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第3話

 朝になってテントから外に出てみる。どうやら、無事に朝を迎えられたらしい。起きてから近くの川で顔を洗う。水は冷たくて一気に目が覚めた。そして、朝食を取る。まあ、昨日と一緒でグリフォンの肉なのだが。


 朝食を取ってから付近の散策と食料の確保をしなければならない。後は塩の確保だ。村では近くのダンジョンに何故か岩塩がとれた。どうも、昔にダンジョンを見つけそこから岩塩が見つかり、ダンジョン内の魔物もそれ程強くなかった事からそのダンジョンの近くに村を作ったらしい。そのダンジョンは村では塩のダンジョンとと呼ばれていた。


 しかし、テントの近くにそんな都合の良いダンジョンはなかった。


「まあ、流石にそんな都合良くはないよね。食べられるものとしては芋だけでも見つかって良かったとみるべきかな。流石にずっと肉というのも飽きるから。しかし、いざ一人になると独り言増えるな~」


 川の近くの森で芋の蔓を見つけそれを掘って芋が採取出来た。さらに川沿いにもう少し散策すると村で出てくるワイルドボアより二回りも大きくグリフォンよりも大きいボアが川の水を飲んでいた。


「村で狩っていたボアより大きいけど何とかなるかな。《火魔法ファイヤースピア》」


 炎の槍がボアへと迫る。ボアは異変を感じたのか顔をあげるが炎の槍がその鼻の先に刺さる。ボアは頭を激しく振り炎の槍を取ろうとするが魔力をそれなりに込めているため炎の槍も消えず鼻先から取れない。その間に次の魔法を用意する。


「《風魔法エアスラッシュ》」


 風の刃を上空か地面に向けて放つ。暴れていたボアの首を風の刃が駆け抜ける。そして、ボアの首がぼとりと落ちそれに遅れてボアの大きな身体も横倒しに倒れていく。


「よし、お肉確保……、ってこれをどう運ぶよ」


 村の近くにいるワイルドボアより二回りも大きなボアだ。流石に《地魔法ストレングスアップ》で身体強化しても運べない。放置してたら他の魔物に食われるだろう。しかも、テントからは思ったよりは離れていないので魔物に見つかってしまう可能性もある。


 すぐに解決策が思い浮かばず、とりあえず解体していく。皮と肉に分けてから気づいたがボアに魔石はなかった。となればボアは動物と言うことになる。この世界では魔石の有無で魔物と動物で分けられている。ボアを解体した後は肉を適当な大きさに切り、内臓を地魔法で開けた穴に埋めていく。ボアの肉を八分の一を袋に入れる。それだけで袋はいっぱいになった。残りを放置するわけにはいかないため風魔法で細かいブロックにして、水魔法を使い川に流した。そうして下流の方へ流して行く。この川がどこに繋がっているのかは分からないが途中で魔物にでも食べられるだろうと思いながらテントの方へと帰った。


 テントに帰りボアの肉の一部を干し肉にして保存食にしようと思ったが、まだ塩がないことを思い出して頭を抱える。


「よし、どこかに岩塩かそれに変わる物がないか探そう」


 ボアの肉の一部を水魔法で凍らせる。そして、三日程度凍ったままでいるぐらいの魔力を込めてテントの近くの地面に埋める。お昼を食べてから川を風魔法で越えてから、今度は崖沿いに散策を開始する。


 三時間ほど歩いただろうか、崖にぽっかり穴が空いているのが見えた。おそるおそるその穴に近づいてみる。その穴は大人では入るのがやっとといったぐらいの大きさだった。中を覗いて見ても魔物はいないようだ。中に入ってみると奥の壁の隙間から水が染み出していた。その水を指に付けてなめてみる。それは塩水だった。そして、よく見るとその壁はどうも塩を含んでいるようだった。


 そこで、その穴の近くに簡易のテントを作った。流石に三時間もかけて戻るのも面倒だった。水は魔法で出せるのでなんとかなる。数日の間はここで塩作りをすることを決めた。


  塩作りを始めて数日がたった。塩作りは中々進まなかった。それとは別に、食料の確保も進めていった。この崖の近くではボアがいたがグリフォン等の魔物の姿は見えなかった。僕としては都合が良かったのでこのままボアを狩り少しずつではあるが保存食としての干し肉を作っていこうと思う。


 崖の上からはよく見えていたのだが死の森の中心には少し高い丘があった。そこに行くために保存食の干し肉を作りたい。そこに、何があるのかは分からないが昔から死の森の中心には何かがあると村では言われてきたのだ。ただ、凶暴な魔物が死の森にはいるために誰も確認を取れないでいた。なので、せっかくの機会なので行ってみようと思ったのだ。


 そのためにも干し肉と塩の確保だけはやらなければならない。それとボアの革を使い干し肉と塩を入れる袋を作っていく。塩は一日で作れる量が少ないため気長にやっていくしかない。それこそ、ここでしばらくは生活していく覚悟を持たなければならない。崖の上に行く手段もまだ見つかっていないのだから。

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