第14話
皇龍神グランバハムートを何とか倒した僕はその部屋の奥にある扉へと向かって行く。
扉を開けるとそこには真ん中に石碑がありその周りには沢山の武器や鎧等の防具類、他にもハープなどの楽器まであった。
石碑にはこう書かれていた
【神の試練を突破したものにここにある神具を一つだけ授ける。自分に一番あった神具を選ぶがよい】
「ふむ、財宝とかといったものは無いのか。まあ、神具なんて手に入れようとして手に入るものじゃないよね」
僕はそこにあった神具を見て回る。そうして、見つけた一振りの剣それに何か運命めいたものを感じる。
「基本的に剣を使うからこれがいいかな」
そして、剣を手に取る。すると、他にあった神具が全て消えていく。
そして、一人の神々しい女性が現れた。
金色の髪をした。とても綺麗な女性であった。
「私は女神フォルティナです。人の子よよくぞこの神の試練を越えましたね。今まで誰一人として越えたことがない試練をそれも一人で越えたこと本当にお見事でした」
「女神フォルティナ様って、もしかして大地母神フォルティナ様ですか?」
この世界を作ったとされる五大神、創造神ソルテール、太陽神スレイル、月の神スライナ、大地母神フォルティナ、海の神ライナルがいる。その中の大地母神フォルティナ様がこの場に出てきたらしい。
「大地母神フォルティナですか? 人は私のことをそう呼ぶのですね。なるほど、それはまた恥ずかしいですね。まあ、それは良いとして貴方の名前を教えてもらえますか?」
「あ、はい、え~と、僕は、じゃなくて、私はフレイと言います」
「ふふっ、そこまで緊張しなくても大丈夫ですよ。私が今この場に現れたのは貴方に私の加護を授けるためです。この、神の試練を越えたものには皆に与えているものになります。まあ、試練を越えたのが貴方が最初になるのですけどね。そして、貴方はその手に持っている剣を手に取った。それは私の力が込められた剣になります。なので、私の加護を貴方に授けます」
僕は急いで膝をつき頭を垂れる。
「え~と、ありがとうございます。フォルティナ様の名前を汚さぬように頑張って参ります」
フォルティナ様が優しく笑う。
「ですから、そこまで固くならなくても大丈夫ですのに、それでは立ってくださいね。膝をついたままでは出来ませんので」
「あ、は、はいっ」
僕は急いで立ち上がる。
「それでは、利き手の手の平を私に向けてください」
僕は言われたまま、右手の手の平をフォルティナ様に向ける。すると、フォルティナ様の左手と僕の右手が重なった。
「ふわっ!」
変な声が口から漏れた。それを見てフォルティナ様が笑う。
「大丈夫ですよ。すぐに済みますので動かないように」
「は、はい」
僕が固まっていると。フォルティナ様の左手が光り始める。そして、僕の右手にもその光が移ると一際大きく輝いた。
僕が目を一瞬閉じると優しい声で
「はい、終わりましたよ」
僕はおそるおそる目を開けると光が収まっていた。
「では、私の剣を手に持ってみてください」
「は、はい」
僕は言われたとおりに左手に持っていた剣を抜いてみた。すると、右手の甲に木のような紋章が浮かび上がった。
「大地母神と言われたので木の紋章にしてみました。その紋章が私フォルティナの加護になります。そして、注意して欲しいのはその加護が無ければ本当の剣の力は使えないということです」
「本当の力ですか?」
「そうです。その剣は私の力が込められています。流石に生命創造は出来ませんが、そうですね。少し、その剣に込められた力に関して教えておきましょうか」
「その剣の効果はまず身体強化があります。神具での身体強化は《地魔法ストレングスアップ》が1.5倍に対して5倍と思ってください。ただ、最初はその動きに手間取ると思いますので良く練習した方が良いでしょうね。そして、欠損部位の回復が一番重要でしょうか」
「欠損部位の回復ですか?」
「そうです。《水魔法キュアウォーター》では切り傷や骨折などは治せますが、一度千切れてしまった指や足などは治す事は出来ません。しかし、この剣に込められた私の力を使えばそれを治す事が出来ます」
千切れた指等を直す魔法は存在しないと叔父に言われた事があったために僕はとても驚いた。
「ただ、その範囲によってはかなりの魔力を使うのでそこだけは気をつけなさい」
「分かりました。ところで、僕はフォルティナ様の加護を与えて貰ったのですが、何か使命みたいなのがあるのでしょうか?」
フォルティナ様が微笑む。
「ふふ、そんなものはありませんよ。自由に生きなさい。それこそが私の望みです。人はあるがままに生きるのが良いと私は思っています」
「そうなのですか。・・・わかりました。何とか頑張ってみます」
「それでは、フレイこれからの貴方の人生が良くなるように私も祈っています」
「はい、フォルティナ様ありがとうございました」
僕は頭を下げてその部屋を出ようとすると
「少し待て、そこのものよ」
男の人の声が響き渡った。