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第133話

 公爵と騎士団長を倒して一息ついてから王都の方を見る。王都は皇龍神グランバハムートとドラゴンたちにより殆どの建物が崩壊していた。王城ですら何処にあったのか分からない状態であった。そして、皇龍神グランバハムートがゆっくりと僕達の近くへと降りてきた。


「小さき者よ、これで良かったか?」


「皇龍神グランバハムート、感謝します」


 僕は謝意を示して頭を下げる。それに合わせてセシリア達も頭を下げた。


「わしは其方に呼ばれたのだこれぐらいは構わぬ。久しぶりにこの大空を飛べたのだ。こんなに気持ちよかったのも久しぶりじゃしのう。さて、これで儂の役割は終わりか?」


「そうですね、これで終了です」


「では、一つ言っておこう。わしの魔石にはまだ魔力が残っておる。故に、このままわしの身体が消えても魔石が残るであろう。そうすれば、また神の魔法であるインカネーションで呼び出せるであろう。ただ、時間はかなり短くなっているだろう。それこそ、一時間もすれば今度は魔力が無くなるであろうな。次に呼ぶときは重々注意せよ」


 そう言うと、皇龍神グランバハムートの身体が光り輝く。その眩しさに目を閉じる。そして、光が収まったとき大きな魔石が残されていた。


「まさか、もう一度使えるとは思わなかった。けど、後一回が限度となると使いどころは本当に切羽詰まったときにしないといけないね」


「お兄ちゃん、他にも後二体いるんだよね? その残りの二体を倒しには行かないの?」


「フィーナはあれが倒せる相手だと思ったのかい? あたいにはご主人でも無理だと思ったけどね」


 フィーナの言葉にカルラが無理だと言う。僕もそれに賛成する。


「ダンジョンで皇龍神グランバハムートと戦ったときは殆ど瀕死だったから勝てたようなものだよ。普通に戦ったら例え神剣を持っていようと無理だろうね。インカネーションで数を用意してもブレスで消し飛ばされるだろうね」


「そっか、流石にそんな簡単にはいかないんだね」


「今よりも強い人が沢山いた古代文明時代に挑戦してそれでも勝てなかったんだよ。その時には聖武具使いも参加していたとは思うんだけどね。それでも、勝てなかったんだ。僕とフィーナが強力な武器を持っていたとしても勝てないと思うよ」


 フィーナが納得したように頷くのを見て魔石をしまう。


「さて、とりあえずはシルビア達と合流しようか。それから、家が出来るまでは時間が掛かるから、これからの事を少し考えないとね」


 セシリア達が頷くのを見て、シルビア達が待っているだろう場所へと向かう。


 シルビア達は昨日の夜と同じ場所で待っていてくれた。


「何て言ったら良いのか、正直迷ってます。ラントに言っても最初は信じて貰えませんでした。この魔道具が声だけで無く、風景が送れる魔道具だったらと思いましたよ。まさか、王都を瓦礫の山にしてしまうとは、フレイさん達とは絶対に敵対してはいけませんね」


「敵対する予定があったの?」


 僕の質問にシルビアは首を横に振る。


「もちろんありません。フレイさんには魔法を教えて頂いた事もありますし。ただ、一応これでもファールン王国の所属なのです。なので、国からの指示には逆らえませんから。まあ、この状況を見たら敵対しようとは思わないでしょうけどね」


「それよりも、フィーナちゃん! その槍ってバルドラント王国の騎士団長が持っていた聖武具グングニルだよね?」


 女神の翼のメンバーであるミラがフィーナの持っている槍を指さして聞いてくる。


「うん、そうだよ」


 フィーナが振り回して、嬉しそうに答える。


「これって、聖霊のダンジョンを攻略して聖霊様に加護を貰わないと扱うことが出来ないんだよね?」


「確か、そのはずだよ」


「フレイさん達は聖霊のダンジョンを攻略までしていたんですね。でも、フレイさんは扱えてなかったような。動くのがやっとという感じに見えましたけど」


 シルビア達は遠くから見ていたのだろうけど、僕が上手く扱えていなかったのが分かったらしい。


「いや、まあ、僕は聖霊の加護は貰えないから、仕方ない。聖武具グングニルは僕以外のメンバーなら扱えるよ。ただ、槍に関してはフィーナが一番上手く扱うからね」


「カルラは剣がメインだもんね」


「そうだね、槍に関してはフィーナに全然叶わないよ」


 ミラに言われてカルラは苦笑しつつ答える。


「精霊の加護が貰えない……。確か文献に……」


 シルビアが小声で何かを呟いていた。


「どうしたの、リーダー?」


「えっ、いえ、何でも無いですよ。あ、そうだ。私の報告を受けてファールン王国はバルドラント王国の領土の刈り取りに動いたみたいですよ」


「帝国との戦争中なのにそんな事をしても大丈夫なの?」


 ファールン王国が動いたと言うことは王国の騎士団等の正規の部隊が動いたという事だ。帝国との戦争中にそんな部隊を動かして負けるのではと僕は思った。


「フレイさんから買い取った魔石がありますよね。あれによって古代文明時代の魔道具が使用できたそうです。それによって、帝国は撤退したそうですね。この国にもドラゴンの攻撃を防ぐような魔道具があったのですから、ファールン王国にあっても不思議では無いですよね。私は知りませんでしたけど」


 どうやら、僕から買った魔石によってその魔道具が使えたので帝国を追い返すことが出来たので領土の刈り取りに動いたらしい。シルビアの持っている魔道具のおかげで王都が壊滅状態で騎士団もいないこの国では抵抗も難しいだろう。ファールン王国だけでは無く他の国も王都が壊滅状態だと知れば刈り取りに動くことが予想される。


「他の国はいつ頃動くかな?」


「二ヶ月はかかるでしょう。今から情報を手にいれた刺客が、その国に帰るにしても一ヶ月以上は掛かりますから」


「ご主人様、この後はどうしますか? 今から帰っても家は出来てないと思いますけど」


「シルビアさん達はどうするの?」


「私達は一度マルンへ向かおうと思います。戻ってくるように言われましたから」


 シルビア達はラントからマルンへと戻ってくるように言われているらしい。これまで集めた魔石等を渡すために一度戻るという事みたいであった。


「僕達は行きたい所があるからね。セレティグトまで一緒に行こうか。そこからは反対方向だからね」


「マルンへは行かないのですか?」


「用事が済んだら向かうよ。ラントにはそう言っておいて貰えるかな」


「分かりました、伝えておきます」


 僕達は廃墟となった王都を一度見てから、セレティグトへと向かって行くのだった。

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