表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/190

第116話

 カルラ達の武器が出来る間は家の中の整理に時間をかける。僕はその時に普通のゴーレムの制作に手を出す。冒険者になりたての時に買った錬金術の本を元にゴーレムを作る。ゴーレムは家の庭にある土を材料に作った。ゴーレムは核となる魔石に自分の魔力を込めながら土を練り、その土でゴーレムの形を自分で作っていく。自分の魔力を込めて作る事によりゴーレムは主を自動的に認識する。


 ゴーレムが完成したら、今度は命令や指示を登録していく。この時に守る者を登録する場合は魔石にその魔力を流して覚えさせなければならない。その後は、簡単に家に無断で入ってきた者を攻撃するように指示を出す。この時にゴーレムは登録した者と一緒に家に入ってきた者には攻撃しない様にも登録する。


 そして、登録が終わるとゴーレムは庭の土に吸い込まれるように消えた。その時に魔石も一緒に土の中へと消える。この状態がゴーレムの休眠状態で、この時は魔石の魔力を消費しないらしい。ゴーレムの強さは魔石の元となった魔物と一緒になる。しかし、ここで注意しなければならないのはドラゴン等の魔法やブレスを使う魔物の魔石を素材にしても、ゴーレムは魔法もブレスも使うことが出来ないことである。剣などを使うオークキング等のゴーレムであれば土から剣を作る事が出来る。しかし、土の剣で弱いことをゴーレムも分かっているので結局殴る事をするらしい。


「ご主人様、夕食の準備が出来ました」


 セシリアが庭にいた僕に声をかけてきた。途中で皆の魔力をゴーレムの魔石に覚えさせてから、錬金術の本を読んでいたのだが思った以上に時間が経っていたらしい。


「ご主人様、土で汚れています。まずはお風呂場で汚れを落としてからお願いします」


「あ、そうだね。じゃあ、ちょっとお風呂でシャワーでも浴びてくるよ」


 お風呂場でシャワーを浴びてから食堂へと向かう。そこでは、皆が席について待っていた。揃ったところで食事を開始する。


「ご主人、ゴーレムの制作は順調なのかい?」


 カルラがゴーレムについて聞いてくる。


「作り方は大丈夫だね。オークの魔石で作って見たけど上手くいったからね。ただ、ゴーレムの特徴からドラゴンの魔石を使って作るのはやめた方がいいのかなとは思っているよ」


「どうして、ドラゴンの魔石はやめた方がいいのですか?」


 今度はマリアが聞いてくる。


「ドラゴンの脅威の一つであるブレスがゴーレムだと使えないからね。魔石に込められた魔力が強いからただの頑丈で力の強いゴーレムが出来るだけだね。魔法も使えるなら他の魔石でも試すけど魔法も使えないみたいだし。そうなると使える魔石も限られてくるかな」


「家を守らせるにはどの魔石を使うのですか?」


「僕の考えではリザードマンやオーガがメインかな。それらは魔法もブレスも使わないからね。ただ、この庭の広さ的にゴーレムは10体位しか用意は出来ないかな。土の量だって決まっているからね。まあ、今は必要は無いかな。皆で行動する上に貴重品は魔法袋に入れるからね」


 そして、カルラ達の武器が出来る間に僕はゴーレムを合計で3体ほど作った。そのゴーレムに家の守りを任せて僕達は本格的にダンジョン攻略を行うことにした。





 フレイ達がダンジョン攻略を本格的に開始した頃、ある公爵の屋敷でセレティグト伯爵の部下が屋敷の主である公爵と話していた。


「ふむ、セレティグト伯爵はベルン伯爵の死はその冒険者の男の仕業であるというのだな」


「はい、我が主はその男がセレティグト領に現れた時期とベルン伯爵の奴隷の反乱があった時期を逆算したところその男が怪しいと言っておりました。調べたところ、その男はベルン領にある小さな村に住んでいたらしいのです。ですが、その男はその村にいきなり現れて住むようになったそうです」


「何だと、その様な男が怪しまれずに今まで冒険者を続けられたというのか! 信じられん、もしや、その村の者たちは洗脳でもされていたのでは無いか? もしくは他国からのスパイか」


 公爵は大げさに驚いた素振りを見せている。


「はい、ベルン伯爵も疑っていたようです。我々の手の者が村に行き聞いたところ、ベルン伯爵の使いがその男をスパイと疑っていたらしいのです」


「なるほど、ベルン伯爵はその男がスパイであることに気付いたのだな。その事を追求しようとしたところをその男に口封じとして殺されたのだな」


「我が主はそのように申しておりました」


 公爵は大きく頷いた。


「うむ、これは不味い事であるな。他国のスパイが我が国の貴族を殺したのだ。その男を殺さねば国の威信も傷つき、民も不安になるだろう。そのような男は処刑せねばならない」


「その通りです。わが主のお子であったマルス様も捕まえようとしたのですが逆に殺されてしまったのです。その為に我が主は相手がかなりの実力があると見ましてお恥ずかしながら公爵様にご助力をお願いできないかと伺った次第です」


「何と、忠臣の伯爵のお子までも殺されたとは、伯爵もさぞ悔しいでしょうな。分かった、その無念この私バイルズ公爵が晴らしてやろう。伯爵には安心するように言っておいてくれ」


「ありがとうございます。我が主も喜ぶことでしょう。ただ、その男は自由都市マルンの方角へ向かったと情報が上がっておりまして……」


「今回、我が国の貴族を殺した犯罪者を捕まえるためだ。たとえ、マルンであろうと入ることを拒むことは出来ぬであろうよ」


「ただ、その男はグリフォンを狩れるほどの者だと言うことです。その辺にいる冒険者では厳しいかと思いますが」


 バイルズ公爵がニヤリと笑う。


「私にはSランク冒険者パーティー“竜の顎”がいる。何、安心して任せるがいい。ただ、今は兄上に頼まれてハイメルンにあるダンジョンの探索に行かせている。それに、最低でも半年は掛かるだろう。すまないが、そやつ等が帰って来たからでもよいな?」


「もちろんでございます。我が主では手に余る相手をお願いするのです。お待ちいたしますとも、それでは私はこれで失礼いたします」


「うむ、伯爵には辛いだろうがもうしばらく待っていて欲しいと伝えてくれ」


「はっ」


 伯爵の部下が頭を下げて部屋を出る。


「エルフの奴隷か。オルベルク子爵が確かエルフの集落を見つけて奴隷を確保したと行っていたな。あの時はハイメルンに攻め込む準備のために参加出来なかったが、ようやく手に入れる事が出来るか。奴らが帰ってくる時が楽しみだ。ふっはっはっはっ……」


 公爵は椅子に腰掛けてエルフ奴隷の事を思い笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ