも1週間は連続して使用できるためたとえゴブリンの魔石といえども常に買い取りの依頼は出ている。まあ、ゴブリンの魔石の買い取り価格は安いものだが小遣い稼ぎに売る人は多い。他にも色々錬金術はあるのだが簡単に言えば魔石を使って便利な道具を作る技術を錬金術と呼ばれている。その中で目当ての錬金術を見つける。


 それはゴーレムを作る錬金術だ。昔の人は大切な物を守るために作っていた。今でも、お城の宝物庫などの守りにも使われていたりする。ゴーレムの特徴としてはゴーレムの強さが魔石の元となった魔物の強さと同じだと言うことだろう。そのため、ドラゴン等の魔石を使ったゴーレムはかなり強く、逆にゴブリンの魔石を使ったゴーレムはゴブリン並の強さしか持たない。


 僕には試練の洞窟で手に入れたドラゴンの魔石等が沢山あるのでかなり強いゴーレムが作れるだろう。最も、一番の弱点は魔石に残っている魔力が無くなれば元の石や土に戻ってしまう。魔石に魔力は途中で補充することは出来ないので必要なら沢山用意しなければいけない事になる。


「色々あるんだね。これなら、沢山ある魔石の使い道もあるね。まあ、いくつかは売ってお金に換えないといけないけどね」


 そうして最後のページに、ある実験について書かれた内容を見つける。それは、エルフの生き血を使って寿命を伸ばす薬を作る実験のようだ。


 エルフは人より長い寿命を持つ。その生き血を使えば人の寿命を延ばせるのでは無いかと考えた人が大昔にいたみたいである。この実験は未だ成功していない。というより、成功しない。これは、もう結論が出ている実験であるはずなのだ。というのを、ハイエルフの里にある書物で見たことがある。


 それでも、出来るはずだと思う人がいてこの錬金術大全に載せているのだ。


「ふーん、これって結果出ていたと思うけど・・・これは使えるかな?」


 少し思案して思いついた。そして、奴隷商の所に行くことにした。ある実験をやりたいがために・・・

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