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第17話

 アンソニーと名乗ったおじさんの村は歩いて一時間ほどの所にあった。


「しかし、その沢山はいる魔法袋だったかはすごいな。そんな物が都会にはあるんだな~」


 おじさんはオークを三体を入れた魔法袋に興味を持ったみたいだった。


「これは、冒険者をしていた父が以前ダンジョンで見つけた物で父がくれた物なんです」


 僕は本当のことは言わずにおじさんの話に適当に合わせる。流石に死の森のことや神の試練のダンジョンの事などは話せないので仕方が無い。


「そうか、ダンジョンではそんな夢のような物が手に入るんだな。うらやましいよ」


「まあ、僕は行ったことが無いんですけどね。父ももう少し大きくなったら連れて行ってくれるとは言ってはいたのですがダンジョンに行ったきり帰ってこなかったので形見になってしまいました」


「そりゃあ、残念だったな。しかし、ダンジョンっていうのは怖いところでもあるんだな~」


 どうやら、このおじさんは余り村から出たことは無いらしい。


 そうしておじさんと話していると村へと着いた。


「ここが、おじさんが住んでるガウン村だ。まあ、小さな村だから遠慮するな。しかも、オークを倒してくれた命の恩人だしな」


 村は木の柵で覆われていた。野生の動物等が勝手に入らないようにそうしているのだろう。


「おや、アンソニーさんじゃないか。獲物は捕れたのかい?」


 恰幅のいいおばさんがアンソニーさんに声をかける。


「いやあ、運悪くオークに出くわしてしまってね」


 そのアンソニーの言葉におばさんが驚く。


「ちょっと、オークなんてよくそれで無事で帰ってこれたね」


 アンソニーさんが僕を前に出して


「この坊主がオークを倒してくれてな。儂なんてオークに見つかった時に急いで木の上に逃げたっていうのにな~、はっはっはっ」


「全く笑い事じゃないよ。お前さんありがとうね。こんなおじさんでも助けてくれて、そういえば名前はなんて言うんだい」


 おばさんがアンソニーさんにあきれて言う


「おっと、そういえば儂の名前は言ったが坊主の名前は聞いていなかったな」


 アンソニーさんが頭をかきながら言う。


「まったく、アンソニーさんもよく忘れるね~。私はステラっていうんだけど、あんたは?」


「えっと、僕はフレイと言います。とりあえず、オークの身体は何処に運べば良いですか?」


「おお、そういえばオークの肉を運んで貰っていたんだ。なら、儂の家に運んで貰っていいかい。儂はこれでもこの村のハンターでな。獲物の解体する用にとそれなりに大きな倉庫を持っているからな」


 ステラおばさんが驚いたように。


「オークの肉があるのかい。なら、村長に言ってくるから皆で分けようじゃないか」


 そう言って、一際大きな家に向かっていった。僕はアンソニーおじさんと一緒に家へと向かう。


「この村じゃあ、取った物は皆で分けることにしてるんだ。まあ、そんな沢山人は住んでないからオーク一体でも皆に十分行き渡る。それが三体もいると知ったら村長もたまげるだろうな~」


 そうして、アンソニーおじさんの家に着く。家の隣にはそれなりに大きな倉庫があった。オーク三体は余裕で入る大きさだった。


「儂はこれでも村で一番の腕を持っておってな。ボアを狙って狩りにいったんじゃが、今日は中々見つからなくてな。それで、森の奥の方に行ったらオークに出くわしたってわけだ。お~い、今帰ったぞ!」


 アンソニーおじさんが家に向かって声をかけると、家からおばさんと若い娘さん、そして小さな子供が出てきた。


「あんた、お帰り、今日はどうだった」


「お義父さん、お帰りなさい。その子はどうしたの?」


「お爺ちゃんお帰りなさい」


 どうやら、奥さんと、娘と孫らしい。


「今日は凄いぞ。何とオークの肉が三体分あるからな。まあ、倒してくれたのはこのフレイ少年だがな」


 奥さんがびっくりしたように


「ちょっと、オークって森の奥の方に行かないと出ないのに、あんたそんなに奥に行ったのかい」


 アンソニーおじさんが頬をかきつつ


「ああ、今日は獲物が見つからなくてな~。ちょっと、奥に行ってみたらオークと出くわしてな~。弓を捨てて急いで木の上に登ったんだが、ちょうどその時にこのフレイ少年がオークを倒してくれたんだ。いや~、凄かったぞあっという間に倒したからな」


「まったく、ちょっと腕が立つからってそんな奥まで行って、あんたは動物相手ならいいけど魔物相手は無理でしょうに。フレイ君だっけあたしはアンソニーの嫁のカーラさ。そして、こっちの娘がウチの息子の嫁のセリカで、この子が孫のトーマだよ。本当にウチの旦那を助けてくれてありがとうね」


 カーラおばさんが僕に握手してきて自己紹介とお礼を言う。娘さんがお辞儀をする。


「さて、オークは隣の倉庫に出して貰っていいかな。解体をしちまおう。村の皆が肉を取りに来るからな。何、大丈夫オークの解体は何度かしたことあるから」


 そう言って、アンソニーおじさんが倉庫に僕を案内する。それに孫のトーマも一緒に着いてきた。

 

 倉庫にオークの身体を三体置くトーマがうわぁと大きな口を開ける。


 解体をアンソニーおじさんとしていると村長と思われるお爺さんとステラさんや他にも数人が倉庫へと入ってきた。


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