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第149話

 今回、メイドとなった者たちの部屋を決めてから庭でバーベキューをする事にした。流石に、家の中に十人以上が一緒に食事をする場所が無いために外で食事をするしかなかったのだ。


 新たに入ったメイドをして貰う予定の奴隷達はアンナが中心となりメイアにメイドとして仕事を教えて貰うことになった。


 アンナ達の中には以前冒険者だった者もいた。そこで、冒険者として活動したいかを聞くと、全員が活動したくないと答えた。ダンジョンで魔物によって手足を無くしたので冒険者に戻りたくないとの事だった。アンナも昔は冒険者として活動していたが仲間に置き去りにされて魔物に殺されそうになったことがトラウマになっているらしく、このままメイドとして仕事をさせて欲しいとのことだった。


 生きる気力を無くしていた者たちのほとんどが貴族によって無理矢理奴隷にされた者たちでその家族もその時に殺されているらしく帰るところもなかった。商人や貴族の娘もいたのだが全員がメイドとして働くことを望んでいた。


 アンナ達はメイアとセシリアに教えられてメイドとして仕事が出来るようになっていた。そして、ファルナはカルラと途中からフィーナも加わって戦う術を教わっていた。二週間も経った頃にはカルラからダンジョンに行っても大丈夫というお墨付きも出た。


 アンナ達やファルナが仕事や戦う術を覚えているときに僕は家を守るゴーレムの作成をしていた。このマルンがファールン王国に編入されて、さらにガルファスとの戦いを知る貴族達も多い中、襲われる心配は減ったと思われるがいざという時の守りのために作っておくことにしたのだ。


 ファルナやアンナ達がきてから一ヶ月が経った。アンナ達も仕事をこなせるようになりメイアとセシリアの負担も減っていた。ファルナも一度だけ、訓練に付き合ったが王族の娘だったとは思えないほどの実力が身についていた。


「あたいも驚いたよ。フィーナの時と一緒かな。ラントの家の聖武具は剣みたいだから剣術が得意なんだろうね。あたいでも危ないときが時々あるよ」


「あら、そうですか? (わたくし)としてはカルラさんの守りを突破できる気がしませんでしたけど、カルラさんの守りは鉄壁過ぎませんか?」


「それは、私も思うよ。私だってカルラお姉ちゃんの守りを突破出来ないし。流石に聖武具使ったら出来るけど」


「あたいは前で皆を守るのが仕事だからね。そう簡単に突破されたらあたいの価値が無くなっちゃうよ」


 カルラがファルナとフィーナの言葉に苦笑いをする。カルラの守りは幾度となく行ったダンジョンでの経験と地魔法を覚えた事でさらに堅くなっていた。僕でも魔法無しの模擬戦では突破することは難しかったりする。


「カルラが前面で支えてくれる安心感があるから、皆に余裕が生まれるよね。その余裕があるから自分の実力が出せるんだ。カルラには本当に助けられているよ。ありがとう」


「いきなり、どうしたんだい。そんな事言われて、何か、恥ずかしいね。いつか、その返して貰うつもりだけど……その夜とかに……」


 カルラは顔を赤らめて恥ずかしがっていた。最後の方の言葉は小さすぎて聞き取りにくかった。


「カルラ、何て言ったの? 最後の方が聞き取れなかったんだけど」


「べ、別にたいしたことは言ってないよ! 気にしないで!」


 カルラは赤い顔で怒鳴るように言ってきた。その迫力に僕は何も言えなかった。


「まあ、いいか、明日はファルナも連れてダンジョンに行こうか。ダンジョンの十階にいるオークキングと戦おうか。三体出てくるけどその内の二体とオークジェネラル達は僕やフィーナとセシリアで戦う。カルラはファルナの近くに居て危なくなったら助ける」


「「「「分かりました」」」」


 セシリア達が返事をする。


「メイアはアンナ達と家の管理をお願い。何かあってもゴーレムがいるから大丈夫だとは思うけど、もし、危なそうなら地下室からラントのクランハウスに逃げるようにね。庭園の管理をお願いするのと、庭の端で作っている畑は好きな作物を作って良いからね。それと、金庫に入れたあるお金は使ってよいから、たまには豪勢に食事をしても良いよ」


「「ありがとうございます」」


 メイアとアンナがお礼を言う。


 その日は次の日にダンジョンに行くためにファルナの訓練を早めに切り上げて身体を休める。


 次の日にダンジョンに向かいファルナを入れた連携を考えながら進んで行く。ファルナは片手剣と小型の丸い盾を持つスタイルだった。素早く動き相手を翻弄して隙を突く様な戦いをしている。使える属性は風魔法で地魔法は使えなかったが風を身体に纏わせてその時々に応じて風を強くして速く動くという。僕が思ってもいなかった使い方をしていた。そうして、オークやゴブリン等を簡単に倒していた。


 王城で風魔法しか使えないことを知ったときに、どうすれば地魔法のストレングスアップのように身体能力を上げられるかを自分で考えたらしい。密かに剣の訓練しているときに考え付いたとのことだった。このことは今まで誰にも言っていなかったらしい。


「こうして戦っているときに驚いて欲しくて誰にも言っていなかったのです。どうですか、驚きましたか?」


「いや、正直驚いているよ。身体能力を上げるのは地魔法だけだと思っていたからね」


「この風魔法は厳密には身体能力を上げているわけでは無いんですよ。身体の動きの補助を風がしている感じですね。因みに、魔法名としては《風魔法ボディエンチャント》と(わたくし)は名付けました」


 魔法名は古代文明時代に付けられた物が多く。それが今の時代まで失われること無く言い伝えられて来ていた。その中で新たに生み出せれた物もあるらしいのだが、そのほとんどが今までの魔法より強くなるよりも弱くなることが多かった。そんな中でファルナは自分で考え、しかも実践で使える魔法を生み出したのである。


「これは凄いことだね。僕も今度使ってみようかな。まだ、イメージが曖昧だから何度かファルナと練習してイメージを掴めないとファルナのようには出来ないだろうけどね」


 そして、オークキングがいるボスまでは余裕を持って来ることが出来た。ファルナはオークキングを相手にも苦戦することも無く勝つことが出来た。


「ファルナの魔法には驚いたけど、オークキングにもあっさり勝ったのには嬉しいね。これで、かなり先までいけそうだね。じゃあ、今回は戻ろうか?」


「ご主人様、今回はここまでですか? ファルナさんの実力ならまだ行けると思いますが?」


「そうだね、ファルナの実力ならエビルジャガーでも大丈夫だろう。ただ、今回はファルナが人型の魔物相手を何処までやれるのかを見るために来たからね。その先は今度にしよう。それにまだ解体作業がぎこちないし、別に急いで攻略をしないといけないわけじゃ無いからね」


「分かりました。しかし、しばらく解体作業には慣れないでしょう。王城でそのようなことは習わないでしょうから」


「でも、ラントはダンジョンに行っていたんだよね。魔物の解体は収入の面でも大きい。魔石だけだと厳しいと思うけどね」


「申し訳ありません、お兄様達は聖霊のダンジョンに行かないといけませんし、収入もかなり違うみたいなので習うそうです。ただ、私達王族の姫まではダンジョンに行くことは無いので習わないんです」


 ファルナが僕とセシリアの話を聞いていたのか教えてくれた。


「それも、これからだね。解体は回数をこなして慣れていくしか無いよ。さて、それじゃあ今日は戻ろうか」


 ダンジョンの帰り道でもオークなどの解体をファルナに優先してもらった。


「この解体作業が無ければ楽しいのですけどね」


 ファルナはそう呟いて黙々と解体作業をしていた。ダンジョンを出る頃には少しは慣れていたみたいだった。

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