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第155話

 冒険者ギルドで情報を聞いた次の日に足りない物を補充してそのままダンジョンへと向かう。十六階層迄順調に進んで行った。


「じゃあ、上空にいる魔物は僕とセシリアで警戒しつつ先に進もうか。見つけたトロールはフィーナを中心に倒して行こう」


 そして、ギルドで聞いたように見つけたトロールやサイクロプスをその都度倒して行く。トロールの足を切って地面に倒すときに大きな地響きがするのだが、その時は他のトロール隊は近寄ってくることは無かった。


 途中にアサシンイーグルが降りてくるときがあったが、セシリアの矢によって羽を射貫かれて落ちたところを僕が止めを指した。上空にいる翼竜は一七階層への入り口にたどり着くまでの間、一度も襲ってくることは無かった。


 一七階層に向かう前にもう一度トロール達との戦いと行動を振り返る。


「翼竜は最初に来たときに魔法を打ったときは降りてきたけど、セシリアの矢が上空に行った時には反応しなかったね。魔法を構成している魔力に反応したって事なのかな?」


「すいません、アサシンイーグルにあそこで避けられるのは想定外でした」


 そうセシリアは一度アサシンイーグルの急降下攻撃を迎撃するために矢を放ったのだがそれをアサシンイーグルは起用に避けてしまったのだ。アサシンイーグルは躱したことで矢が上空に行ってしまった。しかし、その矢は風魔法のエンチャントがかけられていなかったためか翼竜もトロール達も反応はしなかったのだ。


「でも、これでエンチャントしてない弓矢なら反応しない事が分かったのは良かったね。アサシンイーグルの対処は最初は弓矢で出来るわけだからね」


「トロールも一体であれば倒しやすいですね。トロールがバラバラで行動しているのも助かりますね」


 ファルナが指摘したようにトロールやサイクロプスは一体ずつ居る事が普通であった。何故か二体が並んで歩いている等ということは無かったのである。


「そのお陰で助かっているけどね。この先もそうなっているのか分からないから慎重に進むようにしよう」


 そして、一七階層へと向かう。


 一七階層でも最初は草原が広がっていたのだが遠くの方には森が広がっているのが分かる。トロール達も歩いているのが見え、上空にも翼竜やアサシンイーグルが居るのが見える。


「見える範囲では出てくる魔物は一六階層と変わらないかな。一八階層へは森の中を突っ切る方が速いらしいから森の中を行こうか。果物等も冒険者が自由に採取していいみたいだし」


「果物は沢山欲しいかも、最近は冒険者が来ていないみたいだし、数も多いよね?」


「数が多いかどうかは分からないけどね」


 フィーナの言葉に苦笑しながら応える。


 道中のトロールを倒しながら森を目指す。森までは苦労をせずに着くことが出来た。道中の魔物もトロールとサイクロプスの一体ずつでアサシンイーグルも襲ってくることは無かった。


 森の中は大きな道が幾つもあり上空の光も地面まで届いていて明るかった。


「森の中でもここまで大きな道があるのは何でだろうね?」


「あれが通っているからでは無いですか?」


 僕が皆に聞くとセシリアがある方向を指さして答えた。セシリアが指を指した方向にはサイクロプスがゆっくりと歩いていた。


「サイクロプスも普通に森の中を歩くんだね。じゃあ、この道ってトロールやサイクロプスの通り道って事かな?」


 そう言うと急に僕達が居る場所が暗くなる。


「「「「「え?」」」」」


 僕達が何があったのかと上を見るとトロールが僕達を見下ろしていた。


 突然のことで僕達が動けないでいるとトロールは手に持っていた木を振り降ろしてきた。


「逃げろ!」


 僕の言葉で皆がバラバラにその場を離れる。しかし、カルラだけはその場に残り持っていた盾で木の軌道を逸らす。逸らされた木は大きな音がして地面を叩く。その勢いで木は半分に折れた。


 僕は素早くトロールに近づきそのかかとを切りつける。トロールは溜まらず前のめりに倒れ込んだ。それを見たフィーナとファルナがトロールの首を切って止めを刺した。


「カルラは大丈夫?」


 僕がカルラがいたであろう場所に向かって声をかける。


「何とか大丈夫だよ。流石にトロールがあたいの方に倒れてきたときは焦ったけどね」


 カルラはトロールの大きな身体の直ぐ横で荒く呼吸をしていた。


「でも、流石に助かったよ。木が大きいからトロールの居場所が思ったよりわかりにくかったね」


 この森の木は一本一本がかなり大きくトロールと同じぐらいの大きさがあった。そのためか近くに居たのに気付く事が出来なかったのだ。


「森の中とはいえかなり注意して進もう」


 森の中をトロールやサイクロプスを倒しながら先へと進んで行く。途中の木の中にはリンゴやミカン、梨等かなり種類があった。それを僕とセシリアで採取していく。


「かなり集まったね。甘い物は好きだから私嬉しい」


 フィーナの言葉にセシリアやカルラも頷く。嬉しそうにしていたのでその場で少しだけ食べる事にした。


「これは美味しいね。前に買ってもらった乾燥させた果物も美味しかったけど、こっちの方が私は好きかも」


「これは美味しいね。あたいも乾燥させた物しか食べたこと無かったけどこれはこれで美味しいね」


「王都で何度か食べましたけど、やっぱり美味しいですね。結構値が張るらしく出てくる事は少なかったですけどね」


 皆に好評だった。因みにセシリアは皮をむいてくれていた。


「さて、ここで食べ続けててもいけないから先に進もうか」


「お兄ちゃん、私もっと欲しいかも」


 フィーナはもっと果物を集めようと言い出した。他のメンバーを見ると皆も欲しがっているのが分かる。


「魔法袋にも結構入れたけど、まだ欲しいの?」


「ここを攻略したらマルンに戻るんだよね? あそこのダンジョンには無いからできるだけここで取っておきたいの。メイア達のいいお土産になると思うんだよね」


 家で待っているメイア達にも持って帰りたいというので仕方なく、道中の果物はなるべく取ってから行くことになった。


 そして、予定よりも時間をかけて一七階層を進んで行き一八階層へと降りていく。


 十八階層は一七階層と同じで草原と森が混在していた。


「ここでも、果物が採取出来るのかな?」


 フィーナは果物が採取出来るかも知れないと嬉しそうにしていた。


「魔法袋の中もそろそろ限界だと思うんだけど、魔石も持って帰らないといけないし」


「魔石よりも果物が優先だよ!」


 フィーナは力強く言う。そんなフィーナを見てセシリア達は苦笑する。


「とりあえず、進もうか。何が出るかは分からないからね」


 そして、森の中へと入って行くのだった。


 

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