第118話
セシリアが夜に僕の部屋に来た次の日にテラスで休んでいる僕の所にマリアが来た。
「旦那様、昨日はセシリアさんは部屋に来られましたか?」
「来たよ。まあ、色々と教えて貰ったよ。本当に色々ね」
「それは良かったです」
マリアは笑顔で応える。
「もしかしなくても、マリアの入れ知恵なのかな?」
「少しは後押しはしたかも知れません。でも、最終的に決めたのはセシリアさんです。以前に旦那様が子供の作り方を知らないということを聞いておいて良かったです。セシリアさんみたいな綺麗なエルフを側に置いておいて手を出さないのは普通はありえませんから」
「まあ、それは悪かったね」
「将来私達をどうしたいのかを聞いておいて良かったと思いますよ。いずれ、私達と子供を作って普通に暮らしたいと聞けたのは良かったです。まあ、子供の作り方を知らないのには驚きましたが……。普通は親が教える物なのですけど」
「仕方ないんだよ。僕は父親が誰かも知らない上に母親は僕を見るなり殺そうとするから、一緒には住んでいなかったからね」
マリアはそれを聞いて悲しそうな顔をする。
「親が自分の子供を殺そうとする。ハイエルフの人族嫌いは筋金入りですね」
「まあ、それで叔父に育てられたけど、結局そういうことは教わらなかったけどね。まあ、元々10歳になったら殺そうと考えていたから教えなかったのだろうね」
「それで、旦那様経験してどうでしたか?」
僕は顔を赤らめる事しか出来なかった。
「その表情を見ると良かったと思いましょう。しかし、以前に言いましたが女性に溺れない様にしないといけません。女性に溺れるとこの国のダメな貴族みたいになりますから」
「まあ、それは何となく分かるかな。セシリアと一緒にいたところをある貴族に絡まれたね。街を離れたときに襲われて返り討ちにしたけどね」
「セレティグト伯爵の息子の話ですね。あれは運が良かったですね。オークの群れが来た事で旦那様がやったことになら無かったのは運が良かったですね」
「あれは運が良かったね。それと、今はダンジョン攻略に力を注ぎたいから子供はまだ良いかな」
「分かりました。旦那様がそう言われるのであれば大丈夫でしょう。ただ、前回はセシリアさんからでしたが女性としては男性の方から求められたいという気持ちもあります。ですので、今度からは旦那様の方から求めて上げて下さい。セシリアさんもカルラさんも喜んで相手をするでしょう。ただし、フィーナお嬢様はまだ成人してませんので、そちらは成人してからでお願いしますね」
マリアはそう言うと仕事へと戻って行った。
「まあ、しばらくは誰にも手を出さないつもりだけどね。今はダンジョン攻略とお金を稼がないといけないから。でも、マリアは自分の事は何も言わなかったな。まあ、そこは良いか」
そしてまた身体を椅子に預けて一眠りをする。
その日は一日中セシリアは僕を避けていた。顔を合わせるのが恥ずかしいみたいで僕の姿を見かけると用字を思い出したように顔を赤らめて僕から離れていったのだ。僕は、その内落ち着くだろうと思い、放置してゴーレム制作に打ちこむのだった。
1ヶ月間ダンジョン攻略を休んだあとに攻略を再開する。
「マリアは言っていたように家の方に残るんだね」
「はい、それと庭の端の方を頂きありがとうございます」
マリアは庭の隅で野菜などを育てたいと庭の一角を求めてきたので許可を出していたのだ。僕達がダンジョンに行っている間に色々と試すらしい。
僕達がダンジョンに行く前にギルドへと向かうとラントが声をかけてきた。
「お、フレイ久しぶりだな。最近、家を買ったらしいじゃ無いか。今度、遊びに行っても良いか?」
「別に構わないけど、本格的にダンジョンの攻略に入るから余りいることは無いよ」
「家には誰もいないのか? 前に見たときと比べて1人少ないようだが」
「1人は家に残っているよ。誰かしら家に残って管理しないと埃が溜まって家の傷みが早くなるからってね」
「まあ、それはそうだろう。ウチのクランも家を管理する執事やメイドを雇っているからな。でも、残っているのはメイドが一人だと危なくないか? こう言っては何だが冒険者の中には悪い奴も当然いる。そいつらがお前等がダンジョンの攻略にいっている間に盗みに入るかも知れないぞ」
ラントのクランで借りている家で雇っている執事は昔、冒険者をしていてかなりの実力もあるとの事で任せているらしい。雇っているメイドも戦闘訓練もしているとのことだった。戦闘訓練を外に見えるようにすることで盗賊等が入らないようにしているらしい。
「まあ、ゴーレムを配置してあるから大丈夫だと思うけどね。リザードマンの魔石を使って作ったからそれなりの強さはあるだろうし」
「リザードマンの魔石を使って作ったのかよ。売れば良い値段するのにもったいねえ事するんだな」
「家と家族を守るためだからね。僕がいれば良いけど流石にダンジョンに行ってお金を稼がないといけないからね。この後、家に戻ってマリアに言っておくから僕がいるときは遊びに来れば良いよ」
「ああ、そうさせて貰う」
ラントと分かれて家に帰ってマリアにその事を言ってからダンジョンへと向かう。
「それじゃあ、4人で進むことになるからね。ちょっと、連携を確認しながら進んで行こうか。今回も前回と一緒で30階層迄にしよう」
皆が頷くのを確認してダンジョンへと入って行った。