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第13話

 皇龍神グランバハムートが顔を上げる。


「さて、それでは、戦うとするかのう。いやはや、久しぶりに会話が出来て楽しかったわ。少し、名残惜しいがこの場所で守るのがわしの押しつけられた役目だしの」


 皇龍神グランバハムートが起き上がる。その姿所々傷を負っていて痛々しいのだがその所作はどこか優雅である。しかし、僕としてはもう一つ聞いておきたい事があった。


「あの、あなたが皇龍神グランバハムートであるのは分かりました。もしかして、かりにあなたを倒したとして僕は残りの二神獣と戦わないと行けないのでしょうか?」


 さすがに、怪我をしている皇龍神グランバハムートなら勝てるかも知れないが、怪我をしていない二神獣とは勝てるとは思えない。


「ふむ、そこは安心すれば良い。今のこのダンジョンにいるのは我だけよ。もし、我を倒しこのダンジョンを出た後にしばらくして他の二獣神のどちらかが壁となり立ち塞がるであろう。それまで、あの者等は神に囚われたままである」


 僕はホッとすると一度深呼吸をして剣を構える。


「僕は先に行くために貴方を倒させて頂きます。皇龍神グランバハムート怪我をしている時点で正々堂々とは行きませんがそれでも、ここで死にたくないので行きます」


 皇龍神グランバハムートは大きな声で笑う。


「その意気込みは良し。神の試練の最後の壁としてこの皇龍神グランバハムート見事倒してみよ。さすれば神は汝に力を授けるであろう」


 皇龍神グランバハムートが傷を負っている翼を大きく広げる。


「《地魔法アースウォール》」


 僕は土の壁を作り目隠しにする。すると皇龍神グランバハムートが素早く大きな尻尾を振り回し土の壁を簡単に壊す。


 僕は壊されると思っていたのでジャンプして自分の下をなぎ払っている尻尾に向かって剣を切りつける。剣は硬い鱗に阻まれて傷を付けることは出来なかった。


「《地魔法アースウォール》×5」


 今度は土の壁を五個作り上げる。


「《地魔法アーススパイク》」


 最後の土の壁に鋭い棘を一つだけ作る。


「数を増やしても無駄である。我が尾はその程度では歯牙にもかけぬ」


 皇龍神グランバハムートの尻尾がまた振り回される。


「ぬう」


 皇龍神グランバハムートの尻尾が最後の壁に作られた棘に刺さる。棘が深々と刺さるが皇龍神グランバハムートは尻尾を振り抜いて最後の壁も壊す。


 僕はすでにその尻尾の軌道から逸れていた。そして、傷ついた尻尾に剣を突き刺しその尻尾を引きちぎった。


「ぐはあぁぁぁ・・・」


 皇龍神グランバハムートはたまらず悲鳴を上げる。


「ここで一気に畳みかける」


 僕は皇龍神グランバハムートの背中を走り、のけぞっていた頭を蹴り相手の右目に向けて剣を突き刺した。


「ぐうおぁぁぁ・・・」


 僕は剣を抜きもう一つの目も切ろうとする。


「なめるな~」


 皇龍神グランバハムートが首を大きく振って僕を払い落とす。僕は地面に何とか着地すると皇龍神グランバハムートに向かって走り出す。


 皇龍神グランバハムートの死角であろう右側から近寄っていく。皇龍神グランバハムートは腕をがむしゃらに振り回す。僕はその腕を避けて右側の大きな翼を切り落とした。


「ぐぬぅ」


 皇龍神グランバハムートはたまらずうめく。そして、その喉に剣を突き刺した。


 そうして、皇龍神グランバハムートの目の光が弱くなりその巨体が大きな音を立てて倒れていく。


「見事である。傷を負っていたとはいえまさか一人で我を倒すとはな・・・」


 僕は何度も呼吸を繰り返し、呼吸を整えてから、


「やはり、今までの傷が大きかったと思います。そうで無かったら流石に倒せません」


「ふっ、それでも其方の勝ちである。誇るが良い。今まで誰にも倒す事が出来なかったこの皇龍神グランバハムートを倒したことをな。フフ、見事、見事である。これでやっと、煩わしかった役目からも解放されるというもの」


「ありがとうございました。これで、僕はまた強くなれますから」


「ふっ・・・」


 そうして、皇龍神グランバハムートは満足したように笑いその生を閉じた。


 僕は神に翻弄された皇龍神グランバハムートに黙祷する。すると、皇龍神グランバハムートの身体が煙のように消えていくと大きな魔石だけが残った。


 僕は低頭するとその魔石を魔法袋にいれた。

裏設定

ダンジョンのボスだけは残すのは魔石だけで素材を剥ぎ取ることは出来なかったり、剥ぎ取っても魔石以外は一定時間で消失します。

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