第18話
「ほうほう、彼がオークを倒したという少年かのう」
年を取った老人がアンソニーおじさんに声をかける。
「あ、村長、そうなんです。このフレイ少年がオークを三匹をあっという間に倒してくれまして、その上オークの肉まで譲ってくれたんですよ」
僕はアンソニーおじさんに紹介されて村長に頭を下げる。
「フレイと言います。たまたま通りかかりまして、魔物退治はそれなりにこなしていましたので」
「ふむふむ、フレイ君とやらありがとう。オークの肉なんてそう簡単に食べられるものでは無いからのう。助かるよ。それではアンソニー、オーク肉を解体したら皆で分けてもらえるかな」
「分かりました、村長」
そうして、解体したオーク肉を集まってきた村民に分けていく。それを手伝っていると村長が声をかけてきた。
「そういえば、フレイ君は何か目的があってこの村の近くに来たのかね?」
「いえ、特に目的があったわけではありません。旅をしていて、道中の魔物を倒して魔石を売って生活をしていました」
村長が驚いた顔をする。
「ふむ、そうなのか。それなら少しの間だけでも良いのでこの村に滞在して魔物の討伐をしてくれんかのう。最近は村の近くまでゴブリン等も来るようになって危険になってきたんじゃ。村の作物などを領主のところに行くのにも危険が増えてきていてのう」
僕は少し考えて村長の申し出を受けることにした。
「ありがとうございます。そうですね。1、2年ほど滞在させていただいてもいいですか?」
「おお、そうか滞在してくれるか。空き家が数件あるでのう。その一つを貸そうかのう。魔物退治や領主の元に行くときの護衛などをしてくれればお金などはいらぬからのう」
村長が嬉しそうに言う。
「おお、フレイ少年村に滞在してくれるのか。いや、それは助かるな。若いのは町に行ったきり帰ってこなくなった者をいるからな。若い狩人がいてくれたら助かる」
アンソニーさんが嬉しそうに僕の頭をなで回しながら言う。
「はい、しばらくの間お世話になります」
「それなら、しばらくはアンソニーに着いて行って狩りなどを習ってもらえるかのう。ボアを後1、2匹狩ってきてもわないと今年の村の税が払えないからのう」
そう言って、村長がアンソニーさんの方にも
「アンソニーよ、今年の税の支払いは一月後じゃからな。それまでにこの村のノルマであるボアの肉五頭の内の残り二頭を狩ってくるのじゃよ」
「ああ、分かってますよ、村長。今日は近くにいなくて遠出したらオークに出くわしたが明日は何とか狩るよ。まあ、そういうわけでフレイ少年、明日から狩りの仕方を教えるついでに手伝ってくれ」
「分かりました」
僕は頷きつつ肯定した。すると、村長が
「これで、フレイ君もこの村の一員となったのじゃから、オーク肉を食べて明日に備えて貰おうかのう。アンソニーよ、フレイ君の家は昔アルバスがいた家で良かろう。あそこなら解体用の倉庫もあるからのう」
アンソニーさんが顎を触りつつ
「ああ、アルバスは町に行ったきり帰ってこなくなって三年経ちましたから構わないでしょう。それなら、この後でも案内しときますよ」
「うむ、アンソニー、フレイ君の世話を頼んだぞ」
「分かりました。では、フレイもう少し待って貰っていいかな。皆にオーク肉を渡したら案内するから」
僕が頷くと村長は満足したのか帰って行った。
そうして、オーク肉を分けてから僕は空き家に案内して貰った。そこは、居間と台所と部屋が二つほどある家とアンソニーおじさんの家にあるような倉庫が付いた家だった。
僕はアンソニーさんにお礼を言って部屋に入り荷物を整理してついでに貰ったオーク肉を食べてから疲れていたのかすぐに寝てしまった。