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第21話

 僕とアンソニーさんが村を出てから二日ほど経ち、代官のいるという町に着いた。その間の道中の道では魔物は出てこなかった。たまにボアが出てきたくらいだった。これが森の中での道とかなら魔物が出るのだろうが森を大きく切り開いて道を作っているため森までの距離もあり出てこなかったのだ。

 

 そうして、町を囲んでいる壁が見えてきた。村では木で出来た簡単な柵しかないので大きい町なのだろう。


「さて、あれが代官のいる町のザイルだ。この周辺にある村の税などをまとめている所だな。よし、なら行こうか。すぐに入れればいいのだが」


 どうやら、壁に門がありそこには数十人が列を作っていた。


「入るのには何か必要なんですか?」


 僕が聞くと


「とりあえず、村長からガウン村の村民証は貰ってきているから大丈夫だぞ。ほら、これがフレイの村民証だ。言ってなかったがこれは村長が管理しているから帰ったら村長に渡すように」


「分かりました」


 そうして、アンソニーさんから村民証を受け取る。どうも、木の札にガウン村の村民であることを認めるような事が書いてあるみたいだ。


「そういえば、フレイはいずれ冒険者になりたいんだったな。ステラさんから聞いたぞ」


「はい、いずれは父のようにダンジョンに行ったりいろんな所を見てみたいんですよね。でも、なれるのは15歳になってからじゃ無いとダメみたいなので2年は待たないといけませんが」


「そうだな、年齢だけはどうしようも無いからな。そろそろ、順番が回ってきそうだな」


 もう、残りは数人になっていた。


 そうして、僕達の番になった。門番の人が声をかけてくる。


「ようこそ、ザイルの町へ、入るための身分証は持っているかな?」


 そうして、アンソニーさんがはいと村民証を見せる。僕もそれにならい村民証を見せる。


「ふむ、ガウン村の者か。代官所への税の支払いに来たのか?」


「はい、その通りです」


 アンソニーさんが頭を下げながら言う。


「それにしては荷物が無いようだが、税物は何処にあるんだ?」


「ああ、それはこの子が魔法袋を持っていましてね」


 門番が怪訝そうな顔をする。


「魔法袋だと、そんな貴重な物をこんな子供が持っているというのか?・・・ふ~む、坊主その魔法袋は何処で手に入れたんだ」


「え~と、これは冒険者だった父が何処かのダンジョンで手に入れた物です。それを数年前に僕に渡して父はまたダンジョンに行くと言って出たきり帰って来ていません。なので、この魔法袋は父の形見です」


 門番が少し考えてから顔を上げる。


「ふむ、ダンジョンではたまに見つかるというのを聞くな。それを持つ冒険者は稼げるし、商人も高い金を出して買うというな。坊主、その魔法袋の事は黙っていた方がいいぞ。奪ってでも欲しいという奴は多いからな。売っても金貨500枚はすると言うから、かなり高価な物になるからな」


「ダンジョンで見つかると言うがそんなに高価な物だったんだな~」


 アンソニーさんが呆けたように言う。


「分かりました。なるべく知られないようにしたいと思います」


「ああ、その方がいい。代官所には連絡をよこしておくからいいが、それ以外の所では使わない方がいいな。父の形見なのに誰かに奪われることになるかも知れないからな」


「ありがとうございます。気をつけます」


「なら、そろそろ行こうか」


 僕は頭を下げてアンソニーさんとザイルの町へと入った。


 そして、僕が町の中を見ているとアンソニーさんが


「珍しいのは分かるが最初に代官所に行って税を払ってしまおう。その後は、税以外で持ってきたボアの肉やゴブリンの魔石を売って塩等を買わないとな。あ~、しかし、魔法袋を使わないとなると荷車も買っといた方がいいか」


「あの、オークの魔石が三つあるんですけどこれも売っちゃいましょう。そうすれば荷車も買えるのでは無いですか?」


「いいのか?確かにオークの魔石なら一つ金貨1枚にはなったと思うから荷車も買えるだろうな~」


「大丈夫ですよ。村のために使えるのなら構いません。魔法袋が人前で使えないので荷車は必要でしょうから」


「そうか、すまんな」


 そうして、僕とアンソニーさんは代官所に着いて税を納めてから(門番の人が使いを出してくれたのか魔法袋の事には触れないでいてくれた)いつも泊まるという宿へと向かった。


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