表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/192

第24話

 領主の屋敷にドルグ代官がやって来ていた。


「ベルン伯爵ご報告したいことがあるのですが」


 ドルグ代官の言葉に見ていた書類からベルン伯爵が顔を上げる。


「どうしたドルグ、私は今忙しい。何かあるなら手短に話せ!」


「はっ、先日ザイルの町に魔法袋を持った少年がやって来ました。その少年はガウン村の者みたいでしたが」


「魔法袋か確かにそれは貴重だな」


「どうやら冒険者をしていた父の形見だとか」


「それでは無理に徴収は出来んな。しかし、う~む、今はこちらの方が重要だな。その少年はガウン村の者だったか」


「はい、ただ、私の手の者では手に余りそうでして、どうやら、その少年は冒険者になるつもりのようですでにオークを一人で倒せるぐらいだとか」


「ほう、オークを倒せるほどの腕があるか。なら、私の私兵ぐらいはいるだろうが今はこちらの方で重要な仕事が入っているからな」


 ベルン伯爵が考え込む。


「ドルグよ、そのガウン村の少年の方は後回しにしろ。今はこちらの方が優先だ」


「何かあったのですか?」


 ベルン伯爵がニヤリと笑う。


「もう少ししたら亜人狩りが始まる。今はドワーフどもの集落をどう襲うか考え中だ。奴らは地魔法を使う。慎重に事を進めないといけなくてな」


 ドルグ代官もニヤリと笑う。


「ほう、亜人狩りですか。では、いずれエルフの集落も襲う計画ですかな」


「そうだ、ドワーフとエルフは繋がっている。ドワーフどもの集落は見つけているが流石に慎重に事に当たらねば犠牲だけが増えるからな」


「では、エルフの奴隷が市場に並ぶのもそう遠くないと言うわけですな。楽しみですな」


「うむ、ドルグよ、ガウン村の少年の事は今は後回しだ。余計な手出しもするな。他の領に逃げられては勿体ないからな」


「分かりました。それでは私はこれで」


「うむ」


 そうして、ドルグ代官が部屋を退出していく。


「早くエルフ奴隷を愛でたいものだ。ふはははは」


 ベルン伯爵の笑い声が屋敷に響いたのだった。




 村での生活は特に困ることも無く過ごしていた。毎日狩りをして、たまに農業なども手伝ったりして半年が過ぎた。


「さて、そろそろ税のボアを狩りに行かないといけなくなった。と言うわけで、フレイのノルマは5頭だ。頼むぞ」


 アンソニーさんが日課になった剣の素振りをしながら僕に言う。半年の間、剣を振っていたためか最初の頃に比べて早く、鋭くなっている。剣もザイルの町で買ってきたらしい。そして、ついにオークを一人で狩ったのだと嬉しそうに言っていた。流石に、オーク一体みたいだったがそれでも、凄いことだ。


「分かりました。ボアはどれくらいまでに狩ればいいですか?」


「ボアはこれから三ヶ月以内の内に狩っておいてくれ。それが、揃ってから納めに行くからな」


 そうして、日課の素振りを終えてアンソニーさんが帰って行く。


 それから、二ヶ月ほどかけてボアを8頭ほど狩った。この村の周辺には魔物としてはゴブリン、オークといった人型の魔物ばかりが多く。森の奥に行くとオーガや水辺にはビックアリゲーター、フォレストスネーク等がいた。ビックアリゲーターは大きいワニなのだが《水魔法ウォーターカッター》を使ってくるため油断出来ず、オーガは足が速く力が強い。フォレストスネークは木の上から音も無く現れて丸呑みしようとしてくる。


 オーガは足は速かったがそれでも、《地魔法ストレングスアップ》をかけた僕の方が速かった。ビックアリゲーターは水魔法にだけ気をつければ問題なく、フォレストスネークは《風魔法ウインドフィールド》を使っていれば先に見つけることが出来たのでこちらも問題なかった。


 これからの魔物を狩って村に帰ったときはかなり驚かれたものだ。最近はそういうもんだと思われたのか余り驚かれなくなったのだが。


 そうして、税分のボアもたまりまたアンソニーさんとザイルの町に納めに行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ